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滅びし水晶の惑星
ショックインパルス
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あの人が遺してくれたチャネのおかげでクリアと接触でき、ウラノスたちを救う希望が生まれた。
ありがとうを言うべきなのは僕たちの方だ。
「チャネって一体何なの?」
チャネはクリスタラーのコックピットの開閉の鍵になっていた。
ただの飾りではないことは明らかだ。
「チャネは思念波の補助器官です」
「思念波?」
「そこからですか?どうやら廃れているようですね」
思念波とは簡単に言うとテレパシーみたいな物だそうだ。
離れた場所にいても、電話みたいなやりとりができる。
思念波自体は大なり小なりはあるが、どの星の住人でも持っているそうだ。
様々な技術に応用されていたらしい。
中でもクリステラ人の思念波とその技術は群を抜いていたそうだ。その要因がチャネだ。
チャネは思念波の送受信、さらには増幅にしてくれるらしい。
テレパシーは思念波の使用例の一つ。
思念波の力はそれだけじゃない。
コックピットの開閉など、機械の操作にも使われている。
クリスタラーの操縦にも思念波を使用しているらしく、あの機体はチャネがなければ動かすことができないそうだ。
僕も使ってみたい。
デバイスからあの人が遺したチャネを取り出し、試しにクリアに向けて念を送ってみる。
「聞こえる?」
「聞こえませんです。そもそもチャネはクリステラ人にしか…………」
クリアの言葉は途中で途切れ、その視線は僕の手のチャネに注がれている。
「お願いしますです。そのチャネを貸してください」
クリアにチャネを手渡す。
クリアのチャネが淡い光を放つとそれに呼応し、手の中にあるクリスタルゾンビのチャネが同じ色の光を帯びた。
「お兄ちゃんです。良かったです。また会えました」
「まさか、このチャネはクリアの身内の物なの?」
「ハイです。お兄ちゃんの物で間違いないです」
クリアの兄は研究施設放棄時、囮になってそのまま死んだそうだ。
クリアは兄のチャネを名残惜しそうに返してきたが、僕は受け取らなかった。
「良いんですか?」
「それは僕の物じゃない。家族であるクリアの物だ」
あのチャネは兄の形見だ。クリアが持つべきだ。
クリアは兄のチャネを大事そうに胸のポケットに仕舞った。
降下艇を飛ばすこと30分。
クリアの情報では研究施設はこの近くにある。
だけど、今のままでは着陸できない。
下には降下艇に反応したクリスタルゾンビが地中から出現しており、排除しなければ降りることができなかった。
クリアに目をやると、僕のことを真っすぐ見つめていた。
「眠らせてあげてほしいです」
「本当にいいの?」
「皆も早く眠りたがっているんです。お願いです、一思いにやってくださいです」
爆弾で一気に倒すことも考えたが、爆音でより強力なモンスターを引き付ける可能性を考慮に入れると、危険だ。
かと言って、一人ずつ排除している時間はない。
ガーディフォースで終わらせる。
ガーディフォースの生命力レーダーに人間の生命反応が映し出されていない。
クリアの言う通り、彼らはすでに死んでいるのだろう。
降りる前に攻撃の準備をしておこう。
エネルギーチャージが終わる着前で降下艇から出撃した。
ブースターを用い、落下速度を軽減。
着陸の衝撃を抑えるためだ。
足元にいるクリスタルゾンビを踏み潰し、地面に着地した。
それと同時に剣を地面に突き立て、トリガーを引いた。
「ショックインパルス!」
剣から生じた衝撃波は地面を伝い、クリスタルゾンビたちに襲い掛かった。
ショックインパルスはブレイクインパルスソードの応用だ。
威力は比較にならないほど弱いが、クリスタルゾンビぐらいなら一撃で倒すことができる。
ブレイクインパルスソードを使わなかったのは研究施設を壊さないため。
近くにあるはずの研究施設にも被害は出ないはずだ。
まだ地中から出てきていないクリスタルゾンビも倒したみたいで、インベントリに恐ろしい数のドロップアイテム、チャネが入ってきた。
インベントリを整理しておいて良かった。
サボっていたら、インベントリに入りきらず、取り逃しが起こっていたに違いない。
チャネはクリステラ人の遺骨のような物だと思う。
落ち着いたら、クリステラの流儀に沿った葬式をする予定だ。
チャネを研究したい欲は多少あるけど、ここは我慢する。
周囲にクリスタルゾンビはもういない。
これなら、降下艇を安全に着陸することができる。
着陸は無事に終わったが、研究施設らしき物は見当たらなかった。
「何もないけど?」
「見えないだけです。二、三歩離れてくださいです」
クリアの額のチャネが瞬きをするかの如く点滅。
すると、空間が目の前の空間が歪んでいく。
そして、研究施設の入り口が出現した。
