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hirahara

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滅びし水晶の惑星

死に戻りの限界

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 AGラッパのコックピットから先に調べることにした。
コックピットはジルコニアが入れる広さがないから、上半身だけを突っ込んだ。
コックピット内をくまなく調べたけど、所属が分かる物は残っていない。

「まあ、別にどっちの星のかなんてどうでもいいんだけど」

 調べたのはただの好奇心、別に知らなくても構わない。


 コックピットを調べている時に、デバイスのアダプターを発見することができた。
コネクトバインダーをアダプターに押し付け、強制的に接続する。
 コンピューターの機能は停止している。
AGリアクターが稼働してないため、コンピューターへのエネルギー供給がストップしているせいだ。


 エネルギー供給のスキルがあるから、その問題はクリアできる。
デバイスからの供給によって、コンピューターの起動に成功した。
 早速、データを閲覧しようとしたが、コンピューターにはセキュリティが掛かっていた。
おそらく、敵対者に渡った場合に備えた物だろう。


 ただし、AGラッパは所詮は量産機。
高度なセキュリティは施されていなかった。
 こんなの僕にとってはダイヤル錠以下だ。

「ちゃちゃっとね」

 セキュリティの解除をパッと済ませ、内部のデータを閲覧する。
当然、文字はアベル&カインの公用語になっているが、ジルコニアにはベース22で発見した翻訳機から作成した翻訳ソフトを組み込んでいるから、苦労せずに読むことができる。


 まず確認したのは製造年。
これが分かれば、不時着した年代が分かる。
 かなり新しい。製造されてから、まだ三ヶ月しか経過していない。
つまり不時着から大して時間が経っていない。道理で経年劣化が少ないわけだ。


 このAGラッパの所属はアベル側だった。
パイロットがプレイヤーかNPCかの情報はない。
 残念ながら、ソフトウェアは大したものはインストールされていなかった。
そもそもソフトウェアに期待はしていない。
相当高度な物でない限り、自分で開発した方が良い物を作る自信がある。


 このAGラッパのパイロットは中々の判断力の持ち主だ。
機体の操作履歴が残っていたんだけど、大気圏突入前にバックパックをパージし、武装を放棄していた。
バックパックにはミサイルなど爆発物が装備されていたらしく、熱で自爆してしまうのを回避していた。


 AGラッパなので階級は低いんだろうけど、それなりの実力者なんだろう。
 パイロットの個人情報は名前すら残されてはいなかったが、シートを見ればある程度の体格は分かる。
シートとフットペダルの距離から逆算すると、多分170cm後半から180cm前半ぐらいだろう。
男性か女性かは不明。


 続いて、脱出ポッドの方も調べる。
こちらもジルコニアは入れないから、上半身だけ中に入れる。
  こっちもAGラッパみたいだ。コックピットのレイアウトがさっきと一緒だった。
身長はヴィニアちゃんよりも少し大きいと思う。おそらく150後半ぐらいかな。
おそらく子供か女性だろう。


 本体が撃破され、脱出ポッドだけになっているが、コンピューターは健在だ。
AGラッパのソフトウェアはもう一機の方でコピーしているけど、一応こちらのコンピューターにもアクセスする。
 こっちはの所属はカインだった。
敵同士のはずなのに何で一緒に不時着したんだろう。


 どんな経緯か知らないけど、呉越同舟という言葉みたいに緊急事態で協力したのかもしれない。
どうせパイロットに会うことはないから、真相は藪の中だ。
 プレイヤーならキャラクターを消去して、すでにリスタートしているだろう。
死に戻りを利用して、アベル&カインへの帰還はしていない。
このゲーム、死に戻りには距離制限があるのだ。


 以前、検証した人がいる。
プレイ開始後、どこにも立ち寄らずに星の反対側まで行き、そこで自殺したそうだが、初期開始位置に戻されず、キャラクター消去になってしまったそうだ。
 死に戻りの距離に限界があることは判明しているが、どの程度まで大丈夫なのかは不明。
死に戻りを利用したワープはキャラ消去の危険を孕んでいるから、ほぼ使えないのである。


 このアルゲントゥムは壊れているし、万全でもアルゲントゥムには単独での大気圏脱出はできない。
救出も期待できない状況で、プレイを継続しているとは思えない。
 NPCなら死んでいる可能性の方が高い。
少し歩いただけだけど、食料は果実ぐらいしか見つからなかった。
 まだ直接遭遇していないが、調査機を破壊するほどの巨大な生物もいる。
そんな星で生身の人間が生きていけるはずがない。
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