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イリステラ王国編
151話 主人公、恋を知るー6
しおりを挟む「ミライ。この飲み物、美味しいよ。」
「あい!でも少し飲み過ぎじゃない?っていうか、それお酒だよ!しかもアルコール度数が高いヤツ。」
「えっ?全然わからなかった…。」
タムには普通の飲み物を頼んだはずなのに…。
あっ、もしかして普通の飲み物がお酒だったのか!
「タクミって、お酒に強いんだね!」
いや、アースにいた頃は、どちらかというと飲めない方だった。体質が変化してる?ドラゴンの力が発現したからなのだろうか。
不思議に思っていると、タムとティアが戻って来た。
「どうだった?運命の人はいた?」
「いろんな女の人に話しかけてみただども、上手く話せなかっただよ…。」
「ティアもダメだったぁ。ここにはいないみたい。でも、タクミとタムっていう素敵なお友達が出来たから、ここに来て良かったよ!」
「ティア~…。オラもティアに会えて良かっただよぉ。」
タムが半泣きでティアを見つめている。
結局、今日出会えたのはティア一人だったようだ。
「そろそろ終わりそうだから、もうティアは帰るね。」
「あっ。じゃあ、オラ達も帰るだよ。」
これ以上いても出会いは無いようなので、ティアと共にレストランを出る。
ティアも帰る方向が同じみたいだ。
この街は、夜でも出会いの場所を提供しているから、出歩いている人も多い。
そんな街の中を3人で楽しく話をしながら歩いていると、男がティアを呼び止めた。
「ティア!探したよ!どうして会ってくれないんだよ!」
「ジャン…。」
「ティアの知り合いだか?」
タムが、ティアとジャンと呼ばれた男の顔を交互に見る。
「ティア!この男達は?もう新しい男を見つけたのか!ボクだけだって言ってたじゃないか!」
「うん。ティアの運命の人はジャンだと思ったの。でも違った。ジャンには、ティア以外にもお付き合いしてる人がいるんだよね?」
「それは普通のことだろ?誰だってそうしてる。一人だけと付き合うヤツの方が珍しいよ。」
「でもティアは嫌なの。ティアが好きになった人には、ティアだけを好きでいてほしい。だから、もうジャンとは会わないって決めたの。」
「ボクはティアが好きだ。ティアだって、ボクが好きだろ?もう心配はいらないよ。ティアがイヤだって言うから、他の女の子達にはお別れを言ったよ。ボクにはティアだけだ。」
「ごめんなさい。ジャンはティアの運命の人じゃ無かったの。だから、もう会わない。」
「しばらく会ってないから、拗ねてるんだね?ごめんよ。それともこないだ一緒にいた女の子のこと?あれは声をかけられていただけだよ。ボクにはティアが必要なんだ!」
「ジャン、本当にごめんなさい。」
ティアは本気で嫌がっているが、ジャンはそれを理解していない。それどころかティアがただスネているだけだと思っている。
この男…。勘違いが激しいのか?
「そんな平凡な男達は、君には似合わないよ。そんなヤツらといたって、つまらないだろ?」
「やめて!ティアの友達のこと、悪く言わないで!ジャンといるより、2人といた方が楽しいの!だから、もうティアには構わないで!」
「なに言ってるんだよ。あんなにボクのこと、好きだって言ったじゃないか?ほら、あの時の映像を見ようよ。」
ジャンはそう言うと、パートナー精霊を出して何かの映像を空中に表示しようとする。
「ジャン。ティアの許可が無いので、表示できません。不可能です。」
ジャンのパートナーが淡々と返事をする。
「ティア!何か誤解があるようだね?こっちに来て!ちょっと話をしようじゃないか!」
ジャンがティアの手を掴んで、連れて行こうとする。
ティアはジャンの手を振り解こうとするが、ジャンは離そうとしない。
なんて強引なヤツなんだ!
僕がジャンを制止しようとした瞬間、ティアのパートナー精霊が現れた。
「身の危険を感じました。防御結界を展開します。」
ティアを包むように結界が発生する。
結界に阻まれて、ジャンはティアに近づくことができなくなった。
「もうやめるべ!防御結界の発生は、本気の拒絶だ!その意味が分からない大人はいないはずだべ!それともジャンは大人ではないだか?」
タムがジャンに忠告する。
「うっ、うるさい!ボクは悪くない!悪いのはティアだ!ティアは付き合っては、いつもすぐ別れるじゃないか!ボクで何人目だよ!ティアが悪いんだ…。そうだよ。そんなティアを愛してくれる相手なんていないよ。永遠に現れない!永遠にだ!」
「ジャン!それは言い過ぎです!」
ジャンのパートナー精霊が慌てて止めようとするが、言葉の刃はティアに突き刺さる。
「ティアを愛してくれる相手は現れない…。永遠に現れない…。」
ティアがブツブツとつぶやいてる。様子が変だ。
言葉を口の中で繰り返しながら、ティアがゆらりと揺れる。そしてそのまま後ろへ倒れる。
あっ、危ない!
ティアが地面に倒れる寸前に抱きとめた人がいた。
!!!
プロポーションの良い身体、際どい服。
イリス様だ!何故ここにイリス様が?
「あらぁ、よくもウチのティアをいじめてくれたわねぇ。」
ジャンはティアが倒れたこととイリスが現れたことで、言葉を失っている。
代わりにジャンの精霊が必死に謝っている。
「ごめんなさい!ジャンは普段はこんな言葉を使う人ではないんです。ティアのことが好きで好きで…。」
「好きだからって何をしてもいいわけではないだよ!」
タムが怒っている。
「もうこんな事をしないように、ジャンに言い聞かせますから。許してください。」
「そう、そうだったのねぇ。仕方ないわねぇ。悪いけど、ジャンにはティアの事を忘れてもらうわ。」
イリスはティアを僕に預けると、ジャンへと近づく。そして、何かを唱えた後、ジャンの額に口付ける。
「なっ!なにを…。」
驚いていたジャンの目が虚ろになる。
「ティアの事を忘れてもらうわ。貴方はティアなんて知らない。会ったこともない。いいわね。」
「ティアの事は知らない。会ったこともない…。」
ジャンが虚ろな目をしたまま、反復している。
「ジャンには忘却の術をかけたわ。明日になればティアの事は忘れている。あとは任せたわよ。」
イリスはジャンのパートナー精霊にそう言うと、振り向いて僕達に微笑む。
「悪いけど、王宮まで付き合ってもらうわよ。」
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