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祭りだ!大騒ぎだ
生贄
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「危なかった」
アトラクションエリアの人たちが爆弾犯を捕まえたお礼として僕らにパレード出演を打診したのだ。
リコリスさんは乗り気だったけど、そんなの恥ずかしすぎるから辞退した。
しかし、彼らはそれを許してくれなかった。強制参加させようと、襲い掛かってきたのだ。
まず最初に捕まったのはメービ君。出口から一番離れた位置にいたから仕方ない。
メービ君の犠牲のおかげでスタッフルームから抜け出せたが、僕らを拘束するために着ぐるみたちが全力疾走で追いかけてきた。
たぶんあの着ぐるみたちはファンシーの夢結衣だ。着ぐるみでも足の速さは生身の人間より速い。
本気で怖かった。まるでゾンビ映画のワンシーンだ。あれはトラウマになる。夢にまで出てきそうだった。
次に捕まったのはパッション君。
「弟よ。可哀そうに」
なんか同情しているけど、パッション君が捕まったのは間違いなくアローさんのせいである。
追いつかれそうになった時、パッション君の足を引っかけて、転ばせ、生贄にしたのだ。
地面に倒れたパッション君は数体の着ぐるみが圧し掛かられ、拘束されていた。
「死ね!クソ姉貴!」
肩に担がれて、連れ去られるときに放った断末魔の悲鳴が今でも耳から離れない。
犠牲を払い、アトラクションエリアを抜けたら、着ぐるみたちはもう追ってこなかった。
生き残ったの二人だけ。彼らは僕らの生存の犠牲になったのだ。
アトラクションエリアに入ると着ぐるみにまた追いかけられるので、ここからパレードを観賞する。
パレードの様子は双眼鏡を使えば、ここからでも見える。
双眼鏡で三人を探していると、一番大きいパレードフロートの上に三人が乗っていた。
リコリスさんはお姫様のドレスを着て、とても楽しそうに観客に手を振っている。
ピギとワンダーエッグから誕生した初期ピギも楽しそうに飛び跳ねていた。
だけど、残りの二人は完全に無表情だ。
衣装は半ズボンにタイツを履く王子さまスタイル。
逃げないように着ぐるみに後ろから拘束されて、無理やり手を振らされている。
もし、捕まっていたら僕もあの中に混ぜられているところだった。
至高の肉体があって本当に良かった。
「弟の犠牲の甲斐があった。あんなドレス絶対に似合わない」
「そうかな?意外に似合うと思うよ」
「意外に?」
「絶対にの間違いだった」
しばらく待っていたら、彼女たちが戻ってきた。
リコリスさんは満面の笑みを浮かべているけど、後ろの二人は後遺症でまだ目が死んでいる。
彼女たちのために買っておいた飲み物とお菓子を渡して、回復を待った。
彼らは回復するとパッション君は姉であるアローさんに詰め寄り、メービ君は僕に詰め寄ってきた。
アローさんはパッション君の抗議に耳を貸さず、拳で沈めている。姉弟の力関係がよく分かる。
僕はそんなことできないから、ちゃんと対応した。
「逃げるなんて酷いですよ」
「ごめんね。助ける余裕なんてなかったんだ。いい思い出にはなったんじゃない?」
「ただの黒歴史ですよ」
「掲示板では大盛り上がりだったよ」
「本当ですか?」
あのパレードを見たプレイヤーが掲示板にスレッドを立てていた。
一番大きいフロートに乗っていた三人は注目の的で、最初は一つのスレッドに集まっていたが、少ししたらどの子が好みかで分かれていた。
関連スレの数で一番多いのはメービ君、二番はパッション君で、最下位はリコリスさんだ。
ショタコンって多いんだなと思う結果だ。
メービ君はスレッドの削除依頼を出した。
通るかどうかは不明。たぶん大丈夫だろう。ゲスい投稿をしている人が多いからすぐに消してくれると思う。
「そういえば、ログイン時間は大丈夫?もう結構時間が経っているけど」
「私たちは上位品を使ってるから大丈夫だよ」
「ステーションじゃないんだ」
八雲さんグループの男子はVRステーションでVRMMOをやっていると聞いた。
彼女たちもそうだと思ってたんだが、違うみたいだ。
「あの一件以来、私もリコも外出が制限されているの。VRステーションに行けないから、親が買ってくれたんだ」
「それに今なら学割で少し安くなるしね」
「二台同時購入ならもっと安くなるから、僕らもついでに買ってもらったんです」
VRマシーン購入には様々な制度があって、それを活用すれば安く購入できるのだ。
僕も学割と国の助成で定価よりはるかに安く購入した。
じゃないと学生で最上位品の購入はできない。
「そういうスワロこそ大丈夫なの?」
「僕のは最上位品だからね。まだまだいけるよ」
