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風吹く星よ
航路
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エンジとナートリは離れていないため、マイグラントの速度だと一時間も掛からなかった。
ナートリでは貨物の受け取りだけで、町までは行かない。
誰かと会う予定はなかったんだけど、何故か港まで来ていたナートリの島主と挨拶だけ済ませた。
まさか、サボりじゃないよね?ライザさんがサボり魔だからついつい疑ってしまった。
貨物の内容はエアロダイト結晶とナートリ産の砂糖などの群島の特産品だ。
エアロダイトは僕の物だけど、特産品は違う。
これらの特産品をルドフィーまで輸送するように頼まれたのだ。
群島はルドフィーで消費される食糧の三分の一程度輸出している。
マイグラントの積載量にはまだまだ余裕があるから、ついでだ。
勿論、ちゃんと運賃は頂いている。
業者じゃなく、僕らが輸送することになったのには理由がある。
捕縛した諜報員からの情報から、今まで請け負っていた運送業者が統合軍派に不正に横流ししていたことが判明したため、その業者が使えなくなってしまったからだ。
新しい運送業者を選定中だが、まだ決まっておらず、輸送が滞っていた。
そのため、ルドフィーでは食料の高騰の兆候が現れている。
まだ本格的に値上がりや品薄にはなっていないそうだが、転売を目論見、買い占める者も出ているそうだ。
受け取った貨物をルドフィーに届ければ、業者選定が終わるまでの時間は稼げるはずだ。
貨物の受け渡しは極秘で行われた。
運搬の際、転売野郎の妨害を受ける可能性があるからだ。
空賊の中にはそういう仕事を生業にしている者もいて、油断はできない。
ナートリを出発、空魔の縄張りに入らないよう、空路データに従い、群島地域を抜けた。
ここからルドフィーまでどこにも寄港せず、直行する予定だ。
ルドフィーまでの道程の半分を過ぎたが、ここまで空賊の襲撃などのトラブルは起きておらず、平和そのものだ。
航行はオートパイロットに任せてあるので、何もしなくても大丈夫だった。
シミュレーターで訓練をしていると、船内に大きなサイレンが響いた。
急いで、艦橋に向かう。
「何が起きたの?」
「敵襲です」
「モンスター?空賊?まさか統合軍じゃないよね?」
「モンスターです」
「迎撃準備!」
ヴィンディスに生息しているモンスターで飛行可能なのは、数種類。
一番可能性が低いのは鳥型のモンスターだ。
鳥型は他の星でも出現する。強さは普通。
飛行可能の機体がない星では素早さに翻弄され苦戦するが、ファルシュなら楽に勝てる。
ある理由からヴィンディスでは数が少ない。
「種類はなに?」
「データ参照中です」
マイグラントのコンピューターにはヴィンディスに生息しているほぼ全てのモンスターのデータが入力してある。
参照すれば、新種じゃない限り、敵の正体が判明するはずだ。
「……出ました!モニターに表示します」
モニターに映し出されたのは羽が生えた魚だった。
一番来てほしくなかったモンスターだ。
「イヴィルフライヤーか!」
イヴィルフライヤーは飛行可能なモンスターの中で、最も厄介なモンスターで、空魔とは別種の空の脅威だ。
空魔は刺激しなければ、縄張りから出ることはほとんどなく、危険度は低い。
だけど、イヴィルフライヤーはかなりの距離を遠征する。
人だけではなく、ゴブリンなどの他のモンスターも襲うし、雑食なので農耕地も荒らす。
鳥型モンスターが少ないのはこいつが理由だ。
イヴィルフライヤーの方が鳥型よりも強いため、喰い殺されている。
ヴィンディスでジャイアントモールに次ぐレベルの、凶悪なモンスターだ。
単体での戦闘力は鳥型よりも高い上に、常に12体以上の群れで動いている。
恐ろしく凶暴で、一度遭遇したら、倒さない限り、永遠に追いかけてくる。
スピードもあり、振り切ることは難しい。
「近くに空魔はいる?」
「反応ありません!」
よかった。イヴィルフライヤーはごく稀に空魔と行動を共にすることがある。
彼らは空魔の体に巣を作っており、一種の共生関係を築いているのだ。
「振り切りますか?」
マイグラントの全速力ならば、イヴィルフライヤーから逃げ切れるだろう。
だけど、それをしてはならない。
「駄目だよ。倒さないと」
イヴィルフライヤーはすでに興奮状態にある。
これを放置すると、近隣の島や近くを通る船に被害が出るかもしれない。
イヴィルフライヤーは右舷から接近している。
「機関砲の準備は!」
「終わってます」
「近づかせるな!撃ちまくれ!」
「ラジャー!」
銃弾がイヴィルフライヤーに向けて、発射された。
だが、イヴィルフライヤーの動きは素早く、ほぼ全ての弾が避けられてしまった。
出撃までの時間稼ぎが目的だから、当たらなくても問題ない。
