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グランエアド王国編
84話 主人公、街へ行く
しおりを挟む45階のフロアは、ホテルのような造りになっていた。その一室を選んで、ミライに部屋を整えてもらう。
リオンとシオンからアースの部屋のデータをもらったミライは、見事に再現してみせた。ログハウスの僕の部屋も同じだから、理解が早かったようだ。何も無かった空間が、いつもの部屋になる。
うん、やっぱりこれが落ち着くな。
「タクミ!これって、アースで使ってた部屋を再現してるんだよね?ミライもアースに行ってみたいよ!」と、部屋を構築したミライが言う。
「そうだね。僕が生まれた場所だからね。セシルさまに頼んで、いつか一緒に行こうね。」
僕がこう言うと、ミライは嬉しそうに「あい!」と返事をする。
僕とミライは確実に絆を深めていた。
「タクミ。部屋はできた?おっ!上手くできてるね!上手だよ、ミライ!」
様子を見にきたシオンに褒められて、ミライは嬉しそうだ。
「ジークから連絡がまだ無いからさ。エア様に、直接会いに行こうと思って。ブランカの店ならここから近いし、行ってみようよ。街の中も見たいでしょ?」とリオンが提案する。
「街の中は見たいと思ってたんだ!もちろん行くよ!」
こうして、僕達は街に出たのだった。
グランエアド王国は、今まで行ったセシリア王国、フラルアルド王国とは、全然違っていた。
セシリア王国とフラルアルド王国は、自然がいっぱいで人工的なものを見かけることは、あまり無かった。どちらの王宮も、自然の中にポツリとある建物だ。
しかし、ここグランエアド王国の王宮の周りには建物が乱立して、王宮を中心に街ができている。日本のどこかの地方都市のようだ。街路樹がある道路も整備されている。
「日本のどこかの都市に似てるね。」
僕は道路を歩きながら、周りをキョロキョロと見回す。
道路といっても、車が通る道ではない。
歩いている人ばかりなので、歩行者専用道路のようだ。たまに、ホバーに似た乗り物で移動している人がいるが、スピードは歩くより少し早い程度だ。
「あのホバーは、スピード制限があるんだよ。ホバーには、自動で人や物を検知して、スピード制限する機能があるんだ。街中や人が多い場所で使っているのは、足が不自由な人だよ。この世界では、歩くことが普通だからね。」
「健康的でいいね!僕はアースでは、運動不足だったから。この世界には、便利な道具がたくさんあるのに、歩くことが基本なんだね。」
「歩かないと運動不足で病気になるしね。身体を動かすことは、重要なんだよ。だから、例えばさ。ウサ吉、ホバー出してよ。」
シオンがウサ吉にお願いしている。すると、ウサ子が出現する。
「シオン!ブランカのお店はすぐそこだよ!ちゃんと歩いて!着いたら、疲労回復効果があるハーブティーいれてあげるから!」
「ねっ!パートナー精霊が許可してくれないんだよ。紋章システムは便利な道具だけど、決して人を甘やかさない。」
「そうなんだ!ミライもそのうち厳しくなるのかなぁ?」
ミライを見ながらそう言うと、ミライはキョトンとした表情をする。
表情も豊かになってるな。ミライの成長が嬉しい。
そのミライもキョロキョロと見回して、「綺麗!」を連呼している。
たしかに、王宮の周りの建物はきらびやかだった。本当に日本みたいだ。通り沿いの建物には服屋や食べ物屋がある。
「この世界って、お金は無いんだよね?でもお店があるって、どういうことなの?」
「あぁ、これね。この世界のお店は全部、無料のお店だよ。」
「無料?」
「だって、お金っていう仕組みは無いからね。ここでお店を開いてるのは、お金を稼ぐためじゃない。タクミに分かりやすく言うと、趣味の店、道楽だよ。」
「例えば、料理を仕事にしている人が、実際に来てくれた人にご飯を出すお店をやってる場合もあるし、服のデザインを仕事にしている人が自分で実際に作った服を置いてる店もある。今から行くブランカの店もそういうお店のひとつだよ。」
「ブランカは、面白いデザインの服をたくさん公開してるんだ。この店には、公開してない奇抜なデザインの服が置いてある。だから、ブランカの服が好きな人はここに直接来るんだよ。公開してないってことは、ここに来ないと見れないからね。」
「他のお店もそうだよ。公開してない物を置いてる店が多いから、それを目当てで来る人がいっぱいいるんだ。だから、この街はいつも賑やかなんだよ。」
「お金儲けが目的じゃないからね。料理人のお店だと、先着何人までって制限がある店が普通だし、ブランカの店は、ブランカに気に入られないと、服を作ってくれない。だから、ブランカの服を着てるって、すごく羨望の的なんだよ。」
「へぇ、そんなにすごい人なんだ。」
「ブランカはランキング上位ではないけど、熱狂的なファンがいる事で有名なの。さぁ、着いたよ。ここがブランカの店だ。」
えっ?ここ?
通りから少し奥に入った、人通りも少ない場所だ。
「ブランカは少し変わってるからね。余計な一言とか言わないようにね。」というリオンの忠告に、不安になる。
どんな人なんだろう?
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