まだ時間の余裕があることが判明したから、次のクエストを探しに行こう。
アトラクションエリアの人たちが爆弾犯を捕まえたお礼として僕らにパレード出演を打診したのだ。
リコリスさんは乗り気だったけど、そんなの恥ずかしすぎるから辞退した。
しかし、彼らはそれを許してくれなかった。強制参加させようと、襲い掛かってきたのだ。
まず最初に捕まったのはメービ君。出口から一番離れた位置にいたから仕方ない。
メービ君の犠牲のおかげでスタッフルームから抜け出せたが、僕らを拘束するために着ぐるみたちが全力疾走で追いかけてきた。
たぶんあの着ぐるみたちはファンシーの夢結衣だ。着ぐるみでも足の速さは生身の人間より速い。
本気で怖かった。まるでゾンビ映画のワンシーンだ。あれはトラウマになる。夢にまで出てきそうだった。
次に捕まったのはパッション君。
「弟よ。可哀そうに」
なんか同情しているけど、パッション君が捕まったのは間違いなくアローさんのせいである。
追いつかれそうになった時、パッション君の足を引っかけて、転ばせ、生贄にしたのだ。
地面に倒れたパッション君は数体の着ぐるみが圧し掛かられ、拘束されていた。
「死ね!クソ姉貴!」
肩に担がれて、連れ去られるときに放った断末魔の悲鳴が今でも耳から離れない。
犠牲を払い、アトラクションエリアを抜けたら、着ぐるみたちはもう追ってこなかった。
生き残ったの二人だけ。彼らは僕らの生存の犠牲になったのだ。
アトラクションエリアに入ると着ぐるみにまた追いかけられるので、ここからパレードを観賞する。
パレードの様子は双眼鏡を使えば、ここからでも見える。
双眼鏡で三人を探していると、一番大きいパレードフロートの上に三人が乗っていた。
リコリスさんはお姫様のドレスを着て、とても楽しそうに観客に手を振っている。
ピギとワンダーエッグから誕生した初期ピギも楽しそうに飛び跳ねていた。
だけど、残りの二人は完全に無表情だ。
衣装は半ズボンにタイツを履く王子さまスタイル。
逃げないように着ぐるみに後ろから拘束されて、無理やり手を振らされている。
もし、捕まっていたら僕もあの中に混ぜられているところだった。
至高の肉体があって本当に良かった。
「弟の犠牲の甲斐があった。あんなドレス絶対に似合わない」
「そうかな?意外に似合うと思うよ」
「意外に?」
「絶対にの間違いだった」
しばらく待っていたら、彼女たちが戻ってきた。
リコリスさんは満面の笑みを浮かべているけど、後ろの二人は後遺症でまだ目が死んでいる。
彼女たちのために買っておいた飲み物とお菓子を渡して、回復を待った。
彼らは回復するとパッション君は姉であるアローさんに詰め寄り、メービ君は僕に詰め寄ってきた。
アローさんはパッション君の抗議に耳を貸さず、拳で沈めている。姉弟の力関係がよく分かる。
僕はそんなことできないから、ちゃんと対応した。
「逃げるなんて酷いですよ」
「ごめんね。助ける余裕なんてなかったんだ。いい思い出にはなったんじゃない?」
「ただの黒歴史ですよ」
「掲示板では大盛り上がりだったよ」
「本当ですか?」
あのパレードを見たプレイヤーが掲示板にスレッドを立てていた。
一番大きいフロートに乗っていた三人は注目の的で、最初は一つのスレッドに集まっていたが、少ししたらどの子が好みかで分かれていた。
関連スレの数で一番多いのはメービ君、二番はパッション君で、最下位はリコリスさんだ。
ショタコンって多いんだなと思う結果だ。
メービ君はスレッドの削除依頼を出した。
通るかどうかは不明。たぶん大丈夫だろう。ゲスい投稿をしている人が多いからすぐに消してくれると思う。
「そういえば、ログイン時間は大丈夫?もう結構時間が経っているけど」
「私たちは上位品を使ってるから大丈夫だよ」
「ステーションじゃないんだ」
八雲さんグループの男子はVRステーションでVRMMOをやっていると聞いた。
彼女たちもそうだと思ってたんだが、違うみたいだ。
「あの一件以来、私もリコも外出が制限されているの。VRステーションに行けないから、親が買ってくれたんだ」
「それに今なら学割で少し安くなるしね」
「二台同時購入ならもっと安くなるから、僕らもついでに買ってもらったんです」
VRマシーン購入には様々な制度があって、それを活用すれば安く購入できるのだ。
僕も学割と国の助成で定価よりはるかに安く購入した。
じゃないと学生で最上位品の購入はできない。
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まだ時間の余裕があることが判明したから、次のクエストを探しに行こう。
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