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ガンガルシア王国編
210話 主人公、恐怖を知るー3
しおりを挟むデュラハンの助言では、ディルは一度弾くと防御結界で防ぐことが出来るらしい。
僕はソラに教えてもらった精霊球を何個か作り出して、タム達を囲むように空中に浮かせる。
「ディルが飛んできたら、弾くように命令した。精霊球で撃ち逃したディルは、シグルトが処理するんだ。後は頼んだよ。」
僕はそう言うと、タム達からできるだけ遠くに離れるために走り出す。ミライは僕の肩に乗ったままだ。
「ミライ、危ないからタム達と一緒にいるんだ。」
「それはダメ!あの特A級は危険!ミライはタクミを助けるための存在!ミライも一緒に行く!それにタクミの、ドラゴンのチカラを食べてるから、炎耐性も物理攻撃耐性もあるよ!」
ミライは僕のチカラを取り込んで、成長している。少しずつ、ドラゴンに近い存在になっているのだろう。
「わかったよ。でも、危ないと思ったら防御結界を使うんだよ。ミライは、ラトニーやデュラハンとは違う。実体があるんだから。」
「あい!」
僕の言葉に素直に返事をするミライは、とても愛くるしい。僕が居なくなったら、ミライにチカラをあげることができなくなる。そうなったら、ミライはどうなってしまうのだろう…。
絶対生きて帰らなくては!
覚悟ができた僕は、仲間から離れた位置で、もう一度ドラゴンの姿になる。
あのワイバーンとやり合うなら、この姿の方がいい。頭の上には、ミライがいる。ワイバーンの攻撃を分析して、助言をくれるはずだ。僕は一人じゃない。だから、頑張れる!
ワイバーンは、8本のヘビ頭のひとつからディルを吐き出して、飛ばしてくる。
僕は鱗を飛ばして、それを撃墜する。
それを見たワイバーンが、こちらに注意を向けた。
「タクミ!この特A級のワイバーンには、ヘビの頭のような尻尾が8本ある。それぞれが特殊攻撃してくるんだ。分かっている攻撃は、ディル、毒霧、石化光線、溶解液、火炎、氷塊。後の2つは記録に無いから、気をつけて!」
やっぱり、ヤバイ相手だったか!
上手く注意を引いたから、後は少しずつ、この場所から引き離そう。
僕はワイバーンに向かって、ドラゴンの炎を吐く。ソラは言っていた。強い気持ちが自分を強くするのだと。
僕は負けたくない。仲間を守るために。そして、自分とミライを守るために!
僕の覚悟がドラゴンブレスの威力を強化したようだ。ワイバーンが嫌がっている。
効果があるかよく分からないが、もう細かいことには構ってられない。少しでもワイバーンの気を引くために、僕は体当たりをする。
すると、ムキになったワイバーンがこちらに向かってきた。
よし!今だ!僕は飛んで逃げる。
ワイバーンが追ってくる。
いいぞ!これで少しは距離を稼いだ。
さぁ、ここなら周りに誰もいない。僕も本気で攻撃させてもらうよ。
仲間とかなり離れた位置まで来た僕は、時間を稼ぐために、こちらから攻撃することにした。このワイバーンを野放しにすることは出来ない。何の準備もなく遭遇したチームでは全滅するだろうし、もしコイツが町へと侵入したら…。
僕は映像で少しだけ見た龍王達の闘い方を思い出す。たしか、口から炎だけではなくて、何かのチカラの塊を吐いていた。以前、トールとサーシャのドラゴノイドスーパーノヴァを見たが、アレに近いのかもしれない。
僕はイメージをする。そして、自分にもできる、と自己暗示をかける。
集中した僕は、チカラの塊をワイバーンに思い切り当てるようなイメージで、咆哮した。
口から炎ではなく、純粋なチカラの塊が吐き出される。それは、まさしくドラゴノイドスーパーノヴァ。それが、ワイバーンの羽に当たり、羽に穴が開く。
はじめてだけど、できた!
そして、羽を封じることができたぞ!
これで、ヤツはもう飛べない。
そこからはもう夢中だった。蛇頭の尾から吐き出されたディルを鱗を飛ばして撃墜し、ディルの攻撃を封じる。そして、ドラゴンの爪を強化して、ディルを吐き出す蛇頭を根本から切り取る。が、すぐに再生する。
再生能力があるのか?!
羽は再生しなかったのに…。
「タクミ!ディルは炎に弱い。もしかしたら、炎が効くかも。切り取った箇所を炎で焼くんだ!」
ミライの助言の通り、切った箇所を炎で焼く。
やった!再生しない!
さすがミライ!いい分析だ!
毒霧や溶解液を吐くという他の尻尾も切り落として、炎で焼く。
その間も、たくさんの鱗を刃に変えて攻撃を続ける。当たると爆発するから、ワイバーンは鱗の刃に気をとられて、ドラゴンの僕本体の攻撃に集中できていないようだ。
無我夢中で攻撃を続けること数十分。
ワイバーンが突如倒れた。
やったのか?
ホッとして思わず気を抜いてしまった。
その瞬間、僕の腹に何かが突き刺さる。
倒れたワイバーンの残った尻尾の蛇頭が、根本から分離して僕の身体に突き刺さり、大きな穴をあけた。
ウソだろ…。僕の硬い鱗を貫くなんて…。
ドスッ!ガスッ!
倒れたと見せかけたワイバーンの残った尻尾が再生しては、突き刺さる。
油断した…。
最後が肝心だって、タムも言っていたのに…。
身体にいくつもの穴があいた僕は、そのまま後ろへと倒れ、意識を失ったのだった…。
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