イヴィルフライヤーは回避に専念したため、足止めは成功した。
今の内に出撃する。
ナートリでは貨物の受け取りだけで、町までは行かない。
誰かと会う予定はなかったんだけど、何故か港まで来ていたナートリの島主と挨拶だけ済ませた。
まさか、サボりじゃないよね?ライザさんがサボり魔だからついつい疑ってしまった。
貨物の内容はエアロダイト結晶とナートリ産の砂糖などの群島の特産品だ。
エアロダイトは僕の物だけど、特産品は違う。
これらの特産品をルドフィーまで輸送するように頼まれたのだ。
群島はルドフィーで消費される食糧の三分の一程度輸出している。
マイグラントの積載量にはまだまだ余裕があるから、ついでだ。
勿論、ちゃんと運賃は頂いている。
業者じゃなく、僕らが輸送することになったのには理由がある。
捕縛した諜報員からの情報から、今まで請け負っていた運送業者が統合軍派に不正に横流ししていたことが判明したため、その業者が使えなくなってしまったからだ。
新しい運送業者を選定中だが、まだ決まっておらず、輸送が滞っていた。
そのため、ルドフィーでは食料の高騰の兆候が現れている。
まだ本格的に値上がりや品薄にはなっていないそうだが、転売を目論見、買い占める者も出ているそうだ。
受け取った貨物をルドフィーに届ければ、業者選定が終わるまでの時間は稼げるはずだ。
貨物の受け渡しは極秘で行われた。
運搬の際、転売野郎の妨害を受ける可能性があるからだ。
空賊の中にはそういう仕事を生業にしている者もいて、油断はできない。
ナートリを出発、空魔の縄張りに入らないよう、空路データに従い、群島地域を抜けた。
ここからルドフィーまでどこにも寄港せず、直行する予定だ。
ルドフィーまでの道程の半分を過ぎたが、ここまで空賊の襲撃などのトラブルは起きておらず、平和そのものだ。
航行はオートパイロットに任せてあるので、何もしなくても大丈夫だった。
シミュレーターで訓練をしていると、船内に大きなサイレンが響いた。
急いで、艦橋に向かう。
「何が起きたの?」
「敵襲です」
「モンスター?空賊?まさか統合軍じゃないよね?」
「モンスターです」
「迎撃準備!」
ヴィンディスに生息しているモンスターで飛行可能なのは、数種類。
一番可能性が低いのは鳥型のモンスターだ。
鳥型は他の星でも出現する。強さは普通。
飛行可能の機体がない星では素早さに翻弄され苦戦するが、ファルシュなら楽に勝てる。
ある理由からヴィンディスでは数が少ない。
「種類はなに?」
「データ参照中です」
マイグラントのコンピューターにはヴィンディスに生息しているほぼ全てのモンスターのデータが入力してある。
参照すれば、新種じゃない限り、敵の正体が判明するはずだ。
「……出ました!モニターに表示します」
モニターに映し出されたのは羽が生えた魚だった。
一番来てほしくなかったモンスターだ。
「イヴィルフライヤーか!」
イヴィルフライヤーは飛行可能なモンスターの中で、最も厄介なモンスターで、空魔とは別種の空の脅威だ。
空魔は刺激しなければ、縄張りから出ることはほとんどなく、危険度は低い。
だけど、イヴィルフライヤーはかなりの距離を遠征する。
人だけではなく、ゴブリンなどの他のモンスターも襲うし、雑食なので農耕地も荒らす。
鳥型モンスターが少ないのはこいつが理由だ。
イヴィルフライヤーの方が鳥型よりも強いため、喰い殺されている。
ヴィンディスでジャイアントモールに次ぐレベルの、凶悪なモンスターだ。
単体での戦闘力は鳥型よりも高い上に、常に12体以上の群れで動いている。
恐ろしく凶暴で、一度遭遇したら、倒さない限り、永遠に追いかけてくる。
スピードもあり、振り切ることは難しい。
「近くに空魔はいる?」
「反応ありません!」
よかった。イヴィルフライヤーはごく稀に空魔と行動を共にすることがある。
彼らは空魔の体に巣を作っており、一種の共生関係を築いているのだ。
「振り切りますか?」
マイグラントの全速力ならば、イヴィルフライヤーから逃げ切れるだろう。
だけど、それをしてはならない。
「駄目だよ。倒さないと」
イヴィルフライヤーはすでに興奮状態にある。
これを放置すると、近隣の島や近くを通る船に被害が出るかもしれない。
イヴィルフライヤーは右舷から接近している。
「機関砲の準備は!」
「終わってます」
「近づかせるな!撃ちまくれ!」
「ラジャー!」
銃弾がイヴィルフライヤーに向けて、発射された。
だが、イヴィルフライヤーの動きは素早く、ほぼ全ての弾が避けられてしまった。
出撃までの時間稼ぎが目的だから、当たらなくても問題ない。
イヴィルフライヤーは回避に専念したため、足止めは成功した。
今の内に出撃する。
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