出現した建物はエレベーター一つ分程度の大きさしかない、こんな小さいわけないから、地下に施設があるのだろう。
ありがとうを言うべきなのは僕たちの方だ。
「チャネって一体何なの?」
チャネはクリスタラーのコックピットの開閉の鍵になっていた。
ただの飾りではないことは明らかだ。
「チャネは思念波の補助器官です」
「思念波?」
「そこからですか?どうやら廃れているようですね」
思念波とは簡単に言うとテレパシーみたいな物だそうだ。
離れた場所にいても、電話みたいなやりとりができる。
思念波自体は大なり小なりはあるが、どの星の住人でも持っているそうだ。
様々な技術に応用されていたらしい。
中でもクリステラ人の思念波とその技術は群を抜いていたそうだ。その要因がチャネだ。
チャネは思念波の送受信、さらには増幅にしてくれるらしい。
テレパシーは思念波の使用例の一つ。
思念波の力はそれだけじゃない。
コックピットの開閉など、機械の操作にも使われている。
クリスタラーの操縦にも思念波を使用しているらしく、あの機体はチャネがなければ動かすことができないそうだ。
僕も使ってみたい。
デバイスからあの人が遺したチャネを取り出し、試しにクリアに向けて念を送ってみる。
「聞こえる?」
「聞こえませんです。そもそもチャネはクリステラ人にしか…………」
クリアの言葉は途中で途切れ、その視線は僕の手のチャネに注がれている。
「お願いしますです。そのチャネを貸してください」
クリアにチャネを手渡す。
クリアのチャネが淡い光を放つとそれに呼応し、手の中にあるクリスタルゾンビのチャネが同じ色の光を帯びた。
「お兄ちゃんです。良かったです。また会えました」
「まさか、このチャネはクリアの身内の物なの?」
「ハイです。お兄ちゃんの物で間違いないです」
クリアの兄は研究施設放棄時、囮になってそのまま死んだそうだ。
クリアは兄のチャネを名残惜しそうに返してきたが、僕は受け取らなかった。
「良いんですか?」
「それは僕の物じゃない。家族であるクリアの物だ」
あのチャネは兄の形見だ。クリアが持つべきだ。
クリアは兄のチャネを大事そうに胸のポケットに仕舞った。
降下艇を飛ばすこと30分。
クリアの情報では研究施設はこの近くにある。
だけど、今のままでは着陸できない。
下には降下艇に反応したクリスタルゾンビが地中から出現しており、排除しなければ降りることができなかった。
クリアに目をやると、僕のことを真っすぐ見つめていた。
「眠らせてあげてほしいです」
「本当にいいの?」
「皆も早く眠りたがっているんです。お願いです、一思いにやってくださいです」
爆弾で一気に倒すことも考えたが、爆音でより強力なモンスターを引き付ける可能性を考慮に入れると、危険だ。
かと言って、一人ずつ排除している時間はない。
ガーディフォースで終わらせる。
ガーディフォースの生命力レーダーに人間の生命反応が映し出されていない。
クリアの言う通り、彼らはすでに死んでいるのだろう。
降りる前に攻撃の準備をしておこう。
エネルギーチャージが終わる着前で降下艇から出撃した。
ブースターを用い、落下速度を軽減。
着陸の衝撃を抑えるためだ。
足元にいるクリスタルゾンビを踏み潰し、地面に着地した。
それと同時に剣を地面に突き立て、トリガーを引いた。
「ショックインパルス!」
剣から生じた衝撃波は地面を伝い、クリスタルゾンビたちに襲い掛かった。
ショックインパルスはブレイクインパルスソードの応用だ。
威力は比較にならないほど弱いが、クリスタルゾンビぐらいなら一撃で倒すことができる。
ブレイクインパルスソードを使わなかったのは研究施設を壊さないため。
近くにあるはずの研究施設にも被害は出ないはずだ。
まだ地中から出てきていないクリスタルゾンビも倒したみたいで、インベントリに恐ろしい数のドロップアイテム、チャネが入ってきた。
インベントリを整理しておいて良かった。
サボっていたら、インベントリに入りきらず、取り逃しが起こっていたに違いない。
チャネはクリステラ人の遺骨のような物だと思う。
落ち着いたら、クリステラの流儀に沿った葬式をする予定だ。
チャネを研究したい欲は多少あるけど、ここは我慢する。
周囲にクリスタルゾンビはもういない。
これなら、降下艇を安全に着陸することができる。
着陸は無事に終わったが、研究施設らしき物は見当たらなかった。
「何もないけど?」
「見えないだけです。二、三歩離れてくださいです」
クリアの額のチャネが瞬きをするかの如く点滅。
すると、空間が目の前の空間が歪んでいく。
そして、研究施設の入り口が出現した。
出現した建物はエレベーター一つ分程度の大きさしかない、こんな小さいわけないから、地下に施設があるのだろう。
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