618 / 816
星海から訪れる侵略者
覗きダメゼッタイ
しおりを挟む
MDMリアリティも無事発売。
発売初日はトラブル対応のために向こうに張り付いていた。
結局、重大なトラブルなんて起きなかった。
発生したのは誰にでも対応できる軽微なトラブルだけだった。
それもシステム面が原因のトラブルではなく、人間同士のいざこざ、僕が出る幕はなかった。
あとのことは運営チームに任せてある。
決闘者さんが極度の人見知りだから、彼に代わって仕事をしてきたけど、もう僕がチームに加わらなくても大丈夫。
決闘者さんは運営チームのメンバーには多少慣れてきたみたいで、簡単な意思疎通はできるようになっている。
僕がいちいち間に入る必要はない。
やっとコスモス・リバイブに集中できる。
MDMリアリティの仕事をしながら、コスモス・リバイブのプレイは続けてきた。
今は移動期間、頻繁にログインしなくても大丈夫なのだ。
大半の作業は作業ロボたちが代行してくれている。
ログインして一番最初にすることは作業の進捗状況の確認だ。
壱に話を聞きに行こうとしたら、彼の方から来てくれた。ただ若干焦っているように見える。
「スワロ様!お待ちしておりました」
「なにかあったの?」
「ノロミオ様とセルゲイ様が揉めています。仲裁をお願いします」
「二人が!?すぐに行く!」
壱に案内されたのは展望台。
大浴場を作ったため、以前よりも狭くなっている。
その展望台でおっさんは天井から宙づりにされていた。
天井まで遠いけど、浴場建設に使ったクレーンがそのままだったから、それを使って吊るしたのだろう。
吊るしたのはノロミオさんで間違いない。
ノロミオさんはどこからか持ち出した竹竿でおっさんの体を突いていた。
「一体何でこんなことに?」
「こいつはウラノスの風呂を覗いたんだ!」
「事故だと言っているだろう!」
「うるさい!故意じゃなかったら許されると思うなよ!」
ノロミオさんは手に持つ竿でおっさんの体にさらに突きを加える。
「痛い痛い!」
「ウラノスが味わった苦痛はこんなもんじゃない!」
「ウラノスは男なんだけど。それに水着着てたんでしょ」
大浴場はクリアのことを考えて、水着着用が義務付けられている。
「関係あるか!ウラノスの柔肌を見たんだ!万死に値する!それにこいつは水着着用のルールを破ってたんだ!」
なるほど。それならおっさんにも非がある。
「ちゃんと腰にタオルを巻いてただろ!」
「水着を着ろ!外れたらどうすんだ!貴様の粗末な物をウラノスに見せつける気か!」
「粗末だと!?舐めるなよ!」
ヒートアップしているノロミオさんを止めるのは骨が折れる。
こういう時はユラさんかアローさんに任せるのが一番なんだけど、二人はまだ来ていない。
止めもせずに悠長に二人の様子を眺めているウラノスを手招きする。
「ウラノス」
「何?」
「大浴場禁止ね」
「何で!?」
彼は結構な風呂好き。
僕とコネコは部屋のシャワーで済ませているのに対して、わざわざ大浴場に入りに来るぐらいだ。
「だって、いちいち騒ぎを起こされるのは面倒だし」
「そんなこと言うなよぉ」
「嫌ならノロミオさんを説得してきてよ」
ウラノスの説得によって、おっさんは解放された。
説得失敗に備えて、用意しておいたゴム弾装填済みのハンドガンをデバイスに仕舞う。
実力行使に出ずに済んで助かった。
まったくノロミオさんにも困ったもんだ。
全裸入浴の罰でこのまま吊るしておいてもいいけど、せっかくの展望台の景観を損ねている。
コネコやクリアあたりが苦情を出しそうだ。
ノロミオさんが充分罰を与えたし、降ろしてあげた。
「酷い目に合ったぞ」
「ご愁傷さまです。今度からはちゃんと水着を着てください」
「風呂は裸で入るもんだ。水着なんて着てられるか」
「だったら、使用禁止にするよ」
「ぐっ!それは勘弁してほしい」
「大人なんだから、ルールは守るように」
おっさんもなかなかの風呂好き。
ログインする度に大浴場で入浴している。
入浴権を人質にすれば、ルールを守らせることも容易だ。
「で、仕事は終わってるの?」
「治癒槽のことか?あれなら昨日最後の一つが終わったところだ」
「ご苦労さん。使えそう?」
「最新型で共和国製じゃないからな。少し慣れが必要だが、すぐに使いこなして見せるさ」
帝国製と共和国製とでは微妙に使い勝手が違うらしい。
イドにいる時も、説明書片手に四苦八苦していた。
おっさんならいずれ慣れるだろう。
発売初日はトラブル対応のために向こうに張り付いていた。
