異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味

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ベアルダウン王国編

178話 主人公、ドラゴンの神殿を調査するー4

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『ユーリはかなりドラゴンの瞳を使えるようになったな。』

「ありがとう!アズマのおかげだよ!」

 アズマの特訓を受けることになってから1週間。ユーリは、ドラゴンの瞳の能力をレベル1まで使えるようになっていた。

「これはスゴイよ。アタイが、母さんより使えるようになるなんて!」

 ユーリは、アズマの独特の雰囲気にも慣れて、やっと普通に話せるようになったらしい。

 一方の僕は、ドラゴンの瞳はかなり使えるので、ドラゴノイドへの変現を教えてもらっていた。

 ソラの教え方は大雑把で感覚的だから、良く分からなかったが、アズマは丁寧で理論的だ。

『タクミは元々ヒトだ。そして異世界生まれでドラゴノイドに馴染みがないから、イメージしづらいのだな。だから、腕と脚にしか鱗をまとえない……。そうだ!鱗の鎧をまとってるイメージで変現してみるのだ。』

「ヨロイ?」

『タクミがいた世界には、様々な鎧があるだろう?それをイメージするのだよ。』

 鎧を着ているイメージで、ドラゴノイドに変現する…。それなら、具体的にイメージできるな。

 僕は戦国武将の鎧をイメージしてみる。そして、それを着ている自分を想像する。すると、簡単にドラゴノイドに変現できてしまった。

「あれ?ソラの特訓では、あんなに難しいと思ってたのに。」

『ふははっ!ソラの説明は、感覚的だからな。タクミはただ単にイメージできてなかっただけだ。ソラは昔から自分の好奇心が最優先だから、人に何かを教えることには向いてないのだよ。』

 たしかにソラは5000年も生きているって割に、子供みたいだ。ドラゴンってそういうものかと思っていたけど、ソラの性格の問題だったんだな。

 ドラゴノイドに変現できるようになった僕は、アズマにドラゴノイドの戦い方を学ぶ。そして、ユーリと模擬戦闘できるくらいまでになる。

『1週間でここまで出来るようになるとは。ユーリもタクミも頑張ったな。お前達はこれから暗黒大陸とやらに行くのだろう?餞別に私が術をひとつ教えてやろう。』

 術?

『ドラゴンにしか使えない術だが、便利だぞ。転移の術だ。紋様を印した場所と場所をつなぐ術でな。お前達の拠点があるハドリー岬と暗黒大陸の両方に紋様を設置しておけば、一瞬で移動できるぞ。ただし、両方に紋様を設置する必要があるがな。』

「今のこの世界にある術式みたいなもの?」

『ふむ、この時代にあるものとは少し違うな。私が今から教える術は、精霊のいないところでも使えるのだよ。』

 精霊のいないところでも使える。ということは、ドラゴンにしか扱えない特殊な術…。

『ちと複雑な紋様を描くのだが、ミライなら覚えることができるだろう。』

 僕に覚えることができるかなぁと不安に思っていたことは、アズマにはバレバレだったようだ。

『タクミはミライの指示どおりに紋様を描いて、そこにドラゴンの力を注ぎ込むだけだ。簡単だろう?ただ、ひとつだけ注意点がある。この術は、施したドラゴン本人がいないと発動しないのだよ。だが、暗黒大陸にはタクミも同行するのなら問題ないな。』

「でも、暗黒大陸の方にも先に術を施す必要があるんだよね?一度先に行かないと…。」

「タクミ、暗黒大陸に行くには時間がかかるよ。なにせ精霊がいないから、精霊を動力としている乗り物は使えない。途中までなら行けるけど。」

「えっ?リオンとシオンは、暗黒大陸に着いたら、ホバーで移動する予定って言ってたけど。」

 そうだよ。精霊がいない場所では、ホバーが使えないんだった。なんで気付かなかったんだろう…。

「それは大丈夫さ。いま特別仕様のホバーを作成中なんだよ。サクラとモミジが作ってる。それを使う予定なのさ。」

 そうだったんだ。

「ユーリは、いつもどうやって暗黒大陸に行くの?」

「アタイは、暗黒大陸に一番近い島までホバーで行って、そこから船だよ。荷物もあるからね。島で船を自作して、それで海を渡るんだ。うまく行けば、2、3日で着くよ。」

 かっ、過酷だな…。それは僕には無理だ。

『心配しなくても、私が少し手助けをしてやろう。タクミに術を教えるついでだ。まずはここに紋様を描くぞ。ミライ、この紋様を覚えてごらん。』

「あい!アズマ、覚えたよ!」

『では、タクミと協力して地面に紋様を描くのだ。』

「あい!」

 僕はミライの指示どおりに、地面に紋様を描く。ミライはアズマに教えてもらった紋様を地面に投射してくれているから、それをなぞるだけだ。

『ほほぅ、ミライは考えたな。投射とは、賢いのぅ。』

「あい!」
 褒められて、ミライはとても嬉しそうだ。

『では、タクミ。いま描いた紋様にドラゴンの力を注ぎ込むのだ。』

 僕は意識を集中する。紋様が光り出した。

『ふむ、これで完成だ。では、あちらにも描くとするか。タクミ、お前の力を借りるぞ。』

 アズマがそう言った後、すぐに周りの景色が変わる。

 砂漠?ここは…。

「あい!前に来たね。暗黒大陸だ。」
 僕の肩の上にいるミライが答えてくれる。

『私の今の力ではここが精一杯の位置だ。お前達が目指している場所まで距離があるが、そこは許してくれ。』

 アズマの声が頭の中に聞こえる。

「いえ、ここまでしていただいて、ありがとうございます。十分ですよ。」
  
 僕は地面に紋様を描く。
 これって砂だけど大丈夫なのかな?

『紋様を描いたらすぐにドラゴンの力を注ぎ込め。砂であろうとそこに刻み込まれる。』

 力を込めた瞬間、砂が光る。
 砂が風で流されても、紋様だけは浮かび上がっている。

『うまく出来たようだな。では、その紋様の上に乗って、この場所へと戻ってくるのだ。頭で思い浮かべるだけでいい。』

 アズマの指示どおりに、紋様の上に乗った瞬間、僕の身体は暗黒大陸から消えていた。



『戻って来たな。成功だ。この術は、ふたつの場所をつなぐことしかできない。この場所の紋様は消して、ハドリー岬に紋様を描くのだ。いいな?』

「はい、ありがとうございます。アズマは何でもお見通しなのですね。本当は暗黒大陸のことも、大いなる呪いのこともご存知なんですよね?」

『うむ、知っておる。が、お前達に話すことはできない。この時代に生きているお前達が、自分で知ることだと思うからだ。真実を知ったお前達が答えを見つけるのだ。』

 アズマは僕の目をジッと見て、話を続ける。

『これだけは言っておく。世界には、答えのない問題だらけだ。だから、どのような答えを出しても正解なのだよ。答えを出すメンバーによって、答えは変わるのだから。それを忘れるな。』

「アズマ、ありがとう。」

『うむ。また迷うことがあったら、いつでも訪ねてくるといい。ドラゴンとドラゴノイドのために、この建物はあるのだよ。』

「今度は、母さんと姉貴を連れてくるよ。アズマ、また必ず来るから。」

『ユーリよ、楽しみに待っているぞ。』



 僕とユーリはその後、すぐにハドリー岬へと戻る。
 国外でも紋章システムが使えるミライに連絡が入ったからだ。ついに準備が整ったから、戻って来るようにと。

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