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星海から訪れる侵略者
災厄の胎動
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かつて楽園とも呼ばれた船。ミードコール号。
そこにはもう人の姿はない。楽園は崩壊したのだ。
正しくは楽園は崩壊していないのかもしれない
楽園は人の楽園からモンスターの楽園へと変貌を遂げたのだった。
モンスターたちは今も食糧を求め、船内を彷徨っていた。
ミードコール号内の食糧は潤沢だった。
人間が残した食糧生産プラントから生み出される食物はモンスターたちの糧になる。
彼らの糧になるのはそれだけではない。
人間の死体。それも彼らにとっては餌にすぎない。
それらを使い、モンスターたちは爆発的に数を伸ばしていく。
ミードコール号はモンスターの繁殖に適した環境だと言えた。
しかし、限界がある。
モンスターたちは増え過ぎたのだ。
プラントから生み出される食糧だけでは、数万にも上る個体を賄いきれるわけがない。
遂にモンスターたちは船内の有機物を喰らい尽くした。
彼らとて、金属などの無機物だけをエネルギーにして活動することは不可能。
時期に飢えが彼らを襲うだろう。
飢えが襲い始めた時、彼らは共食いを始めた。
当然の帰結だろう。種を存続させるにはそうするしかなかった。
しかし、共食いはその場しのぎにしかならない。
共食いでしのぎつつ、彼らは行動を開始した。
ミードコール号は移動を停止している。
人間がいなくなったことで動かす物がいなくなったためだ。
それが再び稼働し始めた。
動かしているのはモンスターたちだ。
ミードコール号の制御システムを掌握できる彼らにとって、それは容易いことだった。
その行動原理はただ一つ。餌を求めて。
そして、見つかった。見つかってしまった。
それは青い星。
広大な一つの大陸とそれを取り囲む海。
その星には生命、餌が溢れていた。
モンスターはミードコール号を降下させようとしたが、大きな問題がある。
ミードコール号は大気圏突入機能はないのである。
宇宙での活動を前提に建造されたからだ。建造も宇宙で行われた。
大気圏突入は戦艦で行う予定だったのである。戦艦を使おうにも残っていなかった。
もし、無理矢理突入をした場合、ミードコール号はタダでは済まない。
それでも、船は迷うことなく進路を地表に向けた。
大気圏突入を開始してすぐ船体が軋み始める。
人間とモンスターの戦いによって、ミードコール号にはダメージが蓄積されている。
大気圏突入の負荷に耐えられるわけがなかった。
区画が続々と脱落。船中央部にも被害が及び始めた。
そして、地上到達することなく爆散した。
破片の多くの地表に到達することなく燃え尽きた。
だが、燃え尽きることなく、地表に到達した物もある。
最も体積が大きい船中央部だ。音速を遥かに超える速度で地表に接近。
海に落ちることなく、大地に激突した。
ミードコール号の大半は燃え尽きている。だが、元の体積が体積だ。
落下の衝撃は半径数百kmに及んだ。
土を巻き上げ、大地に差す太陽光を遮った。
大地を破壊したが、破壊されたのはミードコール号の残骸も一緒だった。
当然、その中にいたモンスターの大半も死に絶えた。
◇
落下から数ヶ月経過したが、激突によって発生した粉塵はまだ宙に残っていた。
それほどまでに、墜落の衝撃は大きかったのだ。
落下地点はこの星の最重要施設の近辺だ。
普通の建造物なら衝撃波によって、跡形もなく破壊されてもおかしくなかった。
しかし、重要施設故に特別頑丈に建造されていたため、施設は健在だった。
現在、復旧のために調査隊が訪れていた。
その存在に気付いた者がいる。
ミードコール号の残骸。そこから這い出てきた。
モンスターは全滅しなかったのだ。
ただし、無傷ではない。
肉体に欠損が見られる。
そのような状態でもモンスターを支配しているのは飢え。