結局、重大なトラブルなんて起きなかった。
発生したのは誰にでも対応できる軽微なトラブルだけだった。
それもシステム面が原因のトラブルではなく、人間同士のいざこざ、僕が出る幕はなかった。
あとのことは運営チームに任せてある。
決闘者さんが極度の人見知りだから、彼に代わって仕事をしてきたけど、もう僕がチームに加わらなくても大丈夫。
決闘者さんは運営チームのメンバーには多少慣れてきたみたいで、簡単な意思疎通はできるようになっている。
僕がいちいち間に入る必要はない。
やっとコスモス・リバイブに集中できる。
MDMリアリティの仕事をしながら、コスモス・リバイブのプレイは続けてきた。
今は移動期間、頻繁にログインしなくても大丈夫なのだ。
大半の作業は作業ロボたちが代行してくれている。
ログインして一番最初にすることは作業の進捗状況の確認だ。
壱に話を聞きに行こうとしたら、彼の方から来てくれた。ただ若干焦っているように見える。
「スワロ様!お待ちしておりました」
「なにかあったの?」
「ノロミオ様とセルゲイ様が揉めています。仲裁をお願いします」
「二人が!?すぐに行く!」
壱に案内されたのは展望台。
大浴場を作ったため、以前よりも狭くなっている。
その展望台でおっさんは天井から宙づりにされていた。
天井まで遠いけど、浴場建設に使ったクレーンがそのままだったから、それを使って吊るしたのだろう。
吊るしたのはノロミオさんで間違いない。
ノロミオさんはどこからか持ち出した竹竿でおっさんの体を突いていた。
「一体何でこんなことに?」
「こいつはウラノスの風呂を覗いたんだ!」
「事故だと言っているだろう!」
「うるさい!故意じゃなかったら許されると思うなよ!」
ノロミオさんは手に持つ竿でおっさんの体にさらに突きを加える。
「痛い痛い!」
「ウラノスが味わった苦痛はこんなもんじゃない!」
「ウラノスは男なんだけど。それに水着着てたんでしょ」
大浴場はクリアのことを考えて、水着着用が義務付けられている。
「関係あるか!ウラノスの柔肌を見たんだ!万死に値する!それにこいつは水着着用のルールを破ってたんだ!」
なるほど。それならおっさんにも非がある。
「ちゃんと腰にタオルを巻いてただろ!」
「水着を着ろ!外れたらどうすんだ!貴様の粗末な物をウラノスに見せつける気か!」
「粗末だと!?舐めるなよ!」
ヒートアップしているノロミオさんを止めるのは骨が折れる。
こういう時はユラさんかアローさんに任せるのが一番なんだけど、二人はまだ来ていない。
止めもせずに悠長に二人の様子を眺めているウラノスを手招きする。
「ウラノス」
「何?」
「大浴場禁止ね」
「何で!?」
彼は結構な風呂好き。
僕とコネコは部屋のシャワーで済ませているのに対して、わざわざ大浴場に入りに来るぐらいだ。
「だって、いちいち騒ぎを起こされるのは面倒だし」
「そんなこと言うなよぉ」
「嫌ならノロミオさんを説得してきてよ」
ウラノスの説得によって、おっさんは解放された。
説得失敗に備えて、用意しておいたゴム弾装填済みのハンドガンをデバイスに仕舞う。
実力行使に出ずに済んで助かった。
まったくノロミオさんにも困ったもんだ。
全裸入浴の罰でこのまま吊るしておいてもいいけど、せっかくの展望台の景観を損ねている。
コネコやクリアあたりが苦情を出しそうだ。
ノロミオさんが充分罰を与えたし、降ろしてあげた。
「酷い目に合ったぞ」
「ご愁傷さまです。今度からはちゃんと水着を着てください」
「風呂は裸で入るもんだ。水着なんて着てられるか」
「だったら、使用禁止にするよ」
「ぐっ!それは勘弁してほしい」
「大人なんだから、ルールは守るように」
おっさんもなかなかの風呂好き。
ログインする度に大浴場で入浴している。
入浴権を人質にすれば、ルールを守らせることも容易だ。
「で、仕事は終わってるの?」
「治癒槽のことか?あれなら昨日最後の一つが終わったところだ」
「ご苦労さん。使えそう?」
「最新型で共和国製じゃないからな。少し慣れが必要だが、すぐに使いこなして見せるさ」
帝国製と共和国製とでは微妙に使い勝手が違うらしい。
イドにいる時も、説明書片手に四苦八苦していた。
おっさんならいずれ慣れるだろう。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2,343
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる