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《黒い魔獣》との戦い
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グラトは岩室の床に這いつくばっていた。
(入り口が自動で閉まったということは…)
暗闇の中、魔獣のフッフッフという鼻息が聞こえる。グラトは音を立てずにゆっくりと部屋の隅へと移動する。黒豹の仔が腕から逃げ出した。空気が動いた。グラトは身体を転がして横にずれると、今いたところで、固いものが岩に当たる音がした。魔獣は気配を掴めず、痺れを切らして手当たり次第に噛みつき、爪を立て始めた。グラトはなんとか避けていたが、黒豹の仔が魔獣に襲いかかった。首元に黒豹の仔をぶら下げ、魔獣は立ち上がる。グラトは短剣で魔獣の足首の腱を断つ。
「グアウ!」
バランスを崩した魔獣が部屋の真ん中の宝箱にぶつかり押し潰す。黒豹の仔はその隙に首元から離れ、闇に紛れる。
壊れた宝箱は“人喰い箱”だった。この岩室は人喰い箱のもので、通常は一度入った人間を閉じ込め、宝箱を開けた人間を呑み込むモンスターなのだが、今回は相手が大き過ぎた。押し潰されているのでダメージも負っている。怒った人喰い箱は眠りを誘う粉を相手の顔に吹き掛けたが、魔獣は避けるどころか逆に突進し、人喰い箱を噛み砕いた。
「!!!!」
人喰い箱は悲鳴の代わりに空気を振動させるとアイテムをドロップし消滅した。魔獣は粉が目に入ったようで、益々手当たり次第に攻撃してくる。運悪くグラトは右脛を噛まれてしまった。脛当てが軋む。魔獣が脛当てを咥えて振り回す。グラトは周りの壁のあちこちにぶつけられる。ぶつけられる度に何か細工をしているようだ。黒豹の仔がまた飛びかかった。今度は目を狙って引っ掻きにいったようだが、魔獣の前肢で打ち払われた。壁にぶつかり
「ギャン!」
と鳴いて静かになった。グラトは持っていた短剣を、魔物の目に突き立てた。魔物はグラトを思い切り壁に投げつけた。グラトは自由になる片足で壁を蹴り、天井を蹴り、床を滑って魔獣の股を潜り抜けた。魔獣が猛烈な殺気を放ちながらこちらに飛び掛かって来る。黒い魔獣に向かって左手を振ると、仕掛けた鋼糸がピンと張り、魔獣は自ら鋼糸に突っ込み、その体は四散した。
(入り口が自動で閉まったということは…)
暗闇の中、魔獣のフッフッフという鼻息が聞こえる。グラトは音を立てずにゆっくりと部屋の隅へと移動する。黒豹の仔が腕から逃げ出した。空気が動いた。グラトは身体を転がして横にずれると、今いたところで、固いものが岩に当たる音がした。魔獣は気配を掴めず、痺れを切らして手当たり次第に噛みつき、爪を立て始めた。グラトはなんとか避けていたが、黒豹の仔が魔獣に襲いかかった。首元に黒豹の仔をぶら下げ、魔獣は立ち上がる。グラトは短剣で魔獣の足首の腱を断つ。
「グアウ!」
バランスを崩した魔獣が部屋の真ん中の宝箱にぶつかり押し潰す。黒豹の仔はその隙に首元から離れ、闇に紛れる。
壊れた宝箱は“人喰い箱”だった。この岩室は人喰い箱のもので、通常は一度入った人間を閉じ込め、宝箱を開けた人間を呑み込むモンスターなのだが、今回は相手が大き過ぎた。押し潰されているのでダメージも負っている。怒った人喰い箱は眠りを誘う粉を相手の顔に吹き掛けたが、魔獣は避けるどころか逆に突進し、人喰い箱を噛み砕いた。
「!!!!」
人喰い箱は悲鳴の代わりに空気を振動させるとアイテムをドロップし消滅した。魔獣は粉が目に入ったようで、益々手当たり次第に攻撃してくる。運悪くグラトは右脛を噛まれてしまった。脛当てが軋む。魔獣が脛当てを咥えて振り回す。グラトは周りの壁のあちこちにぶつけられる。ぶつけられる度に何か細工をしているようだ。黒豹の仔がまた飛びかかった。今度は目を狙って引っ掻きにいったようだが、魔獣の前肢で打ち払われた。壁にぶつかり
「ギャン!」
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