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第2章【月曜の荒野《夜朧》】
出陣出陣いざ夜朧へ
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あれからと言うものの私は喫茶店の最後の晩餐というわけで、片付けに忙しい天音が無理をしてでも特性のオムライスを作ってくれたお陰で今朝はすこぶる調子がいい。
それに玄弥の方も準備はバッチリのようでもうすぐ迎えに行くとの連絡も朝方に入ったが、今日も相変わらずとてピーカンの晴れ日和で出発するにはうってつけだと思うだろう?
【パパパーッ パパパーッ パパパノパァーッ!!】
っと、外からクラクションが聞こえてきたと言うことはもう玄弥が到着して近々出発するって訳か……もう少し天音の喫茶店に居たかったが私達とてこの大船のプロジェクトに脚を突っ込んだ者だ、途中下車出来ないことは百も承知。
名残惜しそうに手を降ってくれるな、少しだけ行ってくるだけだから。
あとクラクションは1回鳴らせば充分なのとなんだあの音は……バカにしてるのか、ふざけてるの……ねぇ。
「夜朧に行く準備はできたか? おらっ、乗った乗った!!」
この前とは違い大型トラックで今度は移動するつもりか?
……何が入ってるんだ、その荷台には。
「さぁな、着いてからのお楽しみだぜ?」
まあ蛇が出ようが鬼が出ようが私は別になんとも思わないがね、さて座席にはもう結愛が乗っておりドアをパカッと開けてくれた。
だが悪いなこのトラックは2人乗りなんだとばつの悪そうな表情をする結愛で運転座席をクイッと見詰めるも幅なんて詰められそうにない……だが私は関係ない、乗るだけだ。
「結愛、私の膝に乗れ。」
「へっ?」
たいそう驚いた顔をしているがそうでもしなきゃ乗れそうにないんでね。
玄弥の膝に座らせるとでも思ったか? それはそれで運転に支障が出るから危なっかしくて無理なのと……膝は譲りたくない、私ですら頭を乗せたことは無いんだからな。
異論は無いな、さぁ乗れ!!
後から乗った私が乗れと言うのもなんだがな。
案外素直に膝に乗っかってくれて助かるが、結愛がこうにも言うことを聞いてくれると妹のように愛らしく……ふえぇっくしょいっ!!
「ひゃわぁあっ、うるさっ!?」
すまん結愛の頭に手で押さえたがクシャミが直撃してしまったようだがこの頭にあるアホ毛が私の鼻をくすぐるのが悪い、うん……私は悪くないね。
「ほら、バカやってないで大人しくしてろ。 んじゃ天音あばよーっ!!」
玄弥は天音に手を降るとあちらもニコっと笑いトラックはゆっくりと加速し走り出す。
再び陽光へ戻ってこられるのはいつにだろうか、戻ってきたらまた華やかになってくれてるだろうか?
私の期待は想像と共に大きく膨らむばかりだ。
砂浜の道を北上すると松の木がたくさん生えた林の街道に行き着く。
後ろを振り返ってもあまり距離はなく陽光の巨大な港がうっすらと見えるほどなのに、窓を開けてると脱ぎたくなるような暑さとは逆に肌寒く感じるのはこの世界の不思議な干渉によって各地方の気温差が異なってしまうのだと言う。
あり得ない話だと思うかもしれないがこれがこの世界の基本であり真実だ、たとえ目に見えている距離であれ陽光は絶対に雪が降らないし夜朧は冬になればドカドカ降る。
面白いだろう? おっと?
「へー、冥綾の独り言ってこういう風になってたんだー。」
私のお膝に結愛が来てその上に私のパソコンがあるのだが、私はこの開拓の行く末を見守らなきゃならないからできるだけ実況は外せないんだ。
「外の世界に配信するってそういう意味なんだな、冥綾もごくろうさんなこったぜ。」
理解してくれてこちらは大助かりだ、じゃなきゃこの独り言を白い目で見られるのはこちらも勘弁してほしいのだ。
「だが、もうすぐ着くぜ。 いつでも降りられる準備しとけよな。」
玄弥がそう言うと辺りは木材の囲いで阻まれた集落の裏手らしき場所が見えてくる。
木材はあらかた風化してボロボロで女の私が本気で蹴り飛ばしてもぶっ壊せそうなほどガタが来ている。
建て直す余裕すらないと思うと経済力も危険な程に低下してるんだろう、だからこそ私達が今救うためにやって来たのだ……っと、結愛降りる?
