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弟が魔性の姫になった件※お兄様視点
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生まれながらにして全てを手に入れていた憎き弟、コレット。
美しく聡明で、男女を問わず人気のある弟だった。
俺が嫉妬して、いつか無茶苦茶にしてやりたいと願わなかった日のない弟が、能天気な顔で毒をたっぷり塗りたくった短剣の手入れをしていた。
お前……!
とっさに手が伸びて、弟から剣を取り上げる。
コレットは俺に剣を奪われた拍子に「痛いっ!」と悲鳴をあげて蹲った。
俺は心臓が早鐘のように打つのを感じた。
元々、嫌がらせで渡したものだったが、まさか弟の手に渡ったままになっているとは思わなかった。
「早く見せろ!」
最悪は毒を吸い出すことも考えつつ弟の手を見ると、綺麗なままだった。
「あはは、驚いた? せっかくお兄様の誕生日プレゼントだからさー。僕が死んでくれた方が喜ぶと思ってサプライズをしたんだよ。ちょっと遅れちゃったけど、僕からの誕生日プレゼントだよ? あれ? 嬉しくなかった?」
イラつく、本当に嫌いで嫌いで仕方なかった弟が、俺が理想とする美しい娘になってしまったらどうすればいいと思う?
強く抱きしめれば簡単に折れてしまいそうな程、頼りない身体。俺の胸元までしか届かない身長。雪のように白い肌と、色素の薄い瞳。他の令嬢からは老婆のようだと揶揄されそうな白い髪さえ、一本一本が美しく垂れて見えるのはどういう現象なんだ。
そんな大嫌いな弟が、今は俺の為に献身的に世話をしてくれるようになってしまった。風呂でもトイレでもベッドのなかでも神出鬼没に現れては、俺を煽って本気にさせる。
嫌なのは、弟の冗談や挑発を、こんなつまらない悪戯さえ、本気で受け取ってしまう俺の精神状態だ。
何があっても動じるなと、堂々としていろと言われ育った俺だが、今じゃ一日中、一分一秒の隙間なく弟に脅かされている。
「その毒、ちょっと舐めたりしたらどうなるのかな。少し試してみよっか? 新しいプレイに使えるかも」
本気で毒を舐めかねない弟が恐ろしく、俺は短剣を回収するしかなかった。
「あれあれー? 憎い弟を殺せる短剣を回収しちゃうんですかー?」
「言っただろ。今のお前は俺の道具なんだよ。殺す時はその首を絞めて楽にしてやる」
俺に脅迫された弟が、俺の手を取って自分の胸に押し当てる。
「私のこと、殺せますか?」
最近の弟の技がこれだ。しおらしい可憐な娘のように振る舞って、挑発する。
細い肩を抱いて安心させてあげたくなるような、可憐な……いや、魔性の女っぷりだ。
思わず、強く抱きしめる。
するとどうなるか?
ここで化けの皮を脱いで俺を煽ってくるならまだいい。
「嬉しいです、レイン様。私を抱いてください」
最後まで、続けてくれるのだ……。
途中で中途半端にやめたりはしない。
最後までしっかりと夢を見せてくれる。
渇いた笑いすら零れそうだ。
どうやってこの悪魔を駆逐できる?
「レイン様……レイン様……」
あまったるく囁いて、眠りに落ちるその時まで子守歌すら謳って見せるこの悪魔を、俺は倒せる気がしなかった。
美しく聡明で、男女を問わず人気のある弟だった。
俺が嫉妬して、いつか無茶苦茶にしてやりたいと願わなかった日のない弟が、能天気な顔で毒をたっぷり塗りたくった短剣の手入れをしていた。
お前……!
とっさに手が伸びて、弟から剣を取り上げる。
コレットは俺に剣を奪われた拍子に「痛いっ!」と悲鳴をあげて蹲った。
俺は心臓が早鐘のように打つのを感じた。
元々、嫌がらせで渡したものだったが、まさか弟の手に渡ったままになっているとは思わなかった。
「早く見せろ!」
最悪は毒を吸い出すことも考えつつ弟の手を見ると、綺麗なままだった。
「あはは、驚いた? せっかくお兄様の誕生日プレゼントだからさー。僕が死んでくれた方が喜ぶと思ってサプライズをしたんだよ。ちょっと遅れちゃったけど、僕からの誕生日プレゼントだよ? あれ? 嬉しくなかった?」
イラつく、本当に嫌いで嫌いで仕方なかった弟が、俺が理想とする美しい娘になってしまったらどうすればいいと思う?
強く抱きしめれば簡単に折れてしまいそうな程、頼りない身体。俺の胸元までしか届かない身長。雪のように白い肌と、色素の薄い瞳。他の令嬢からは老婆のようだと揶揄されそうな白い髪さえ、一本一本が美しく垂れて見えるのはどういう現象なんだ。
そんな大嫌いな弟が、今は俺の為に献身的に世話をしてくれるようになってしまった。風呂でもトイレでもベッドのなかでも神出鬼没に現れては、俺を煽って本気にさせる。
嫌なのは、弟の冗談や挑発を、こんなつまらない悪戯さえ、本気で受け取ってしまう俺の精神状態だ。
何があっても動じるなと、堂々としていろと言われ育った俺だが、今じゃ一日中、一分一秒の隙間なく弟に脅かされている。
「その毒、ちょっと舐めたりしたらどうなるのかな。少し試してみよっか? 新しいプレイに使えるかも」
本気で毒を舐めかねない弟が恐ろしく、俺は短剣を回収するしかなかった。
「あれあれー? 憎い弟を殺せる短剣を回収しちゃうんですかー?」
「言っただろ。今のお前は俺の道具なんだよ。殺す時はその首を絞めて楽にしてやる」
俺に脅迫された弟が、俺の手を取って自分の胸に押し当てる。
「私のこと、殺せますか?」
最近の弟の技がこれだ。しおらしい可憐な娘のように振る舞って、挑発する。
細い肩を抱いて安心させてあげたくなるような、可憐な……いや、魔性の女っぷりだ。
思わず、強く抱きしめる。
するとどうなるか?
ここで化けの皮を脱いで俺を煽ってくるならまだいい。
「嬉しいです、レイン様。私を抱いてください」
最後まで、続けてくれるのだ……。
途中で中途半端にやめたりはしない。
最後までしっかりと夢を見せてくれる。
渇いた笑いすら零れそうだ。
どうやってこの悪魔を駆逐できる?
「レイン様……レイン様……」
あまったるく囁いて、眠りに落ちるその時まで子守歌すら謳って見せるこの悪魔を、俺は倒せる気がしなかった。
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