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祭りだ!大騒ぎだ
それぞれの
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☆親衛騎士団side
「みんなー!頑張ってねー」
控室で親衛騎士団の姫、フラワーは自らの親衛隊を激励していた。
「姫!お任せください。あのような礼儀知らずの無法者は我々が天誅を下します」
「なんて頼もしいのかしら。私、みんなのこと大好き!」
「おおっ!もったいないお言葉!」
その言葉を受け、親衛騎士団のメンバーはフラワーに傅いた。
「もー。みんなは私の大切なお友達なんだから、そんなことしないでよねー」
「そうは行きません。姫こそコスモス・リバイブの花。傅くことが我々の喜びなのです」
「大げさなんだからぁ」
「それでは我々は機体の準備をしてきます。姫はギリギリまでお寛ぎください」
「頑張ってねー」
クランメンバーは控室の奥にある格納庫へ向かった。
フラワーは全員が部屋から抜けるまで、手を振り続けた。
人がいなくなると、フラワーはソファーに寝転がった。
このソファーは控室に元々あった物ではなく、親衛騎士団に運ばせた物だ。
そのほかにもお菓子やジュース、全て親衛騎士団が用意した。
「むふふ。やっぱり私には神様が付いているのよ。初戦で馬鹿に当たるなんて」
フラワーの顔に浮かんでいるのは笑み。
しかし、その笑顔はクランメンバーに愛想を振り撒くアイドルスマイルではない。嘲笑だ。
もし、この顔をメンバーに見られたら、そのメンバーはクランから抜けているだろう。
「あの馬鹿のおかげで私はレギオン戦の栄冠を手にすることができるわ。どんな景品が貰えるのかしら。楽しみね」
大会のルールを考えれば、消耗が少なければ少ないほど、次の試合が楽になる。
実質的に一戦が不戦勝になるメリットは大きい。
すでにフラワーは優勝した時のことを考えていた。
それが皮算用だと気付かずに。
★side終了
☆女の子side
スワロに声を掛けた女の子は観客席で、自分の保護者を探していた。
「マルヴェちゃん、こっちよ!」
自分の名を呼ばれた女の子はそこへ向かう。
向かった先には老年の男性と若い女性が二人いた。
そこを中心にぽっかりと空席がある。
老年の男性が出す異質な威厳や威圧感に一般の人が近づけなかったからだ。
「おじいちゃん。買ってきたよ」
「ご苦労さん」
老年の男は投票券を受け取り、それと交換でマルヴェにジュースを渡した。
「本当に彼が勝つんでしょうか?この戦力差で勝ち目があるとは思えませんが」
女性の内の一人はスワロに大金を賭けたことに納得しておらず、老年の男性に意見した。
「君はまだまだ経験が足りないな。アウラ君、君なら分かるんじゃないか」
老年の男性は先ほどマルヴェを呼んだ女性。アウラにも意見を求めた。
「えっと。士気の高さですかね。親衛騎士団の人たちは勝利を確信しているのか油断してますし」
「そうだ。奴らの緩み切った表情を見ろ」
スクリーンに控室の映像が映し出されていた。
音声は来ていないが、緊張感がないのは分かる。もうすぐ戦闘が始まるというのに、親衛騎士団はヘラヘラしていた。
「ですが、この数の差ならば、大した問題にはならないじゃないんでしょうか?」
その意見を凛とした女性が否定した。
「普通ならな」
「普通じゃないと?」
「私は少年の顔を見てきた。あの顔は記念や酔狂で大会へ参加した人間の表情じゃない。あの少年は勝利を狙ってるはずだ」
「おじいちゃん。気持ちで勝てたなら苦労しないと思うよ」
「そうですよ。提督」
「こら。私をここで提督と呼ぶんじゃない。誰かに聞かれたどうするんだ」
提督と呼ばれた老年の男性は軽く咳払いをし、話を戻した。
「勝利することを前提とするなら、それ相応の準備をしているはずだ。おそらく、あの少年はエントリー時点で一人で戦い抜く作戦を考案しているだろう」
「なるほど」
「理由はもう一つある。親衛騎士団は優勝を目指しているが、あの少年は恐らく一勝をすることを目指している」
「確かにそれは大きいですよねー」
三人の会話に完全に付いていけていないマルヴェはアウラに説明を求めた。
「アウラお姉さん、どういうことなの?」
「試合で機体が損傷したら、試合が終了しても回復しないの。優勝するには温存しながら戦うことが必要なのよ」
「そうか。あのお兄さんは玉砕覚悟なんだね」
「簡単に言うとそうかな。でも、砕けるつもりはないと思うよ。砕けたら負けだし」
「そうだね」
「まあ、最大の要因はあの少年が女狐の弟子であることだな」
「その理由が一番説得力がある気がしますよ。あの人は色々と仕込んでいるらしいですから」
