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匿われて3
しおりを挟む私はなんという夢を見てしまったのかしら……。
だってあんなのを見たら、これから殿下にどうお会いしたらいいのか全くわからないわよ!?
「エイミー様?先程から頭を抱えてどうされたのです?」
「ひぃ!って、フィア様いつのまに部屋にいらしたのですか?」
「ワタクシ入ってくる時に声をおかけしましたけど……その驚きようでは聞こえていなかったようですわね?」
「ご、ごめんなさい」
声をかけられていたなんて、全く気がつかなかったわよ!?もしかしてずっとウンウン唸ってたの聞かれてたと言う事よね?
私ったらなんて恥ずかしい姿を見せてるの……。
「まあ、エイミー様も殿下の事で悩むのは仕方がありませんわ」
「いやそうなのですけど、でもそれだけじゃないんです……」
「エイミー様……それはどう言う事ですの?」
どうしよう、ここはフィア様に話をするべきかしら……?
でも私には相談できる相手はフィア様しか居ないし、せっかくだから夢の事を話してみるのもありよね。
「あの、私どうやら殿下の事が好き過ぎで夢を見てしまったようで……」
「あらあら、夢ですの!!」
フィア様ったら目を光らせて楽しそうにくいついてくるなんて、これは相談する相手を間違えたかもしれないわ……!?
でもここまで言ってしまったら、最後まで話すしかないわよね。
「え、ええ。確か場所はこのお屋敷の屋根の上で、殿下と二人座りながら話をする夢でした」
「あら、それってもしかして……」
「そこで私は、夢だからと殿下に告白してしまったんです。これで諦められるかなと思ったんですけど、夢で殿下に優しくされてしまったせいでその心地よさが忘れられなくて……」
「それで悩んでいたと言うわけですわね?」
「うう、諦めるつもりなのに胸の高鳴りが中々抑えられなくて困っていたんです」
簡単に自分の意思が揺らぎそうで、本当に嫌になってしまうのよね。
だけどこの気持ちを誰かに話せたからなのか、少し冷静になってきたわ。
「それで、エイミー様の意思はかわりまして?」
「……今、フィア様に話した事で少し落ち着いて考える事が出来たのですけど、やっぱりあれは夢ですから引っ張られてはダメだと思ったんです。それに夢はいつか忘れますから、きっと夢と一緒にこの気持ちも無くなってくれるはずですよね?」
「それはつまり……すぐにでも新しい恋を探すと言う事ですわね!!」
「なんで!!??」
フィア様の頭の中でどうなったら、そう結びついたのか教えて欲しいのだけど!?
「あら、違いましたの?」
「別に私は新しい恋がしたいわけではないです!」
「しかしながらエイミー様は残念な事に、そうもいってられないのですわよ?」
「え……それはどう言う事ですか?」
「実はエイミー様がアルロスとの結婚式から逃げ出した事で、エイミー様宛に何故か婚約の申し込みが沢山来ているそうですわよ?」
「は?」
フィア様は今なんと言ったかしら?
私の耳はやはり少しおかしいのよね?そうじゃないと私が困るわ!?
「フィア様……今の話って?」
「本当の事ですわよ?」
「いやいや、何で!?」
私に突然のモテ期でも来たと言うのかしら!?
「多分ですけど、あのアルロスが気に入った令嬢というので噂になったというのもあると思いますわ。でも大半はラミュー家を嫌ってる貴族が嫌がらせの為、貴女を囲ってしまおうと思っているだけだと思いますわよ?」
「何という迷惑な話なんですか!?しかもそんなので婚約を申し込んで来た人達と、私が恋なんて出来るわけ無いじゃないですか!!」
モテ期と思わせてそうじゃなかった私の恥ずかしさを返して!!
「まあ、そうですわよね。それにしても本当にラミュー家は有能にみせかけて、ただの迷惑な家系ですわ」
「アルロス様といい、一体どうなってるんですかね……」
「本当に……って、そうでしたわ!ワタクシがここに来た理由はアルロスの事を言いに来たのでしたわ」
「アルロス様の事……何だか、嫌な予感しかしませんけど?」
「大正解ですわ!!」
フィア様!!?そんな堂々と言わないで!!
つまり、説得に失敗したって事よね?
「しかし説得はできませんでしたが、脅す事はできましたわ!」
「いきなり物騒な単語出て来ましたけど!!?」
「ワタクシが全ての責任を取ると伝えたら、それだけはやめてくれと懇願されてしまいまして……それならエイミー様に次同じような事をしたら、責任をとってアルロスと絶交すると伝えましたわ」
あら?思ってたのより可愛い脅し方ね……。
「ちゃんと約束の契約魔法をアルロスの手につけてもらったので安心してくたさいまし」
「契約魔法って本格的じゃないですか!!」
一瞬でも可愛らしいとか思った自分が馬鹿みたいじゃないの!!?
「それぐらいしないとあの男は暴走しますわよ。しかしアルロスのせいで没落計画の効果が少ししか出なかったのは誤算でしたわ!」
「そういえば、そんな話してましたね……」
「ですが今回の事でワタクシの信頼はガタ落ち、婚約者として相応しくないのではと言う話し合いも週末には行われるそうなので、婚約破棄まですぐそこまで来ておりますわ!」
フィア様が没落せずに婚約破棄できるなら、それはよかったわ。
「フィア様が頑張ったからこそ、没落せずに済んだのですよ」
「それはワタクシとってはどちらでもよかったのですわ。ですがワタクシの事よりも、今はエイミー様の事ですわ!エイミー様は週末までに殿下の事を考えて、諦めないのか、新しい恋をするのか、どちらにするのか決めてくださいまし」
「でも、私は……」
「今は何も聞きたくありませんわ!だってエイミー様の頭は凝り固まっていますもの。だから明日一度家に帰って頭を整理するといいですわ」
家に帰っていい……?
そうよね、アルロスとの話し合いは終わったのだから私がここにいる必要はないもの。
「そう言うわけで今日は一緒にパジャマパーティーでもしましよう!!」
「え!?」
「せっかくこうしてお泊まりをしているのに、一緒に寝たりだとか出来なくて凄く残念でしたの。だから今日は遅くまで恋愛話で盛り上がりますわよ!」
そんなテンションの高いフィア様に押し切られる形で、私は夜遅くまで語り明かしたのよ。
フィア様は少し変わっていると思っていたけど、好きな人の話をする姿は一人の恋する乙女でとても可愛く思えてしまうのよね。
私もフィア様のように一途に人を好きになれるのかしら?
そして私は殿下の事を頭の片隅に思い出しながら、気がついた眠りについていたの。
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