そして、近くにいるのは新鮮な餌。
闘星ダァン、最初の犠牲者は調査隊だった。
そこにはもう人の姿はない。楽園は崩壊したのだ。
正しくは楽園は崩壊していないのかもしれない
楽園は人の楽園からモンスターの楽園へと変貌を遂げたのだった。
モンスターたちは今も食糧を求め、船内を彷徨っていた。
ミードコール号内の食糧は潤沢だった。
人間が残した食糧生産プラントから生み出される食物はモンスターたちの糧になる。
彼らの糧になるのはそれだけではない。
人間の死体。それも彼らにとっては餌にすぎない。
それらを使い、モンスターたちは爆発的に数を伸ばしていく。
ミードコール号はモンスターの繁殖に適した環境だと言えた。
しかし、限界がある。
モンスターたちは増え過ぎたのだ。
プラントから生み出される食糧だけでは、数万にも上る個体を賄いきれるわけがない。
遂にモンスターたちは船内の有機物を喰らい尽くした。
彼らとて、金属などの無機物だけをエネルギーにして活動することは不可能。
時期に飢えが彼らを襲うだろう。
飢えが襲い始めた時、彼らは共食いを始めた。
当然の帰結だろう。種を存続させるにはそうするしかなかった。
しかし、共食いはその場しのぎにしかならない。
共食いでしのぎつつ、彼らは行動を開始した。
ミードコール号は移動を停止している。
人間がいなくなったことで動かす物がいなくなったためだ。
それが再び稼働し始めた。
動かしているのはモンスターたちだ。
ミードコール号の制御システムを掌握できる彼らにとって、それは容易いことだった。
その行動原理はただ一つ。餌を求めて。
そして、見つかった。見つかってしまった。
それは青い星。
広大な一つの大陸とそれを取り囲む海。
その星には生命、餌が溢れていた。
モンスターはミードコール号を降下させようとしたが、大きな問題がある。
ミードコール号は大気圏突入機能はないのである。
宇宙での活動を前提に建造されたからだ。建造も宇宙で行われた。
大気圏突入は戦艦で行う予定だったのである。戦艦を使おうにも残っていなかった。
もし、無理矢理突入をした場合、ミードコール号はタダでは済まない。
それでも、船は迷うことなく進路を地表に向けた。
大気圏突入を開始してすぐ船体が軋み始める。
人間とモンスターの戦いによって、ミードコール号にはダメージが蓄積されている。
大気圏突入の負荷に耐えられるわけがなかった。
区画が続々と脱落。船中央部にも被害が及び始めた。
そして、地上到達することなく爆散した。
破片の多くの地表に到達することなく燃え尽きた。
だが、燃え尽きることなく、地表に到達した物もある。
最も体積が大きい船中央部だ。音速を遥かに超える速度で地表に接近。
海に落ちることなく、大地に激突した。
ミードコール号の大半は燃え尽きている。だが、元の体積が体積だ。
落下の衝撃は半径数百kmに及んだ。
土を巻き上げ、大地に差す太陽光を遮った。
大地を破壊したが、破壊されたのはミードコール号の残骸も一緒だった。
当然、その中にいたモンスターの大半も死に絶えた。
◇
落下から数ヶ月経過したが、激突によって発生した粉塵はまだ宙に残っていた。
それほどまでに、墜落の衝撃は大きかったのだ。
落下地点はこの星の最重要施設の近辺だ。
普通の建造物なら衝撃波によって、跡形もなく破壊されてもおかしくなかった。
しかし、重要施設故に特別頑丈に建造されていたため、施設は健在だった。
現在、復旧のために調査隊が訪れていた。
その存在に気付いた者がいる。
ミードコール号の残骸。そこから這い出てきた。
モンスターは全滅しなかったのだ。
ただし、無傷ではない。
肉体に欠損が見られる。
そのような状態でもモンスターを支配しているのは飢え。
そして、近くにいるのは新鮮な餌。
闘星ダァン、最初の犠牲者は調査隊だった。
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