異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味

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マルクトール王国編

118話 主人公、エレーナの秘密を知るー2

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「記憶を忘れることができるから、生きていける?」

 僕の言葉にアドラが応じる。

「そうなのです。精神的に強い衝撃を受けた時、人はそれを徐々に忘れるようになっているのです。」

 たしかに、祖母が亡くなった時、あの会社に勤めていた時のことは、普段思い出すことはない。

「でもエレーナは、忘れることができないので、いつまでもその時の感情が蘇ってしまうのです。だから、できるだけ人に会わないように、図書館の主をしているのです。」

 忘れることができないって、大変なことだ。
 あまりにも精神的にツライ事があると、その時の記憶だけ無くなる人もいるらしいのに。それができないなんて。

「このままでは、エレーナは人と関わる事ができなくなってしまうのです。」

 一生、この図書館の主として、人と会わないように生活する?そんなことって…。

 なんとかしてあげたいけど、僕にできることはあるのか?

「そういえば、エレーナは精霊の気配を感じることができるの?」

「タクミがドラゴンの瞳で感知しているものと同じかは分からないのですが。エレーナは、五感をフルに使って周りのものを感じ取っている。それにより高速の反応が可能なのです。それは、精霊の気配を感じていると表現してもいいのかもしれませんが、アドラには分からないのです。」

「五感を使って、周りを観察してるんだね?」

 僕のドラゴンの瞳も似たような仕組みだ。僕を取り巻く環境や状況を観察して、少しの変化を感じて動いている。

 ドラゴンの瞳と仕組みが同じであれば、もしかしたら、ソラになら何か分かるかもしれないな。

(ソラ!ソラなら分かる?)

 心の中でソラを呼ぶ。

『珍しいね。さっき話したばかりなのに僕を呼ぶなんて』
 すぐにソラから返事があった。

(エレーナのことなんだけど)

『ふむ。離れた場所からでは、判断できないな。どうしてもって言うなら、その娘を僕のところに連れてくるんだ』

(ソラ、どうにかすることはできる?)

『うーん。いまのエレメンテは混血ばかりになったらしいな。だから、僕の知っている種族の特徴では判断できない。』

(混血!そうか、ソラの本体は500年前にこの世界を離れたって言ってたね)

『直接見たら何か分かるかもしれない。だからマルクトールにある最古の遺跡を探すんだ。僕はそこにいる』

(分かったよ。そこにエレーナを連れていくから)

『待ってるぞ』

(ありがとう。ソラ!)

 僕はアドラ達に、ソラの話をする。

「マルクトール最古の遺跡?それを探せばエレーナは良くなるのですね?」

「うん。ソラは直接見たら分かることがあるかもって言っていた。」

「いまマルクトールの王代理に頼んで、探してもらっているからね。」
「見つかったら、連絡が来ることになっている。じゃあ、そこにエレーナを同行すればいいんだね。」

「ソラは子供の姿をしているけど、たぶんすごく年上だと思うんだよ。そのソラになら、何か分かると思うよ。」

 僕達がそう話をしていると、周りの精霊球からびっくりするような音がした。

「警告!警告! 」

「「やばい!たぶんあの異常種だ。」」

「接近しています。あと5分で遭遇します。」
 精霊球が警告を発している。

「うっ、うん。私、どうして…。」
 大きな警告音で、エレーナの目が覚めたようだ。

「あっ、アドラ!」
 エレーナがアドラを抱きしめる。
「エレーナ、アドラは常にエレーナの側にいるのです。だから、安心するのです。あの異常種が接近しています。対処方法を考えるのです。殺したくないのでしょう?」

「異常種?そう、そうよ。私も同じ。私は異常種。私とそのケモノは同じなの。だから、助けたい。」

 エレーナは、自分のことを異常だと思っているのか!
 たしかに瞬間記憶は特殊な能力だ。だが、それは特殊なだけで異常ではない。

 でも。

 普通ならホームで家族と暮らしている時間を、1人であんな広い図書館で過ごさなくてはならないとしたら…。

 まだ成人前の女の子だ。
 寂しかっただろう。

 一体で出没しているケモノに自分を重ねてしまったのだな。

「警告!警告!撃退します!」

 精霊球が僕達の後方に、レーザーを打ち込む。

 そっちに出たか!

 目を凝らしてよく見ると、熊のような大きなケモノがこちらに向かってくるのが見えた。

「あれは!やっぱりカルミナベア!でもあんな大きな種類は見たことない!」
「しかも、走る速度が異常だよ。やっぱり異常種?」

「カルミナベア?」
「アースの熊に似たケモノだよ。通常はパンダみたいにゆっくり動くんだよ。雑食で山から下りてくることは、滅多にないんだけど。」

 ミライが解説してくれている間にも、精霊球がカルミナベアにレーザーを発射していた。

 当たっているはずなのに、動きを止めない。

「あっ、あれは…。」

 エレーナが何かに気付いたようだ。

 僕もドラゴンの瞳で見る。

 こちらに向かってくるカルミナベアの眼は血走り、口からはヨダレが垂れている。

 何かの興奮状態にあることは間違いない。やっぱり異常種なのか?

「いえ!あれは、何かの薬物中毒の症状だわ!リオン、シオン、タクミ!お願い。捕獲して!」

 エレーナが懇願する。

 捕獲?あれを?

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