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福来博士の憂鬱 その10 タコ出現
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星村風光が人間として完全復活したので、もうこの家には異常現象は起こらないだろうと、福来博士は思っていた。
タコリアンだった星村風光と彼の恋人だった季村桃子を連れて報告がてら『白ひげの喫茶店』にやって来た。
マスターに今までの経過を報告するとマスターはウンウンと頷いて
「そうですかい、それじゃ記念に今日の飲食代は全てわしのおごりにさせていただきます」と言ってくれた。
「いいんですかマスター?」
「いいも悪いもありませんや、日本の為に零戦特攻隊だった人にこれぐらいしないとバチが当たりますぜ」
「それじゃご馳走になります」と言って星村風光は直立不動体制からマスターに軽く敬礼した。
マスターも福来博士達もそれを見て軽く笑った。
「有り難うマスター」
「いえいえ、これぐらい当然ですよ。ところでもうあの家に怪奇現象は起こらないですかね」
「もう多分起こらないでしょう」
「そうですかい、わしはまた今夜あたり起こりそうな気がするんですが」
「今夜ですか?」
「今夜は満月ですからね」
「なるほど、マスター今夜もし暇だったら満月鑑賞にうちに来ますか?月見団子もリルに用意してもらいます」
「じゃあ伺いますのでよろしくお願いしましだ」
「了解お待ちしています」
そして、その夜福来博士の崖の上の家にマスターが電動自転車でやってきた。星村風光と彼の恋人だった季村桃子さんはタクシーでやってきた。
家の前で焚き火をたき、小さなテーブルを置いてリルが作ってくれた月見団子を並べる。
そして全員で満月を鑑賞会。
マスターが言ったような異常現象が起きる様子はまったく無い。
「がっかりだな異常現象を期待していたが、どうやらわしの勘違いだったようだな」とマスターが言った。
「いえこれからそれが起こります、皆さん驚かないでじっとしていて下さい」と星村風光が言った。
「えっ何が起きるんだ?」
「簡単な身体検査です。ほんの1分で終わりますから、驚かないでじっとしていて下さい」
星村風光がそう言うとすぐに上空にUFOが1隻現れた。
いわゆるアダムスキー型円盤だ。
それは彼らの上空百メートルぐらいに停止すると、中央部から彼らに向かって眩しい光を発射してきた。
「これは身体検査の為の光です。じっとしていれば終わります」
眩しさの為に全員目を閉じてさらに手で押さえていたが、彼が言った通り1分後には光は消えUFOも上空に飛び去ってしまった。
「これで身体検査は終わりました。安心してください」
「身体検査とは一体何の為なんでしょうか?」
「木星にいる母船に我々が行けるかどうかを身体的に検査したのです。博士から我々の母船に行ってみたいと言う希望を聞いていたので母船と連絡を取り合っていたわけです。これで検査に合格すれば、母船に搭乗資格はあります」
「なるほど、UFOからの光で身体検査をされるとは意外だった。実はあの光でUFOに吸収されるのではないかと冷や汗ものだった」と福来博士は言った。
「わしも検査されたのか、と言う事はわしも木星の母船に行けるのか」と白ひげマスターは言った。
「勿論ですマスターも行かれますか?」と星村風光は聞いた。
「行けるもんなら是非行ってみたい、いやお願いしたい星村風光どの・・・」とマスターは熱を込めて言った。
「わかりました。マスターも行けるように母船に連絡をとります」
「ありがたい」
「さあ・・・それではこれから博士の家の書斎で母船の概要を説明させていただきます」と星村風光が言って書斎のドアを開けて驚いた。
そこにはタコがいっぱいいた。
タコリアンではなくて普通のタコ達だ。
ざっと数えてその数は五百匹程度でそのへんのスーパーで売っている大きさの普通のタコ達が部屋の中を自由自在に歩き回っている。
