異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味

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グランエアド王国編

108話 主人公、公開するとは?を学ぶー3

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 僕とエア達の話を黙って聞いていたホンファが、急に立ち上がった。

 そして、
「貴方!もしかして異世界生まれなの?異世界ってどんなところ?」
 と興奮気味に話しかけてくる。

 元気になったのかな?
 というより、吹っ切れた?

「ホンファ!復活した?タクミの正体が気になるだろ?王宮に仕えるなら、教えてあげるよ~。どうする?」

 エアが意地悪そうに、提案する。

「もう、私の負けよ。私、良く考えたの。言われた通り、私には色々な経験が足りないわ。たくさんの本を読んだことで、私には知識があると思い込んでた。もっと、知らなくちゃいけないことがいっぱいあるってことにやっと気付いたの。ブランカも言ってたように、私も次の段階に進む時なんだわ。だから、私も王宮に仕える。
 エア様、よろしくお願いします。そして、アイリ。今までありがとう。いつかアイリに会えたら、絶対お礼を言おうと思ってたの。」

「うん!ボクこそ、ありがとう!これから、よろしくね。」

「では、ドロシー。守秘の約束をお願いします。王宮に仕えるということは、言ってはいけないことを体験するということです。」
 ジークの言葉にドロシーが素早く応じる。

「それは、ホンファも分かっていますわ。ホンファの名前に誓って必ず守ります。」
 ドロシーがそう言うと、ホンファの左手の紋章が光り出す。

「では、タクミ。ちょっと変現してもらえますか?」

 えっ?変現?

「たしかにそれが一番インパクトあるよね!」
 エアも、大賛成だという顔をする。

 いや、いいけどさ。なんだか珍獣扱いのような。

「変現してあげなよ。」
「そうだよ。減るもんじゃないし。」
 今まで黙って僕達を見守ってくれてたリオンとシオンも同意する。

「分かったよ。」

 その言葉と同時に僕の姿は見事なドラゴンになっていた。

 おぉ!どんどん早く変現できるようになってるぞ。ソラとの修行の成果か?

 ドラゴンの姿でホンファを見下ろすと、口がポカンと開いている。

 あー、僕も驚いた時はあんな感じの顔になってるんだなぁ。次からは気をつけよう。

『ホンファ、どうかな?僕の姿は?』

 僕の問いかけでようやく正気に戻ったホンファは、「やっぱり、私は何も分かってなかったんだわ。この世界には不思議なことがまだまだいっぱいあるのね。」と言う。

「そうだよ。この世界にはもっと楽しいこともいっぱいある。次は恋を知るといいね。」

 エアのこの言葉に、ホンファの顔が赤くなる。

「うん、アイリみたいな人だといいな。」

 ホンファの小声での告白は、エアには聞こえていないようだ。

「ほら、ホンファ見て!タクミの頭の上にいるのが、人工精霊のミライだよ。タクミはね。異世界アース生まれの先祖返りなんだよ。そして紋章が授かれなかった。ボク達、王と同じ。でもフラルアルドのジルがタクミ専用の精霊、ミライを生み出した。」

「フラルアルドのジルって、有名な改良家よね。でもそんな発明は公開されてないわ。」

「そうだよ。ミライは特別な存在。ジルは公開しなかったんだよ。」

「そんな!こんなに素晴らしい画期的な発明を公開しないなんて!」

「だから言ったでしょう。貴女の価値観で語ってはいけないと。」

「………。私、批評家はしばらくお休みする。もっと世界を知ってから、再開するわ。」

「うん。それがいいね。ホンファの批評は辞めるべきじゃないよ。少し休んだ後に、ホンファがいいと思った人や作品を見つけたら、批評するといい。愛のある批評をね。」





 それから数日後、ホンファはエアリーに対する批評を詫びる文章を公開した。

『自分にはまだまだ見る目がなかった。エアリーは決して王の力を使ってはいない。誰にも見抜けないくらいの不思議な演出は、エアリーの努力によって成り立っていた。それを見抜けなかった自分が未熟だった。だから、しばらく批評家としての活動は控えて、修行の旅に出ることにする』

 このホンファの文章が公開された後、エアリーは空を飛ぶ演出の秘密が分かる映像を公開した。そして、ホンファに分からなかったのは、単純過ぎる仕組みだったからだとしてホンファを責める気はないという言葉を付け加えていた。

「これで、騒ぎはおさまると思うよ。エアリーのファンの中には過激な人もいるからね。」
「うん。これでホンファもアースに行けるよ。だって、ホントに修行の旅だからね。」
 双子と共にリビング部屋で、そう話をしていると、ライルが慌てたような様子で入ってくる。

「タクミ、リオン、シオン!今から僕とマルクトール王国に行ってくれませんか?マルクトールの王宮図書館に古文書の秘密を解く鍵があるのを思い出しました!」

 マルクトールの王宮図書館?

 こうして、僕達はマルクトール王国に行くことになったのだった。

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