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hirahara

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風吹く星よ

作法

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 その後、統合軍直轄の諜報部員以外も離れ島に侵入を試みてきた。
でも、曲者見逃さないくんの前ではどれだけ優秀な諜報員でも無力だ。
 見逃さないくんは異星の技術で作られているから、彼らは対抗策を用意することができない。
一人残らずトラップに捕まって、コネコルーム行にしている。
 公開を禁止されていた自身の作品の鑑賞者が増えるし、ボディペイントの実験台が増えて、コネコは大喜びしていた。


 百人以上がコネコの犠牲者になったところで、ようやく諜報員が来なくなった。
せっかく育てた諜報員が心をズタズタにされて、復職不可能にされるのは痛手が大きいことに気付いたんだろう。
鑑賞者と画材が届かなくなってコネコは少し残念そうにしていた。


 ちなみに、捕まえた諜報員の半数以上は統合軍から、残りは王派にも統合軍派にも属していない中立陣営から送られてきた人だった。
迷惑だったけど、結構おいしかった。
 彼らが所持していた装備は、慰謝料として頂いたんだけど、参考になる技術が多かった。
機密も含まれているんだろうけど、そんなの知らない。ちょっかいを出してきた方が悪いのだ。


 最初はパニックが起こっていたが、工場の運営もだいぶ落ち着いている。
研究所から紹介してもらった優秀なNPCの運営スタッフも雇ったので、トラブルが起こっても、解決してくれるはずだ。
 大半の仕事は片付いてきたが、まだ大事なことが残っていた。
王様との謁見だ。


「ちゃんと背筋を伸ばしてください」
「こうですか?」

 それに備えて、フウアさんとライザさんの奥さんであるイフェンさん、そして娘さんのルフィアさんにマナーを教わっている。
謁見時、恥を掻かないようにするためである。
 僕らはBSゴルゴン討伐の功労者として、王島クインシフに招かれていた。
本当は断りたかったんだけど、結晶化装置修理の時も断っているので、二回も断るのはさすがにまずい。


 僕だけじゃなくて、ユラさんとコネコも指導を受けている。
一人で謁見なんて、ハードルが高すぎるから、二人も巻き込んだ。
 同じく功労者のBANKARAと蜜蜂騎兵団も巻き込もうとしたけど、逃げられてしまった。
みんな堅苦しいのは嫌なのだ。


 コネコも最初は断固拒否していたが、謁見の間には国宝指定されている壁画があり、それを観るためならと、最終的に了承した。

「頭を下げすぎです。もう二㎝ほど上げてください。……今度は上げすぎです」

 三人はスパルタだった。
休憩なしのぶっ通しで三時間は練習しており、もうへとへとだ。


 三人の中で一番優しかったのはフウアさんだった。
彼女も十分厳しいけど、あとの二人と比べると天使に見える。
 後日、ライザさんに聞くと、イフェンさんは元々貴人の子どもに様々な作法を教える家庭教師で、昔【作法の鬼】と恐れられていたそうだ。
ルフィアさんも今、母親と同じ仕事をしており、【二代目作法の鬼】を襲名しているらしい。
 ちなみにライザさんとシフさんもちゃんとしたマナーを叩き込まれているそうだ。
やらないだけで。


「腕の角度が違います。手はグーじゃなくて、パーです。指先まで意識を集中してください。力を入れすぎです。もっとリラックスして」

 僕は一際厳しい指導を受けている。
謁見の時、三人の代表になって、正面に立つのは僕だからだ。
一番目立つから、腕の角度なども細かく指導をされていた。


「歩幅が大きすぎです。もっと小さく」
「何で私まで……」

 僕らだけじゃなくてヴィニアちゃんも参加し、ビシバシとしごかれていた。

「貴方がそれを言いますか。近衛隊のくせに出来ない貴方が」
「それは関係ないだろ」
「大いにあります。それ以上口答えするのなら」
「ごめんなさい!ご勘弁を!」

 最初は彼女も教師役だったんだけど、全然できていなかったので、すぐに生徒に降格された。
良い機会だから、念入りに叩き込むそうだ。


 謁見時に着る礼服は向こうが費用を出してくれる。
装飾品なども含めると、フレスヴェルグが一機買える値段だった。
 エンジ島で採寸したデータをクインシフの王族御用達の仕立て屋さんに送ってあり、現在製作中だ。
謁見の日には間に合うだろう。
現物はクインシフで受け取る手筈だ。


 宮廷マナーを一番早く身に付けたのはコネコだった。
僕らはぎこちないのに、彼は優雅で慣れている。
どう見ても、一朝一夕で身に付いたものじゃない。
 昔、みっちりと仕込まれたらしい。
そう言われると、コネコからどことなく気品のようなものを感じる気が……まったくしない。
やっぱりコネコはコネコだ。
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