神様project【七曜の女神と幾億の旅跡】

青衣

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第1章【日曜の港《陽光》】

陽の光に照らされし港に憩う者

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 港が完成してからは砂浜エリアからも人は移動し賑わいを見せている今日この頃だが、私は実際建設のあの仕事以外で足を踏み入れるのは初めてだからいっそう雰囲気も違うく感じ取れて新鮮で心が弾む。
 厳密には数日前だが例えるなら昨日の今日だと言うのに、個人で所持しているボートや船舶なんかも一丁前に停泊してあってなかなか港と言うには名前負けせずに絵になってるじゃないか。
 こう言うときこそ、自前の一眼レフでこの絶景と言う瞬間を写したくなると言うもの……1枚パシャリとな、青空映える常夏の一瞬をだな。

「う~ん、気持ちの良い晴れ日だねぇ。 ふぁ~ぁあ。」

 横でいつも能天気でアクビをしているのは先程偶然にもバッタリ鉢合せしたのは天音であり、完成した港の視察に来ていたらしく今後は旅行客が満足してくれるように発展と活性化を目指すために商業的な建物を増やしていくというのを考えながら様子見と言う名目のお散歩中。
 風見の地方から前借りで莫大な資金を借りてこの辺り一帯に飲食店からホテル、様々な施設を取入れ滞在時間を増やすことによって収入もガッポリウハウハ作戦と言うわけ。

「来週辺りにね、私の喫茶店も取り壊されてリニューアルされちゃうんだ……。 ちょっと悲しいけど新たなスタートだと思えば喜ばしいことだよね!!」

 なんだその情報は、初耳だぞ!?
 ……あの喫茶店を壊すともなると私も思い入れがあるから行けるうちに行って思い出を増やさなきゃ……あ、あとはカメラに店内の様子を納めておかなくちゃいけないな。

 けど天音だってそういう悲しそうな表情をするんだものな……否、人間なのだから当たり前だが。
 思い出の詰まったあの店を新しくするとはいえ壊されてしまうのは心が痛むものだ、私もわからなくないんだ……その気持ちは。

「視察が終わったらね、店のお引っ越しの準備があるから頑張らなきゃ。 私だってこの島の女神様だから自分だけノンビリしてるわけにはいかないよね~。」

 正直言うとだ、荷造りとかを手伝いたいのは山々なんだが……自分もやるべきことはあるし玄弥の連絡待ちがキッチリとしてるなら明日にでも夜朧に出発しなきゃならないから今から手伝って疲れるのは勘弁だというもの。
 まあ、あそこは小ぢんまりしてるから介入するまでもないだろうし天音には一人で引っ越しの作業を進めてもらって最後の最後まで店を愛してくれ……私が仕事や思いに浸る時間を奪い取るなんてナンセンス、奪うのは死んだ人間の魂だけで充分さ。

「もう行かなくちゃ、め~ちゃんありがとうね!! じゃあねぇ~。」

 別にお礼を言われるようなことはなにもしていない、ただ一緒に10分程度散歩をしていただけに過ぎないんだがなぁ。

 天音の喫茶店は立地が良く偶然だろうか、砂浜エリアと港エリアのちょうど中心部にあるものだからこの辺からでもアクセスがしやすくお客さんもたくさん入ってくれるに違いない。
 だけどあそこは私達だけの憩いの空間だったから賑やかになればそりゃ繁盛して嬉しいと思えるけどノンビリできる場所がなくなっちゃうのもよく考えれば寂しいってものさ。
 だがそれはもうじき昔のお話になる、これから新しく生まれ変わる七刻には区切りと言うものが必要で、過去に縛られ続けては人は前に進めない……だからこそ時にはこういう犠牲も必要だということを覚えておかなきゃならないのだ。

 新しくサボ……いや、憩える場所を作って貰わなきゃ働き詰めの私には心が持ちそうにないんでね。
 そうだろう? お天道様……。

 私の職場は地下深いから太陽なんて絶対に見えないから、言葉が返ってくるわけじゃないがそうやってたまには青空を見上げて呟きたくなるものさ。



 だけどさすがに暑い、さすが常夏と言ったところか。



 南国の観光地なんて上等なキャッチコピーだと思わないか?
 私は嫌いじゃないがこの不快なベタベタな汗を流したい……キンキンに冷えたジュースが飲みたい、冷たいクーラーが聞いた場所に避暑したいっ!!

 行くべき所はもう決まった。
 ……そう【喫茶店】一択しかないだろう?

 ……なに? さっきと話が矛盾してる?
 細かいことは良いんだよ、きっと天音も1週間は余裕があるから明日から頑張れば良いやって気持ちで大歓迎してくれること間違い話なんだから。
 言わなくてもわかる、私は天音と同じ存在だ……そうと決まれば行くしかないじゃな~い。

 ……すまん、暑さからか天音の口調が出てしまったかもしれないが気にしないでくれ。
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