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霧の魔
第二陣2
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ニードルを撃ったのは四機のホーネットだ。
それに続くように複数の大型の物体が後方からレーダーの探知距離を一気に突っ切り、戦場に飛来してきた。
それは拳銃の弾のような円錐状の物体で、底面には大型の推進器が付いている。
そこにホーネットがしがみついていた。
ホーネットたちは飛行種の目前で、弾から離れ、散開、残された弾は飛行種を数匹撃破すると、森に落下した。
「はにーさん、あれ何?」
『レギオン戦で使う予定だったホーネットの輸送装置。結局出なかったから、格納庫に放置してたやつ。速いよ』
「無茶なことを」
思いついても普通こんな物作らない。使い捨てになるし、パイロットへの肉体にも強い負担が掛かる。蜜蜂騎兵団には相当変なメカニックがいるみたいだ。
『ちなみにコミツ作』
……常識人に見えたのに。はにーさんという非常識人のせいで見誤ってのかも。
おかしいことに気付いた。セイヨウさんのホーネットは施設の西側からやってきたが、弾が飛来してきたのは南。
セイヨウさんたちだけ、別方向から来ている。なんかの作戦かな?
『たぶん狙いが逸れたんだと思う。あれって思った通りに飛んでいかない欠陥品だから』
『正解です。酷い目に遭いました』
そりゃそうだ。あんなのがまともに飛んでいくわけがない。
見た感じ、円錐状の物体に大型の推進器を付けただけだったし。
『こちら蜜蜂騎兵団。遅れて申し訳ありません』
「ほかのみんなは?」
『私たちだけ先行してきました。残りももうすぐ到着します』
ホーネットの数は22。
数はたったそれだけど、質が違う。
蜜蜂騎兵団は少数精鋭。全員がエース級のパイロットだ。
シミュレーターランキングでは一番最下位の人でも50位以内に入っている。
そのエース級のパイロットが連携すると、その戦闘力は倍以上に増大する。
急造のランサー小隊の連携とは比べることすら恐れ多い素晴らしい連携だった。さすがはパーティー戦優勝者クランだ。
蜜蜂騎兵団は一糸乱れぬコンビネーションで次々と飛行種を撃墜していく。
数では圧倒的に負けているはずなのに、徐々に戦線を押し返している。
『はにー。ここはいいからあなたは下がりなさい』
『任せた』
「はにーさん。損傷をチェックします。こっちに来てください」
FA4のコンピューターにアクセスし、バランサーの状態を確認。修理が可能か確かめる。
「これは無理かな」
僕が思っていたよりも、遙かに深刻な故障だ。
これはすぐには直せそうにない。一度分解しないと修理はできないだろう。
今のバランサーは機能を失っているだけじゃなくて、逆にバランスが崩れる要因になっている。
よくこんな状態で、飛べたものだ。普通ならバランスを崩して、とっくの昔に墜落している。
ふらふら飛んで危ないので、途中で僕が捕まえて、防壁の内側に降ろした。
空中戦はもう無理だけど、武装は残っているから、砲台として活躍してもらおう。
空は蜜蜂騎兵団が押さえている。
だけど、彼女たちも地上までは手が回っていない。
ラージスケールの群れが施設に近づいていた。
こちらは僕らだけで、撃退しないと。
『いくぞ!野郎ども!』
『押忍!』
施設に迫るラージスケールの群れへ、後方から現れたロボットが飛び掛かっていった。
一体につき、三機がラージスケールに組み付き、急上昇。
ある程度の高さまで上昇すると、今度は逆に急降下して、蛇の頭を地面に叩き付けた。
こんなことをできるのはヴィンディスではバンチョ―とシャテーだけだ。
『待たせたな!BANKARA参上!我らが来たからにはこれ以上貴様らの好きにはさせんぞ!』
バンチョ―が蛇の亡骸の上で両腕を組んで仁王立ちをし、タリキさんが名乗りを上げた。
「あの、そこって危ないですよ」
『むっ。何故だ』
「だって……」
僕が答える前に、蛇の亡骸は消え、バンチョーは地面に落下した。
せっかり名乗りを上げて、格好つけていたのに台無しだ。
消えたのはデバイスがドロップを回収したからではない。あの機能は大抵の場合、死体が残る。
デバイスの基本機能の一つの、ドロップアイテム回収。
これは倒したモンスターの中から有用な部分のみを自動で解体し、デバイスの中に入れてくれるとても便利な機能だ。
ドロップアイテムとして回収できなかったそれ以外の部分はデバイスの中に自動で入らず、その場に残ったままになる。
ときたま、ほぼ全身が有用なズールみたいなモンスターもいるけど、大抵のモンスターは使えない部分があるため、モンスターの死体は消えることはない。
しかし、この蛇は死んでしばらくすると、死体が完全に消える。
現にかなりの数の蛇が死んだはずなのに、森の中には死体がほとんど残ってなかった。
一部死体が消えない蛇もいるけど、これはまだよくわかっていない。現在調査中。
それに続くように複数の大型の物体が後方からレーダーの探知距離を一気に突っ切り、戦場に飛来してきた。
それは拳銃の弾のような円錐状の物体で、底面には大型の推進器が付いている。
そこにホーネットがしがみついていた。
ホーネットたちは飛行種の目前で、弾から離れ、散開、残された弾は飛行種を数匹撃破すると、森に落下した。
「はにーさん、あれ何?」
『レギオン戦で使う予定だったホーネットの輸送装置。結局出なかったから、格納庫に放置してたやつ。速いよ』
「無茶なことを」
思いついても普通こんな物作らない。使い捨てになるし、パイロットへの肉体にも強い負担が掛かる。蜜蜂騎兵団には相当変なメカニックがいるみたいだ。
『ちなみにコミツ作』
……常識人に見えたのに。はにーさんという非常識人のせいで見誤ってのかも。
おかしいことに気付いた。セイヨウさんのホーネットは施設の西側からやってきたが、弾が飛来してきたのは南。
セイヨウさんたちだけ、別方向から来ている。なんかの作戦かな?
