異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味

文字の大きさ
40 / 247
セシリア王国編

37話 主人公、異世界の歴史を学ぶー3

しおりを挟む
 

「最後に残ったのは民主主義国家ですが。民主主義国家が世界統一できたか、それは皆さんが良く知っていますよね。」

「できなかった!だって、いまのエレメンテにはそういう国はひとつもないよ!」
 中学生くらいの男の子が答える。

「そうですね。今のエレメンテには、7つの王国がありますが、どれも民主主義国家ではありません。」

「ドゥイガーン王国が滅亡した後、民主主義国家が主導となり、話し合いで世界統一しようと目指したことがありました。が、結論から言うと、上手くいかなかった。エレメンテには、多様な種族がいます。その種族の代表者が一同に集まって、話し合いで物事を決めるということをしてみたのですが、意見がまとまらず、この試みは長く続きませんでした。話し合いで決めるのは、時間がかかりますからね。力で短期に決着をつけようとする種族も多かったのです。

 また、経済力で世界統一しようとした国もありました。経済とは、お金という仕組みがある世界で使われていた言葉です。知ってますか?」

 ライルは8歳くらいの男の子に質問する。

「少し前に、ファミリアでお金体験の訓練をしたよ。」

「あぁ、君くらいの年の子が参加する訓練だね。君より年下の子はまだ参加したことないからね。少し説明してくれるかい?」

「食物採集の対価として、お金っていうものが貰えるんだ。お金は、いろいろなものと交換できる。僕は食事当番を代わってほしいって他の子に頼んだんだ。少ないお金で代わってくれる子もいたし、たくさんのお金じゃないと代わってくれないって子もいた。それに、ある一定の時間の採集で、みんな同じお金しか貰えないんだよ。10個集めた子も、1個しか集められない子と同じお金。そんなの変だよね。」

「エレメンテには、初代王が紋章システムを開発するまで、このお金という仕組みがありました。その頃は、お金で何でも手に入れることができたのです。」

「紋章システムみたいなものなの?」
 さっきの男の子より、小さな女の子が聞く。

「似ていますが、全く別物です。紋章システムは、国民なら誰でも使えますよね。お金という仕組みは、お金がないと、何も手に入らないのです。
 このお金の仕組みには、良いところもありますが、悪いところも多くありました。さっきの話で、たくさん集めたのに、貰えるお金は同じというは、変ですよね。また、同じような仕事をしているのに、貰えるお金が少ないなんてこともありました。

 では、このお金という仕組みがある時代に最も力があったのは、誰か。それは、お金をたくさん持っている人、お金持ちと呼ばれていましたが、その人達だったのです。お金持ちは、お金で仕事をしてくれる人を募集します。お金持ちによっては、たくさんお金をくれる人や少ししかくれない人など、様々でした。

 お金というのは、一見平等そうに見えますが、実はとても不平等なものだった。お金持ちだけが、得をするような仕組みだったのです。」

 ライルはここで話を止める。そして、「ここまでの話で、お金について興味が出た人は、別の指導者のラートルに参加してくださいね。僕は歴史家なので、これ以上は分かりませんから。僕もまだまだ勉強不足です。」と言って、参加者を笑わせた。

 ライルのラートルは人気があるってシオンは言ってたけど、こういうところが人気の秘訣なんだろうな。すごく聞きやすいし、参加者を巻き込んで話を進めている。参加してて、とても楽しいし、頭に入ってくる。

 ライルは続ける。

「ということで、経済では、世界統一はできませんでした。身体が弱くて働けない人、親を亡くした子供など、お金が無くて食べる物もない、なんて人も多くいたのです。そういう人達の多くは、心が弱り、グールに取り憑かれ、怪異へと変貌しました。結局、不平等なものでは世界統一はできないのです。そのことに気付いたのが、このセシリア王国の初代王でした。」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

不遇スキル『動物親和EX』で手に入れたのは、最強もふもふ聖霊獣とのほっこり異世界スローライフでした

☆ほしい
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が異世界エルドラで授かったのは『動物親和EX』という一見地味なスキルだった。 日銭を稼ぐので精一杯の不遇な日々を送っていたある日、森で傷ついた謎の白い生き物「フェン」と出会う。 フェンは言葉を話し、実は強力な力を持つ聖霊獣だったのだ! フェンの驚異的な素材発見能力や戦闘補助のおかげで、俺の生活は一変。 美味しいものを食べ、新しい家に住み、絆を深めていく二人。 しかし、フェンの力を悪用しようとする者たちも現れる。フェンを守り、より深い絆を結ぶため、二人は聖霊獣との正式な『契約の儀式』を行うことができるという「守り人の一族」を探す旅に出る。 最強もふもふとの心温まる異世界冒険譚、ここに開幕!

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

『辺境伯一家の領地繁栄記』スキル育成記~最強双子、成長中~

鈴白理人
ファンタジー
ラザナキア王国の国民は【スキルツリー】という女神の加護を持つ。 そんな国の北に住むアクアオッジ辺境伯一家も例外ではなく、父は【掴みスキル】母は【育成スキル】の持ち主。 母のスキルのせいか、一家の子供たちは生まれたころから、派生スキルがポコポコ枝分かれし、スキルレベルもぐんぐん上がっていった。 双子で生まれた末っ子、兄のウィルフレッドの【精霊スキル】、妹のメリルの【魔法スキル】も例外なくレベルアップし、十五歳となった今、学園入学の秒読み段階を迎えていた── 前作→『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

処理中です...