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一章 本命じゃないくせに嫉妬はやめて!
48、覗いて(ウル視点) ※
しおりを挟む※はウルとデオ以外のエロになります。
本当少しだけですが注意!
ー ー ー ー ー
準備のできた俺はイルの頬に手を添えて言う。
「じゃあ、イルは口を開けて目を瞑ってね~」
「あ、ああ」
そして俺は誓約するためにイルに口づけをした。
誓約するには、体のどこかに口で触れる必要があるからだ。
逆に言うと、恋愛感情が少しでもあれば何かの弾みで誓約してしまう可能性があるため、進化種はパートナー以外で口に触れることをほぼしない。
因みに目を閉じて貰ったのに特に意味はない。
だけどそれは、そうする事でイルじゃなくてまるでデオとキスをしている気分になれる、と思ったからなのかもしれない。
イルの口内に俺の舌を入れて、絡みつく。
舌に刻印されている俺との契約が完了した為に消失し、新たに誓約がスッと頭に入り込むのが俺にはわかった。
誓約には進化するときに授かったそれぞれの誓約内容がある。
そして二人とも進化している場合は、互いの誓約を贈り合う方が強固なパートナーになるのだけど、どうやらこの誓約は俺からの一方通行みたいだ。
ようするに、イルは全く俺に恋愛感情を抱いていないということなのだろう。
因みに俺の誓約内容は『溢れるほどの愛の言葉を』と言うものだ。
多分相手を愛で続けろという事だと思うので、常に愛でている俺には特に問題ない。
因みにこの誓約内容を何度か破ると、パートナーの誓約は切れるらしい。
なら、どれぐらい離れていてもこの誓約は残るのだろうか?俺はデオのもとに暫くいたいから……。
そう思いながら、イルとデオを重ねてしまう俺がいた。
デオとキスをするのも、こんな感じなんだろうか?
「んぅ……っ!」
こんなふうに呼吸が上手くできなくなって、可愛く眉を寄せてくれるのかな?
そんな事を考えてしまったせいで、俺は長いことその口付けを続けてしまった。
そして余りに調子に乗った俺は、突然誰かに襟元を掴まれて床に叩きつけられてしまったのだ。
「うぐっ!!」
「おい、てめぇ俺の嫁に何しやがる!」
この俺に気づかれずに、こんな芸当ができるのはただ1人しかいない、ダンのやつだ。
俺がダンに押さえつけられているのに気がついたイルは、驚きとともにダンに文句を言い始めた。
「ダン!誰がお前の嫁だ!!!俺は認めてないからな!!」
イルが気にするのそこなの!?
今の俺は床に這いつくばった状態で、その上には俺を抑えるためにダンが乗っていた。
「あー、残念だけどそれは諦めろ。お前が認めてなくてもこれは国の方針だからな」
「でも俺だけは絶対に認めない!!」
2人の言い争う声が聞こえたけど、俺はそれよりも文句を言ってやりたかった。
「君たち酷いよ!!今日はデートだったのに!」
女の子に会う約束があるからデートで間違いないし、俺の綺麗な顔が潰れるからやめてほしい……。
「ダン……」
「わかった!」
「うべぇっ!!!」
さらに床に叩きつけられた俺は、何で!?とダンを睨みつける。
「今回はお前が悪い、誓約が完了してたのにいつまで経ってもイルから離れなかったからな」
「え!?そうだったのか……」
「いいじゃないか、少しぐらい!君たちはさらに進んだことしてんだろ?俺は知ってるんだからな!」
そんなちょっとのことで文句言うなんてみみっちい男だ。俺だってイルとも少しぐらいは、エロいことしてみたいと思ったっていいじゃないか~。
「わぁー!!わぁー!!頼むからそれ以上言わないでくれ!!!」
恥ずかしさの余りダンに抱きつくイルは、そのまま「よし、今からヤリにいくか!!」と、ダンにお持ち帰りされていった。
だから俺はその後をコッソリついて行ったのだった。
何となくイルの寝室までついて来ちゃったけど、これは完全にヤってる流れだよねぇ~。
それがわかっていながら何故ここに来たのか、それには理由がある。
俺はデオが他人とするなんて死んでも許せないと思っている。
でもイルがヤっているところを見たらどうなのか、気になったからだ。
とりあえず寝室の天井裏に転移して、二人の様子をじっくり眺めはじめる。
2人はすでにヤっていた。そしてその周りには異常なほどスライムがいるのがわかる。
「だ、ダンっ!!それ、ダメぇ!ぁん!!」
座っているダンの上にイルが同じ向きで座らされており、ダンの物がイルの中に入っているのが見えていた。
「そうか、もっと欲しいんだな!!」
腰をガンガンとつくダンの動きにイルは気持ちよさそうだった。
こんな姿をデオが見たら発狂するだろうな、なんて呑気に思ってしまう。
デオはイルが男にヤられている事を全く知らない。
だから今までイルを守ろうとして俺に抱かれてたのなんて、本当は無駄な頑張りだったのだ。
デオには悪いけど、騙される方が悪いと思うよ。まぁ、そういう純粋なところが可愛いんだけどね~。
そう思っていると、下からイルの喘ぎ声がいっそう大きく聞こえてきた。
「まってぇっ!!す、スライムがぁっ、やぁっ!」
どうやら周りにいたスライムが突然イルの乳首と、イルのソレに飛びついてイルをさらに責めはじめたようだ。
あのスライムを動かしているのは、多分イルのもう一人のパートナーだろう。
「しょうがねぇなぁ~……ほらスライムに犯されて中ガンガンつかれて、いいだろ?」
「いいわけっ、あるかぁっ、やぁっん!!」
「ほら、見せつけてやらねぇとなぁ?」
「なゃっ!何にだよぉっ!!」
そしてダンは天井を見上げた。
あー、やっぱバレてるよねぇ……。
わざわざ見やすいように、イルを傾かせるダンはニヤリと楽しそうだった。
ダンにヤられて喘ぐイルを見ても、可愛いね。ぐらいの感情しかわかない。
確かに見ていたいし、俺がしてあげたいとも思うけど、ただそれだけだった。
全く嫉妬心なんて芽生えない。
むしろ喘ぐ姿がデオとダブって見えてしまい、早くデオとしたくて仕方がなかった。
それはイルが、いかされたのを見届けた後も変わる事はなくて……。
そのことに、俺は混乱した。
おかしいなぁ、俺が好きなのはイルのつもりだったのに……俺が好きなのって……。
そう思った瞬間だった。
『ウル……助けてくれ!!』
脳裏にデオからの救難信号が届いたのだ。
気がつけば俺は急いで王宮を飛びたしていたのだった。
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