全員その状況に唖然とするばかりだ。
「いったい何なんだこのタコ達は?」
「もしかしたら、さっきのUFOが連れてきたのかも知れない」と星村風光が言った。
「何故UFOがタコを連れて来たんだ?」と福来博士が聞いた。
「これは私の想像ですが、これらのタコをお土産として置いていったのかもしれません」
「このタコ達がお土産とは信じられない」と福来博士は言った。
「彼らは未開の種族に何かのプレゼントをテレポートで送る慣習があります」
「未開の種族とは我々地球人の事ですか?」と福来博士は聞いた。
「もちろんそうです。彼らから見たら地球人は遥かに精神文明の遅れた種族です。とりあえず科学力だけは使い方を間違って使っていますがね」
「精神文明か、確かにそうだ。それはともかくこのタコ達をどうしよう?」
「まかせて下さい。私が誘導して崖の下の海に連れて行きます」と星村風光が言った。
星村風光が唇に指を当ててヒュッと口笛を吹くとタコ達は彼に集中する。
彼が家の外に向かうと、タコ群はゆっくりとついて行く。
どうやら星村はこんな状況には慣れているようだ。
福来博士と白ひげマスターはその後をついていく。
崖の下のほうで海に近くなり、緩やかな斜面になって来ると、タコ達は海の匂いが近くなった為か足を早めた。
斜面に星村が立って手招きポーズをするとタコ達はかってに海に突進していく。
やがて全てのタコが海に帰り星村は安堵の息をついた。
「これで良かったんですよね。それとも何匹か捕らえて料理したほうが良かったでしょうか?」と彼はジョークを言った。
「たこ焼きにして食べてみたかったな、何しろ木星の母船からやってきたタコだから、宇宙的な味がしたかもしれん」とマスターはジョークで返した。
家に帰るとリルと季村桃子が書斎の拭き掃除をしていた。
匂いに敏感なリルはタコの匂いを消すのに苦労しているようだった。
「博士・・・タコの匂いが消えないんで困ってます」
「いいよ、しばらくほっとけば消えるからみんな応接室に集まってくれ」
「了解しました」
タコリアンだった星村風光と彼の恋人だった季村桃子を連れて報告がてら『白ひげの喫茶店』にやって来た。
マスターに今までの経過を報告するとマスターはウンウンと頷いて
「そうですかい、それじゃ記念に今日の飲食代は全てわしのおごりにさせていただきます」と言ってくれた。
「いいんですかマスター?」
「いいも悪いもありませんや、日本の為に零戦特攻隊だった人にこれぐらいしないとバチが当たりますぜ」
「それじゃご馳走になります」と言って星村風光は直立不動体制からマスターに軽く敬礼した。
マスターも福来博士達もそれを見て軽く笑った。
「有り難うマスター」
「いえいえ、これぐらい当然ですよ。ところでもうあの家に怪奇現象は起こらないですかね」
「もう多分起こらないでしょう」
「そうですかい、わしはまた今夜あたり起こりそうな気がするんですが」
「今夜ですか?」
「今夜は満月ですからね」
「なるほど、マスター今夜もし暇だったら満月鑑賞にうちに来ますか?月見団子もリルに用意してもらいます」
「じゃあ伺いますのでよろしくお願いしましだ」
「了解お待ちしています」
そして、その夜福来博士の崖の上の家にマスターが電動自転車でやってきた。星村風光と彼の恋人だった季村桃子さんはタクシーでやってきた。
家の前で焚き火をたき、小さなテーブルを置いてリルが作ってくれた月見団子を並べる。
そして全員で満月を鑑賞会。
マスターが言ったような異常現象が起きる様子はまったく無い。
「がっかりだな異常現象を期待していたが、どうやらわしの勘違いだったようだな」とマスターが言った。
「いえこれからそれが起こります、皆さん驚かないでじっとしていて下さい」と星村風光が言った。
「えっ何が起きるんだ?」
「簡単な身体検査です。ほんの1分で終わりますから、驚かないでじっとしていて下さい」