んじゃあパソコン片付けるか。
それに玄弥の方も準備はバッチリのようでもうすぐ迎えに行くとの連絡も朝方に入ったが、今日も相変わらずとてピーカンの晴れ日和で出発するにはうってつけだと思うだろう?
【パパパーッ パパパーッ パパパノパァーッ!!】
っと、外からクラクションが聞こえてきたと言うことはもう玄弥が到着して近々出発するって訳か……もう少し天音の喫茶店に居たかったが私達とてこの大船のプロジェクトに脚を突っ込んだ者だ、途中下車出来ないことは百も承知。
名残惜しそうに手を降ってくれるな、少しだけ行ってくるだけだから。
あとクラクションは1回鳴らせば充分なのとなんだあの音は……バカにしてるのか、ふざけてるの……ねぇ。
「夜朧に行く準備はできたか? おらっ、乗った乗った!!」
この前とは違い大型トラックで今度は移動するつもりか?
……何が入ってるんだ、その荷台には。
「さぁな、着いてからのお楽しみだぜ?」
まあ蛇が出ようが鬼が出ようが私は別になんとも思わないがね、さて座席にはもう結愛が乗っておりドアをパカッと開けてくれた。
だが悪いなこのトラックは2人乗りなんだとばつの悪そうな表情をする結愛で運転座席をクイッと見詰めるも幅なんて詰められそうにない……だが私は関係ない、乗るだけだ。
「結愛、私の膝に乗れ。」
「へっ?」
たいそう驚いた顔をしているがそうでもしなきゃ乗れそうにないんでね。
玄弥の膝に座らせるとでも思ったか? それはそれで運転に支障が出るから危なっかしくて無理なのと……膝は譲りたくない、私ですら頭を乗せたことは無いんだからな。
異論は無いな、さぁ乗れ!!
後から乗った私が乗れと言うのもなんだがな。
案外素直に膝に乗っかってくれて助かるが、結愛がこうにも言うことを聞いてくれると妹のように愛らしく……ふえぇっくしょいっ!!
「ひゃわぁあっ、うるさっ!?」
すまん結愛の頭に手で押さえたがクシャミが直撃してしまったようだがこの頭にあるアホ毛が私の鼻をくすぐるのが悪い、うん……私は悪くないね。
「ほら、バカやってないで大人しくしてろ。 んじゃ天音あばよーっ!!」
玄弥は天音に手を降るとあちらもニコっと笑いトラックはゆっくりと加速し走り出す。
再び陽光へ戻ってこられるのはいつにだろうか、戻ってきたらまた華やかになってくれてるだろうか?
私の期待は想像と共に大きく膨らむばかりだ。
砂浜の道を北上すると松の木がたくさん生えた林の街道に行き着く。
後ろを振り返ってもあまり距離はなく陽光の巨大な港がうっすらと見えるほどなのに、窓を開けてると脱ぎたくなるような暑さとは逆に肌寒く感じるのはこの世界の不思議な干渉によって各地方の気温差が異なってしまうのだと言う。
あり得ない話だと思うかもしれないがこれがこの世界の基本であり真実だ、たとえ目に見えている距離であれ陽光は絶対に雪が降らないし夜朧は冬になればドカドカ降る。
面白いだろう? おっと?
「へー、冥綾の独り言ってこういう風になってたんだー。」
私のお膝に結愛が来てその上に私のパソコンがあるのだが、私はこの開拓の行く末を見守らなきゃならないからできるだけ実況は外せないんだ。
「外の世界に配信するってそういう意味なんだな、冥綾もごくろうさんなこったぜ。」
理解してくれてこちらは大助かりだ、じゃなきゃこの独り言を白い目で見られるのはこちらも勘弁してほしいのだ。
「だが、もうすぐ着くぜ。 いつでも降りられる準備しとけよな。」
玄弥がそう言うと辺りは木材の囲いで阻まれた集落の裏手らしき場所が見えてくる。
木材はあらかた風化してボロボロで女の私が本気で蹴り飛ばしてもぶっ壊せそうなほどガタが来ている。
建て直す余裕すらないと思うと経済力も危険な程に低下してるんだろう、だからこそ私達が今救うためにやって来たのだ……っと、結愛降りる?
んじゃあパソコン片付けるか。
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