やめて!お仕置きしないで!本命の身代わりなのに嫉妬するの?〜国から逃亡中の王子は変態悪魔に脅される!?〜

ゆきぶた

文字の大きさ
52 / 163
一章 本命じゃないくせに嫉妬はやめて!

51、お食事

しおりを挟む

ウルが出ていってから6日目。
今日はギルドに行って簡単なクエストを軽くこなしてきた。
ギルドにいた冒険者達もクエストを終わらせた俺を、凄い温かい目で見てくるようになったのでなんだか居心地が悪い。

でも俺一人でもちゃんとクエストをこなせたのだ。
もしもウルが戻って来なくても、何とか生活はして行けそうで安心していたところだった。

「あれ、デオじゃないか。また会ったね」
「ガリア……」

昨日会ったばかりでまた会うなんて、凄い遭遇率だと思う。
だけど昨日あれだけ親切にしてもらった俺は、だいぶ警戒心を解いていた。

「あの、昨日はありがとう。とても助かった」
「それは、昨日何度も聞いた事だよ。デオのお役に立てたならよかった」

ガリアは普通に接するだけなら、本当に良い奴だ。
きっと出会ったときあんな事をしてきたのだって、場所が悪かったに違いない。

「そうだ、今日こそご飯に誘ってもいいかな?」
「え?」

今はクエスト帰りの夕方だ。
ご飯を食べるには丁度良い時間だった。

「昨日は断られてしまったからな」
「いや、でも……」
「安心してして、本当に何もしないから」
「……本当に絶対だな?」
「もちろん、今日は君に触れる事もしない。もし触ってしまったら、もう二度と君の前には現れないと誓ってもいい」

困り顔でそんな事言われたら、駄目なんて言えなくなってしまう。
どうもガリアの困り顔には、抗えない何かがある。
それは商売人としての交渉力なのかもしれないけど、俺にはそれを跳ね除ける力はなかった。

「……わかった。でも、これっきりにしてくれ」
「本当かい!嬉しいな」

喜ぶガリアにこれで良かったのかなと思いつつ、何故かこれがウルにバレたら怒られる気がしていた。
でもガリアはいいやつだし、何も無いはずだからきっと大丈夫だよな……。


そう思いながら連れてきてもらったのは、普通の居酒屋だった。
あまり飲まないようにと思っていたのに、気がつけばベロベロに酔ってしまった俺は、ついウルの事を愚痴っていたのだ。

「ウルは酷い男なんだ!俺の弟が好きなはずなのに俺を弄ぶようにいろんなことしてくるし!嫉妬もしてくるし……本当、意味がわからない!!」
「だけど、そんな彼の事が好きなんでしょ……?」
「うぅ……そうだけどなんか納得がいかない。それにガリアは男同士だから変だとか思わないのか?」
「俺は手に入れたいと思ったら、男でも女でも関係ないと思ってるからね」

なんで俺の周りには、その事をおかしいと思う
人が誰もいないのだろう。
この国って、もしかして同性愛は普通の事なのか?

「それで、その愛しの彼は今この町にいないのかな?」
「……今は弟の所に行ってる。あんなに俺に色んなことして離れられないようにしたのに、最終的にはやっぱ弟のが良いんだ!!」

俺は勢いよくお酒を飲むと、グラスを机にドンっと置いてしまった。
でもウルへの怒りは止まらないから仕方がない。

「デオ、少し飲み過ぎじゃないかな?」
「そんなと、なぃれす……!!あれ~、頭が回る……」

俺はそんなに酒が強く無い。
それなのに怒りの余り勢いよくお酒を飲み過ぎてしまったようだ。

「大丈夫かい、これじゃあ一人で帰れないだろ?」
「そんなこと……って、あれぇ?おかしいな~、まったく立てない……」

俺は立ち上がろうとしたのにフラついてしまい、また座り込んでしまう。
それを何度か繰り返して、俺はついに諦めてガリアを見た。

「困ったな。こんなところにデオを置いていくわけにはいかないし……」
「ガリア~、悪いけど宿まで連れてってくれぇ~」
「でも俺は君に触れられない。そういう約束だろ?」
「そんなの、どうでもいいらろ~」

酔っ払ってる俺は頭がフワフワしていて、もうこのまま寝てしまいそうな勢いだった。
だからガリアの触れる許可をよくわからないまま出していた。

「全く、仕方がないね。それじゃあ俺の肩に腕回せる?」
「ああ、できる……」
「だいぶフラついてるけど、このまま行くかい?それとも背負ってもいいかな?」
「ガリアが楽な方でいいれす」
「それなら、背負わせてもらうね」

そういって俺を背負ったガリアは、宿まで俺を送ってくれた。
ガリアの背中から伝わる心地よい揺れに俺の頭はフワフワしてしまい、無意識に宿の場所を教えていた事に気がついていなかった。


「よいしょっと、これでよし。それにしてもいい宿屋に泊まってるな……」

そう呟きながら俺をベッドに横たえたガリアは、親切にも水を渡してくれた。

「何から何まですまない……」
「いや、それぐらいなんて事ないさ。それよりも防具つけたままだと眠り辛いだろ?外してあげるよ」
「えっ?いや、防具は後から自分で……」

胸の防具を外されたら、あの常に立っている乳首を見られてしまう。それだけは避けたかった。

「駄目だ。そう言いながらすぐに寝てしまうだろうからな」
「いや、待て……!」

そんな俺の抵抗も虚しく、防具が外されていく。
そして最後に胸の防具を外したガリアは……。

「よし、これでゆっくり眠れるだろ?」

特に何もしてこなかった。
その事に、ガリアを疑った事を恥じてしまう。
ガリアはいいやつなんだから、俺のを見てからかったりしないはずだ。

そして最後にガリアは俺に布団をかけてくれた。
そのとき布団が俺の立っている乳首に当たってしまい、俺はピクリと反応してしまう。

「どうした?気持ち悪くて吐き気とかするか?」
「い、いや……大丈夫だ」

ガリアの反応から、わざとではないようだ。

「じゃあ眠れるようにおまじないをかけてやろう」
「おまじない?」
「ああ、きっといい夢が見れるさ」

そう言うと、ガリアは俺のおでこに手を置いた。
その手が一瞬熱くなった気がした。
そう思ったときには、俺は急激な眠りに意識を手放したのだった。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

二本の男根は一つの淫具の中で休み無く絶頂を強いられる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

寝てる間に××されてる!?

しづ未
BL
どこでも寝てしまう男子高校生が寝てる間に色々な被害に遭う話です。

臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話

八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。 古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。

処理中です...