星村風光がそう言うとすぐに上空にUFOが1隻現れた。
いわゆるアダムスキー型円盤だ。
それは彼らの上空百メートルぐらいに停止すると、中央部から彼らに向かって眩しい光を発射してきた。
「これは身体検査の為の光です。じっとしていれば終わります」
眩しさの為に全員目を閉じてさらに手で押さえていたが、彼が言った通り1分後には光は消えUFOも上空に飛び去ってしまった。
「これで身体検査は終わりました。安心してください」
「身体検査とは一体何の為なんでしょうか?」
「木星にいる母船に我々が行けるかどうかを身体的に検査したのです。博士から我々の母船に行ってみたいと言う希望を聞いていたので母船と連絡を取り合っていたわけです。これで検査に合格すれば、母船に搭乗資格はあります」
「なるほど、UFOからの光で身体検査をされるとは意外だった。実はあの光でUFOに吸収されるのではないかと冷や汗ものだった」と福来博士は言った。
「わしも検査されたのか、と言う事はわしも木星の母船に行けるのか」と白ひげマスターは言った。
「勿論ですマスターも行かれますか?」と星村風光は聞いた。
「行けるもんなら是非行ってみたい、いやお願いしたい星村風光どの・・・」とマスターは熱を込めて言った。
「わかりました。マスターも行けるように母船に連絡をとります」
「ありがたい」
「さあ・・・それではこれから博士の家の書斎で母船の概要を説明させていただきます」と星村風光が言って書斎のドアを開けて驚いた。
そこにはタコがいっぱいいた。
タコリアンではなくて普通のタコ達だ。
ざっと数えてその数は五百匹程度でそのへんのスーパーで売っている大きさの普通のタコ達が部屋の中を自由自在に歩き回っている。
全員その状況に唖然とするばかりだ。
「いったい何なんだこのタコ達は?」
「もしかしたら、さっきのUFOが連れてきたのかも知れない」と星村風光が言った。
「何故UFOがタコを連れて来たんだ?」と福来博士が聞いた。
「これは私の想像ですが、これらのタコをお土産として置いていったのかもしれません」
「このタコ達がお土産とは信じられない」と福来博士は言った。
「彼らは未開の種族に何かのプレゼントをテレポートで送る慣習があります」
「未開の種族とは我々地球人の事ですか?」と福来博士は聞いた。
「もちろんそうです。彼らから見たら地球人は遥かに精神文明の遅れた種族です。とりあえず科学力だけは使い方を間違って使っていますがね」
「精神文明か、確かにそうだ。それはともかくこのタコ達をどうしよう?」
「まかせて下さい。私が誘導して崖の下の海に連れて行きます」と星村風光が言った。
星村風光が唇に指を当ててヒュッと口笛を吹くとタコ達は彼に集中する。
彼が家の外に向かうと、タコ群はゆっくりとついて行く。
どうやら星村はこんな状況には慣れているようだ。
福来博士と白ひげマスターはその後をついていく。
崖の下のほうで海に近くなり、緩やかな斜面になって来ると、タコ達は海の匂いが近くなった為か足を早めた。
斜面に星村が立って手招きポーズをするとタコ達はかってに海に突進していく。
やがて全てのタコが海に帰り星村は安堵の息をついた。
「これで良かったんですよね。それとも何匹か捕らえて料理したほうが良かったでしょうか?」と彼はジョークを言った。
「たこ焼きにして食べてみたかったな、何しろ木星の母船からやってきたタコだから、宇宙的な味がしたかもしれん」とマスターはジョークで返した。
家に帰るとリルと季村桃子が書斎の拭き掃除をしていた。
匂いに敏感なリルはタコの匂いを消すのに苦労しているようだった。
「博士・・・タコの匂いが消えないんで困ってます」
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「了解しました」
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