5 / 39
弟が魔性の姫になった件※お兄様視点
しおりを挟む
生まれながらにして全てを手に入れていた憎き弟、コレット。
美しく聡明で、男女を問わず人気のある弟だった。
俺が嫉妬して、いつか無茶苦茶にしてやりたいと願わなかった日のない弟が、能天気な顔で毒をたっぷり塗りたくった短剣の手入れをしていた。
お前……!
とっさに手が伸びて、弟から剣を取り上げる。
コレットは俺に剣を奪われた拍子に「痛いっ!」と悲鳴をあげて蹲った。
俺は心臓が早鐘のように打つのを感じた。
元々、嫌がらせで渡したものだったが、まさか弟の手に渡ったままになっているとは思わなかった。
「早く見せろ!」
最悪は毒を吸い出すことも考えつつ弟の手を見ると、綺麗なままだった。
「あはは、驚いた? せっかくお兄様の誕生日プレゼントだからさー。僕が死んでくれた方が喜ぶと思ってサプライズをしたんだよ。ちょっと遅れちゃったけど、僕からの誕生日プレゼントだよ? あれ? 嬉しくなかった?」
イラつく、本当に嫌いで嫌いで仕方なかった弟が、俺が理想とする美しい娘になってしまったらどうすればいいと思う?
強く抱きしめれば簡単に折れてしまいそうな程、頼りない身体。俺の胸元までしか届かない身長。雪のように白い肌と、色素の薄い瞳。他の令嬢からは老婆のようだと揶揄されそうな白い髪さえ、一本一本が美しく垂れて見えるのはどういう現象なんだ。
そんな大嫌いな弟が、今は俺の為に献身的に世話をしてくれるようになってしまった。風呂でもトイレでもベッドのなかでも神出鬼没に現れては、俺を煽って本気にさせる。
嫌なのは、弟の冗談や挑発を、こんなつまらない悪戯さえ、本気で受け取ってしまう俺の精神状態だ。
何があっても動じるなと、堂々としていろと言われ育った俺だが、今じゃ一日中、一分一秒の隙間なく弟に脅かされている。
「その毒、ちょっと舐めたりしたらどうなるのかな。少し試してみよっか? 新しいプレイに使えるかも」
本気で毒を舐めかねない弟が恐ろしく、俺は短剣を回収するしかなかった。
「あれあれー? 憎い弟を殺せる短剣を回収しちゃうんですかー?」
「言っただろ。今のお前は俺の道具なんだよ。殺す時はその首を絞めて楽にしてやる」
俺に脅迫された弟が、俺の手を取って自分の胸に押し当てる。
「私のこと、殺せますか?」
最近の弟の技がこれだ。しおらしい可憐な娘のように振る舞って、挑発する。
細い肩を抱いて安心させてあげたくなるような、可憐な……いや、魔性の女っぷりだ。
思わず、強く抱きしめる。
するとどうなるか?
ここで化けの皮を脱いで俺を煽ってくるならまだいい。
「嬉しいです、レイン様。私を抱いてください」
最後まで、続けてくれるのだ……。
途中で中途半端にやめたりはしない。
最後までしっかりと夢を見せてくれる。
渇いた笑いすら零れそうだ。
どうやってこの悪魔を駆逐できる?
「レイン様……レイン様……」
あまったるく囁いて、眠りに落ちるその時まで子守歌すら謳って見せるこの悪魔を、俺は倒せる気がしなかった。
美しく聡明で、男女を問わず人気のある弟だった。
俺が嫉妬して、いつか無茶苦茶にしてやりたいと願わなかった日のない弟が、能天気な顔で毒をたっぷり塗りたくった短剣の手入れをしていた。
お前……!
とっさに手が伸びて、弟から剣を取り上げる。
コレットは俺に剣を奪われた拍子に「痛いっ!」と悲鳴をあげて蹲った。
俺は心臓が早鐘のように打つのを感じた。
元々、嫌がらせで渡したものだったが、まさか弟の手に渡ったままになっているとは思わなかった。
「早く見せろ!」
最悪は毒を吸い出すことも考えつつ弟の手を見ると、綺麗なままだった。
「あはは、驚いた? せっかくお兄様の誕生日プレゼントだからさー。僕が死んでくれた方が喜ぶと思ってサプライズをしたんだよ。ちょっと遅れちゃったけど、僕からの誕生日プレゼントだよ? あれ? 嬉しくなかった?」
イラつく、本当に嫌いで嫌いで仕方なかった弟が、俺が理想とする美しい娘になってしまったらどうすればいいと思う?
強く抱きしめれば簡単に折れてしまいそうな程、頼りない身体。俺の胸元までしか届かない身長。雪のように白い肌と、色素の薄い瞳。他の令嬢からは老婆のようだと揶揄されそうな白い髪さえ、一本一本が美しく垂れて見えるのはどういう現象なんだ。
そんな大嫌いな弟が、今は俺の為に献身的に世話をしてくれるようになってしまった。風呂でもトイレでもベッドのなかでも神出鬼没に現れては、俺を煽って本気にさせる。
嫌なのは、弟の冗談や挑発を、こんなつまらない悪戯さえ、本気で受け取ってしまう俺の精神状態だ。
何があっても動じるなと、堂々としていろと言われ育った俺だが、今じゃ一日中、一分一秒の隙間なく弟に脅かされている。
「その毒、ちょっと舐めたりしたらどうなるのかな。少し試してみよっか? 新しいプレイに使えるかも」
本気で毒を舐めかねない弟が恐ろしく、俺は短剣を回収するしかなかった。
「あれあれー? 憎い弟を殺せる短剣を回収しちゃうんですかー?」
「言っただろ。今のお前は俺の道具なんだよ。殺す時はその首を絞めて楽にしてやる」
俺に脅迫された弟が、俺の手を取って自分の胸に押し当てる。
「私のこと、殺せますか?」
最近の弟の技がこれだ。しおらしい可憐な娘のように振る舞って、挑発する。
細い肩を抱いて安心させてあげたくなるような、可憐な……いや、魔性の女っぷりだ。
思わず、強く抱きしめる。
するとどうなるか?
ここで化けの皮を脱いで俺を煽ってくるならまだいい。
「嬉しいです、レイン様。私を抱いてください」
最後まで、続けてくれるのだ……。
途中で中途半端にやめたりはしない。
最後までしっかりと夢を見せてくれる。
渇いた笑いすら零れそうだ。
どうやってこの悪魔を駆逐できる?
「レイン様……レイン様……」
あまったるく囁いて、眠りに落ちるその時まで子守歌すら謳って見せるこの悪魔を、俺は倒せる気がしなかった。
25
あなたにおすすめの小説
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー
AI比較企画作品
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる