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ベアルダウン王国編
177話 主人公、ドラゴンの神殿を調査するー3
しおりを挟む『ユーリはドラゴノイドのルーツを知りたいということだったな。ドラゴノイドは、ドラゴンとヒト種、獣人種の間に生まれた子供のことだ。』
「アズマ。僕はソラから、ドラゴンは運命の相手を探しているって聞いたよ。運命の相手がヒト種や獣人種だった場合、その子供達はドラゴノイドになるってこと?じゃ、ソラは自分のことを純血のドラゴンって言ってたけど、純血のドラゴンってどういうことです?」
『相変わらず、ソラは大雑把だな。タクミにそんな説明をしておるのか。確かに、私達ドラゴンは運命の相手を探す宿命だ。しかし、運命の相手に会えるドラゴンは少ない。運命の相手ではなくても、好きになったらそういう関係になることある。タクミもそうだろう?』
「いえ、僕はそういうことには疎くて…。」
『ふははっ、そうか。タクミはまだ子供だったな。簡単なことだ。運命の相手との間に生まれた子供が純血のドラゴン。運命の相手ではない者との間に生まれた子供が、ドラゴノイドだ。』
「ドラゴノイドは、ドラゴンとの間に生まれた子供のこと。やはり言い伝えのとおりだったんだ…。でも運命の相手ではないってところが、複雑な気分っすね…。」
『運命の相手と出会えるドラゴンは、ほとんど居ないのだよ。だから、その時好きになった相手と子を為すことの方が多い。その昔、この世界には多くのドラゴノイドがいたよ。』
「多くのドラゴノイドがいた?精霊種とか、力が強くて長命な種族ほど、子供は出来にくいって聞いたけど。」
『その通りだ。だから、ヒト種との間の子供が多かったな。ヒト種の繁殖力は、私達ドラゴンからしたら、驚くべき能力だよ。』
「今のエレメンテには、純血のドラゴンはもういないってソラは言ってた。僕が知っているソラは分身体。アズマ、もしかして貴方も本体ではないのでは?」
『そうだ。私は遥か昔に死んでいる。ここで君達と話をしているのは、この建物に染み付いた私の記憶だよ。』
「アズマはもう死んでる人ってこと?こんなに普通に話しているのに?アタイには、信じられないよ…。」
たしかにそうだ。こんな事ができるなんて…。それに、この威厳。
「ドラゴンは個体によって強さが違うと、ソラは言っていた。このような事ができる貴方は、もしかして…。」
『私か?私もソラと同じ、純血のドラゴンだよ。ただし、龍王と呼ばれていたこともあったがな。』
龍王…。ドラゴンの王様。
アズマはソラと同じくらい、いや、それ以上の能力の持ち主なのでは?
『ソラと私は同等だよ。私は自らを王と呼んだことはない。龍王という呼び名は、私とソラ以外の者達が便宜上、そう呼称していただけだ。』
「でも龍王と呼ばれてたってことは、ドラゴンの国があったということっすよね?」
アズマの威厳に気圧されているユーリは、変な口調のまま質問する。
『私はこの島で、私の子供達と穏やかに暮らしておっただけだよ。だが、たまにドラゴンが何たるかを知らない馬鹿なヒト種が、荒らしに来ることがあったのでな。そ奴らを懲らしめて、不要な者達が入って来れないようにしたこともあったのだよ。すると、ヒト種がこの島をドラゴンの国と呼び、私のことを龍王と呼称するようになったのだ。』
「子供達と暮らしていた?」
『そうだ。幸い私は、運命の相手と巡り会えてな。ここで、家族でひっそりと暮らしておったのだ。まぁ、運命の相手と会う前に、他のヒト種との間に生まれた子供達もおったからな。大家族であったが。』
あっ!だから、この建物には部屋がいっぱいあったんだ!
じゃあ、この建物の仕掛けは…。
『タクミの想像したとおりだ。子供達の能力を伸ばすための仕掛けだよ。この島には、ドラゴンとドラゴノイドが大勢暮らしておった。』
「能力を伸ばすための仕掛け?じゃ、アタイもドラゴンの瞳をうまく使えるようになるっすか?だったら、ぜひ特訓してほしいよ!」
『そうじゃな。試してみる価値はあるだろう。今のこの世界には、師になるようなドラゴンやドラゴノイドがほとんどいないのだな…。』
「はい。アタイと姉貴みたいなドラゴノイドは、とても少ないっす。混血が進んで、母さんみたいに見た目はヒト種だけど、ドラゴンの瞳の能力だけ発現する人もいるけど。」
『そうか。では、しばらくここで能力を磨くといい。ユーリとタクミを登録しておいたから、自由にここに入れる。いつでも歓迎だよ。』
「ありがとうっす!じゃ、タクミ。日中はここで特訓で、夜は拠点の小屋で自給自足の生活だ!』
自給自足…。
この建物で生活させてくれないかなぁ。
快適そうだし…。
『それはいかんぞ。タクミはこの島に自給自足を学びに来ておるのだろう?自給自足を学ぶのは重要なことだ。』
僕の考えを読んだアズマに諭される。
「アズマの言うとおりだよ。タクミは良い意味でも悪い意味でも、『現代人』だよね~。自給自足もできないし、トイレやお風呂が無い場所は苦手だし。」
仕方ないだろ!日本での生活に慣れてると、こういう生活はまず無理だよ。
でもそれじゃダメなんだろうな。これは、素直に従うしかない。
こうして僕は、日中はこの建物でドラゴンの能力を磨き、夜は自給自足で暮らすという生活を1週間続けたのだった。
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