福来博士の憂鬱

福来博士の憂鬱 その11 熱帯雨林

応接室に全員を集め、星村風光による母船の説明会が始まった。

彼はまず、葉巻型の母船の輪郭をホワイトボードに描いた。
「この母船の全長は200キロ、直径は80キロです」
「200キロ全長の宇宙船なんて信じられないな」とマスターは言った。
「そうですよね、今の地球人の宇宙科学ではまず造れません、しかしもっと巨大な宇宙船を私は見たことがあります。その全長は1000キロもありました。我々にはおよびもつかない遥かに優れた科学力の宇宙文明が存在しているのです」

星村風光は説明を続けた。
「我々が母船に搭乗出来た場合を説明します。我々はまずゲスト室に案内され、そこから医学室に案内され、そこで綿密な医学検査を受けます。検査に合格したら、操縦室に案内され母船の大まかな構造を説明されます。操縦室の周囲に彼らの居住区とゲスト室とリクレーション室があります。それからいよいよ母船の重要な内部に案内されます。内部構造は信じられないかも知れませんが、簡単に言うとほとんど熱帯雨林になっています」
「熱帯雨林だって？信じられない」とマスターは言った。
「そうですよね。私も最初は信じられないぐらいでした」と星村風光が言った。
「私としても内部に熱帯雨林があるとは、信じられない話しになってきたが逆を言えば期待が持てる展開になってきた気がします。それは例えば南米アマゾンの熱帯雨林をイメージすれはいいのですか？」と福来博士はきいた。
「その通りです。彼らはあらゆる惑星の熱帯雨林をモデルにしましたが、最後にたどり着いたのがこの地球の南米アマゾンの熱帯雨林です。と・・・説明はここまでにさせていただきます。あとは実際に母船に行った時のお楽しみにしておいてください・・・」
「オッケー楽しみにしますよ」とマスターは言った。

こうして星村風光による一時間の母船の説明会は終わった。
「これは楽しい旅行になるかもな！」と言ってマスターは腕を組んだ。彼の目には生まれて初めて宇宙旅行を体験する期待かんが満ちあふれている。
「さあそれじゃ帰って旅行の支度でもするか・・・」

そして全員解散となった。

それから１ヶ月後・・・

いよいよ木星に出発する日がやってきた。