異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味

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ベアルダウン王国編

165話 主人公、スローライフを満喫するー1

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 タムのファーム(牧場や農場)があるというベアルダウン王国に来て、数日。僕は、タムの家に泊まらせてもらっていた。
  
「うーんっ!」
 陽の光で目が覚めた僕は、外に出て太陽を浴びながら、大きく手を伸ばす。
「今日も天気が良くてよかったなぁ。」

「んだ。おはよう、タクミ。」
 声がした方に振り向くと、野菜を手に持ったタムが立っていた。僕より早く起きて、すでに一仕事終えたようだ。

「今日もいい天気で良かっただよ。今日は西の牧場を見に行くだ。いま採ってきた野菜で朝ご飯作るから、それを食べたら行くべ。」

「あっ、僕も手伝うよ。」

 料理は苦手だけど、野菜を洗うことくらいはできる。

 簡単なサラダとスープを作り、紋章システムからパンを出すと、朝ご飯の完成だ。

「やっぱり採れたての野菜は美味しいよね。」

「んだ。紋章システムから出すサラダも新鮮だども、自分が採ってきた野菜を食べるのは格別だべ。」

 朝起きたら新鮮な野菜を食べて、晴れていたら、牧場や農場を見に行く。

 この国では時間がゆっくりと流れてる気がするな。

「これがスローライフってものなのかなぁ。こういう生活っていいなぁ。」
 朝食を食べながら、僕は思ったことを口に出していた。

「なんだべ?スローライフって?」

「僕が住んでた国は、毎日が忙しくて、こんなにゆったりとした生活はできなかったんだよ。大量生産、大量消費。流行はすぐに変化するし、時間の流れが早い。それじゃいけないよねって考え方がスローライフって言うらしいんだけど、明確な定義はないんだって。」

「スローライフは何をするんだべ?」

「タムがいつもしている生活が、まさにスローライフだと思うよ。自分のところで採れた食材を使って料理をして、雨が降った時は外での仕事はお休みだよね。僕は、こういう生活がしてみたかったんだよ!」

「んだか?でもそんなに良いものでもないべよ。毎日やる事は多くあるし。」

「でも、自分のペースで出来るよね?うらやましいよ。僕なんか、朝早く会社に行って夜遅く帰ってくる、毎日がこれの繰り返しだったんだよ。」

「タクミがいた世界の仕事は、大変なんだべなぁ。」
 タムがしみじみと同情してくれる。

 あれからタムは、リオンとシオンからアースのことを教えてもらったようだ。何でもすぐに理解してしまうタムは頭が良いのだろう。

 それにしても、理解力があって、料理が上手で、仕事もできて、戦闘もできるなんて。見た目は素朴な青年なのに、タムって日本にいたら、とてもモテるのでは?女の子は見た目とのギャップに弱いらしいし。

 そんなことを思いながらタムを見ていると、扉の方で気配がした。

「あっ、そろそろ来る頃じゃない?」
 僕の言葉にタムは複雑な顔をする。

「タム!おはよう!今日も来たよ。」
 大きな音をたてて入ってきたのは、ソラだ。今日もスタイルの良い女性の姿。ソラは純血のドラゴンで、ドラゴンは色々な姿に変現することができる。ソラは、タムが運命の相手だから女性の姿になったと言っていた。

「もうちょっと静かに入ってくるだよ。扉が壊れるべ。」

「ごめん、ごめん。タムに会えるかと思うとつい力が入っちゃって。」
 ソラの悪びれない謝罪に困った顔をしているタムだが、本気で怒っているわけではない。毎日会いに来るソラのことが、気になっているみたいだ。

 ベアルダウン王国に来て、タムの家を紋章システムで再建した次の日に、ソラはやって来た。『ボクは分身体だけど、ボクのことを知ってほしいから毎日来るよ』と言って。

 タムにドラゴンの印をつけたのは、タムの居場所を特定したかったからのようだ。




 タムのファームがある場所は、盆地のようなところだった。四方を山に囲まれていて、周りには何もない。

 ここって、隣家とかないのか?
 不思議に思って聞くと、隣まで数十キロだとタムは答えた。

 うーん、広さの感覚が日本で生まれた僕とは違うんだよなぁ。それにしても、とてもキレイな場所だよな。

 タムがスカラに滞在していた間は、タムのお父さんとお兄さんがこのファームを見ていてくれたらしいけど。

 リオンとシオンから連絡をもらうまで、しばらくはここに滞在することにした僕は、タムの仕事を教えてもらっていた。

 ソラは毎日、数時間だけ僕らと一緒にファームの仕事をして居なくなる。分身体であるソラには活動の限界があるというのだ。

 そんなに毎日来なくてもいいべ、というタムの言葉に、「タムには、ボクのことをもっといっぱい知ってほしいから!」と言って、押しかけてくる。

「朝ご飯も食べたし、今日は西の牧場に行くべ。ちょっと距離があるから、ホバーで行くつもりだども、タクミは乗れるだか?」

「うん。僕は大丈夫だよ。リオンとシオンに教えてもらって、何度も乗ってるから。それより…。」

 タムの腕に抱きついて離れようとしないソラを見ると、キョトンとしている。

「ソラはきっと、ホバー知らないと思うよ。ドラゴンはそんなのに乗る必要がないから。」

「仕方ないべ。オラの後ろに乗るだよ。」

 タムの言葉に、わかりやすく喜ぶソラ。嬉しそうにホバーの後ろに乗って、タムに抱きつく。

 タムは、「むっ、胸があたってるだよ…」とつぶやき、赤くなった顔のまま、ホバーを発進させた。
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