彼らはスワロの出自を知っているようだった。
だからこそ、彼らはスワロの勝利を確信できた。
★side終了
「みんなー!頑張ってねー」
控室で親衛騎士団の姫、フラワーは自らの親衛隊を激励していた。
「姫!お任せください。あのような礼儀知らずの無法者は我々が天誅を下します」
「なんて頼もしいのかしら。私、みんなのこと大好き!」
「おおっ!もったいないお言葉!」
その言葉を受け、親衛騎士団のメンバーはフラワーに傅いた。
「もー。みんなは私の大切なお友達なんだから、そんなことしないでよねー」
「そうは行きません。姫こそコスモス・リバイブの花。傅くことが我々の喜びなのです」
「大げさなんだからぁ」
「それでは我々は機体の準備をしてきます。姫はギリギリまでお寛ぎください」
「頑張ってねー」
クランメンバーは控室の奥にある格納庫へ向かった。
フラワーは全員が部屋から抜けるまで、手を振り続けた。
人がいなくなると、フラワーはソファーに寝転がった。
このソファーは控室に元々あった物ではなく、親衛騎士団に運ばせた物だ。
そのほかにもお菓子やジュース、全て親衛騎士団が用意した。
「むふふ。やっぱり私には神様が付いているのよ。初戦で馬鹿に当たるなんて」
フラワーの顔に浮かんでいるのは笑み。
しかし、その笑顔はクランメンバーに愛想を振り撒くアイドルスマイルではない。嘲笑だ。
もし、この顔をメンバーに見られたら、そのメンバーはクランから抜けているだろう。
「あの馬鹿のおかげで私はレギオン戦の栄冠を手にすることができるわ。どんな景品が貰えるのかしら。楽しみね」
大会のルールを考えれば、消耗が少なければ少ないほど、次の試合が楽になる。
実質的に一戦が不戦勝になるメリットは大きい。
すでにフラワーは優勝した時のことを考えていた。
それが皮算用だと気付かずに。
★side終了
☆女の子side
スワロに声を掛けた女の子は観客席で、自分の保護者を探していた。
「マルヴェちゃん、こっちよ!」
自分の名を呼ばれた女の子はそこへ向かう。
向かった先には老年の男性と若い女性が二人いた。
そこを中心にぽっかりと空席がある。
老年の男性が出す異質な威厳や威圧感に一般の人が近づけなかったからだ。
「おじいちゃん。買ってきたよ」
「ご苦労さん」
老年の男は投票券を受け取り、それと交換でマルヴェにジュースを渡した。
「本当に彼が勝つんでしょうか?この戦力差で勝ち目があるとは思えませんが」
女性の内の一人はスワロに大金を賭けたことに納得しておらず、老年の男性に意見した。
「君はまだまだ経験が足りないな。アウラ君、君なら分かるんじゃないか」
老年の男性は先ほどマルヴェを呼んだ女性。アウラにも意見を求めた。
「えっと。士気の高さですかね。親衛騎士団の人たちは勝利を確信しているのか油断してますし」
「そうだ。奴らの緩み切った表情を見ろ」
スクリーンに控室の映像が映し出されていた。
音声は来ていないが、緊張感がないのは分かる。もうすぐ戦闘が始まるというのに、親衛騎士団はヘラヘラしていた。
「ですが、この数の差ならば、大した問題にはならないじゃないんでしょうか?」
その意見を凛とした女性が否定した。
「普通ならな」
「普通じゃないと?」
「私は少年の顔を見てきた。あの顔は記念や酔狂で大会へ参加した人間の表情じゃない。あの少年は勝利を狙ってるはずだ」
「おじいちゃん。気持ちで勝てたなら苦労しないと思うよ」
「そうですよ。提督」
「こら。私をここで提督と呼ぶんじゃない。誰かに聞かれたどうするんだ」
提督と呼ばれた老年の男性は軽く咳払いをし、話を戻した。
「勝利することを前提とするなら、それ相応の準備をしているはずだ。おそらく、あの少年はエントリー時点で一人で戦い抜く作戦を考案しているだろう」
「なるほど」
「理由はもう一つある。親衛騎士団は優勝を目指しているが、あの少年は恐らく一勝をすることを目指している」
「確かにそれは大きいですよねー」
三人の会話に完全に付いていけていないマルヴェはアウラに説明を求めた。
「アウラお姉さん、どういうことなの?」
「試合で機体が損傷したら、試合が終了しても回復しないの。優勝するには温存しながら戦うことが必要なのよ」
「そうか。あのお兄さんは玉砕覚悟なんだね」
「簡単に言うとそうかな。でも、砕けるつもりはないと思うよ。砕けたら負けだし」
「そうだね」
「まあ、最大の要因はあの少年が女狐の弟子であることだな」
「その理由が一番説得力がある気がしますよ。あの人は色々と仕込んでいるらしいですから」
彼らはスワロの出自を知っているようだった。
だからこそ、彼らはスワロの勝利を確信できた。
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