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短編集2

偽りの太陽

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 追っ手を撒き、どうにか隠れ家に辿り着くことができた。
まだ奴らの手もここまで及んでいないみたいだ。
やっと一息吐ける。


「なんでこんなことに」

 作戦は完璧だった。
煩わしい治安システムも悪魔の力、機械コミュを同志に使わせることで麻痺させたのだ。
禁忌となるが、我らが神もあの大悪魔を討滅できるのなら、お許しになるだろう。
 チェックの厳しさが世界最高レベルの日本で、工作員を潜入させ、この日のために万全を尽くしてきたのだ。
しかし、結果は大失敗。作戦に参加した同志の大半は捕まってしまった。


 それだけならまだしも、日本中に潜伏していた同志が次々と捕まっている。
民間人として潜入していたはずなのに、正体がバレているのだ。
おそらく日本国と宇宙開発事業団だけではなく、機械コミュ協会も動いているに違いない。


 我らの活動を支援していた外部協力者たちも軒並み逮捕されていた。
このままでは太陽教は日本で活動できなくなる。
 考えを巡らせていると、ガタっと背後から物音が聞こえてきた。

「誰だ!」

振り向くとそこにはくまのぬいぐるみが放置されていた。


「なんでこんなところにぬいぐるみが?」

 ぬいぐるみなんかどうでもいい。
誰かの忘れ物だろう。
 今大事なのはこの窮地をどう脱するかだ。
国外に脱出しなければ、私の命はない。


 突然、足の踏ん張りが利かなくなり、地面に倒れてしまった。
疲れだろうか。
立ち上がろうとしたが、足の感覚がない。いや、足が無くなっていた。

「私の足がぁぁぁぁぁぁぁ」

膝から下が切断されていたのだ。


 後ろを見ると、ぬいぐるみが立ち上がっていた。
その鋭い爪には血が滴り落ちていた。

「安心白熊。殺さないくま」

 ぬいぐるみは一歩ずつ、こちらに近づいてくる。
足がないので、這うことでしか動くことはできない。
向こうの歩幅は短いが、これじゃあ逃げることは不可能だ。

「ぎゃああああああああ!」
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