『たぶん狙いが逸れたんだと思う。あれって思った通りに飛んでいかない欠陥品だから』
『正解です。酷い目に遭いました』
そりゃそうだ。あんなのがまともに飛んでいくわけがない。
見た感じ、円錐状の物体に大型の推進器を付けただけだったし。
『こちら蜜蜂騎兵団。遅れて申し訳ありません』
「ほかのみんなは?」
『私たちだけ先行してきました。残りももうすぐ到着します』
ホーネットの数は22。
数はたったそれだけど、質が違う。
蜜蜂騎兵団は少数精鋭。全員がエース級のパイロットだ。
シミュレーターランキングでは一番最下位の人でも50位以内に入っている。
そのエース級のパイロットが連携すると、その戦闘力は倍以上に増大する。
急造のランサー小隊の連携とは比べることすら恐れ多い素晴らしい連携だった。さすがはパーティー戦優勝者クランだ。
蜜蜂騎兵団は一糸乱れぬコンビネーションで次々と飛行種を撃墜していく。
数では圧倒的に負けているはずなのに、徐々に戦線を押し返している。
『はにー。ここはいいからあなたは下がりなさい』
『任せた』
「はにーさん。損傷をチェックします。こっちに来てください」
FA4のコンピューターにアクセスし、バランサーの状態を確認。修理が可能か確かめる。
「これは無理かな」
僕が思っていたよりも、遙かに深刻な故障だ。
これはすぐには直せそうにない。一度分解しないと修理はできないだろう。
今のバランサーは機能を失っているだけじゃなくて、逆にバランスが崩れる要因になっている。
よくこんな状態で、飛べたものだ。普通ならバランスを崩して、とっくの昔に墜落している。
ふらふら飛んで危ないので、途中で僕が捕まえて、防壁の内側に降ろした。
空中戦はもう無理だけど、武装は残っているから、砲台として活躍してもらおう。
空は蜜蜂騎兵団が押さえている。
だけど、彼女たちも地上までは手が回っていない。
ラージスケールの群れが施設に近づいていた。
こちらは僕らだけで、撃退しないと。
『いくぞ!野郎ども!』
『押忍!』
施設に迫るラージスケールの群れへ、後方から現れたロボットが飛び掛かっていった。
一体につき、三機がラージスケールに組み付き、急上昇。
ある程度の高さまで上昇すると、今度は逆に急降下して、蛇の頭を地面に叩き付けた。
こんなことをできるのはヴィンディスではバンチョ―とシャテーだけだ。
『待たせたな!BANKARA参上!我らが来たからにはこれ以上貴様らの好きにはさせんぞ!』
バンチョ―が蛇の亡骸の上で両腕を組んで仁王立ちをし、タリキさんが名乗りを上げた。
「あの、そこって危ないですよ」
『むっ。何故だ』
「だって……」
僕が答える前に、蛇の亡骸は消え、バンチョーは地面に落下した。
せっかり名乗りを上げて、格好つけていたのに台無しだ。
消えたのはデバイスがドロップを回収したからではない。あの機能は大抵の場合、死体が残る。
デバイスの基本機能の一つの、ドロップアイテム回収。
これは倒したモンスターの中から有用な部分のみを自動で解体し、デバイスの中に入れてくれるとても便利な機能だ。
ドロップアイテムとして回収できなかったそれ以外の部分はデバイスの中に自動で入らず、その場に残ったままになる。
ときたま、ほぼ全身が有用なズールみたいなモンスターもいるけど、大抵のモンスターは使えない部分があるため、モンスターの死体は消えることはない。
しかし、この蛇は死んでしばらくすると、死体が完全に消える。
現にかなりの数の蛇が死んだはずなのに、森の中には死体がほとんど残ってなかった。
一部死体が消えない蛇もいるけど、これはまだよくわかっていない。現在調査中。
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