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第3章【火曜の火山《燎煉》】
選ばなくても見ればわかる
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買い物から帰ってきた主だが玄関で迎えるとどうやら小さな小さなお客さんをつれて来たらしいけど、見たくれは結愛と同じくらいの背丈の女の子。
ちょっと部屋に入るなりソワソワしてて落ち着かないご様子でもよく見ればかなり可愛らしい。
茶色いベレー帽に同色のトレンチコート、腰にはオートマチック拳銃が2丁、はい……普通の子じゃ無いね。
それでもって私を見るなりジトーっとした表情で警戒しつつも主の後ろに隠れてはソッと見つめてくれる辺り、なんとも言えない可愛らしさを醸し出してるが主はいったいどこからつれて来たのかよくわからない。
警戒されるのは別に構わない、私は命を司る力を持ってるから感受性の強い人は何となく察することができるだろう?
人一倍避けられやすいってのは慣れっこってものよ。
「はいよ軍曹、冥綾にご挨拶して。」
な……今、主はこの子に対して軍曹と言ったのか!?
この小さな女の子がまさかの軍人、しかも軍曹の階級とは私も驚きが隠せないがそれよりも絶対小説の登場人物から引っ張って来たんじゃないのか?
あからさまに年端に見合うスペックじゃないんだものな。
しかし今回は私にくじ引きはおろか選択権すら無かったのか……残念だ。
「わ、私はアシダカ軍曹だっ!! おにーさんの食費を稼ぐために遠路はるばる主の召集の命によりお手伝いをするまでだ!!」
「お、おう……頑張ってな?」
こちらも自己紹介を返そうと思ったがこれまた立派すぎる態度で、声というか言葉がでないのは本物の軍人としての圧力に私が畏怖しているからなのか、それとも呆気に取られてなのかよくわからないが見事な姿勢と敬礼を向けられては単なるコスプレではなく実力も本物だろうと推測はできる。
思わず私も頑張らなきゃならないのに頑張ってと声を掛けた自分がバカらしく思えたわ。
あとはどうしても名前が名前であるからこちらも察しざるを得ないが、まさかのまさかだったら身の毛もよだつ……あるいは発狂ものか。
「私は冥綾さ、以後よろしく頼む。 あとアシダカ軍曹ってまさか……アシダカグモの敬称だよね?」
アシダカグモとは非常に戦闘能力が高く純粋な戦闘狂としても有名なほどで、手のひらに乗るほどの大きさのクモを家に3匹放ったならその家のゴキは半月もしないで壊滅に至るほどと噂は聞いたことがある。
見た目は小さくても……いや、元の虫のサイズに比べれば人型になってるから大きいと言えばそこまでだが、なんにせよ敵に回したくもない。
あとは多少はライブラリで読み漁ってはいたものの主の製作した小説で動物などの擬人化キャラは多くはないがにしろ少なからず存在するが、ゴキハンターとしては益虫なのに素のビジュアルが害虫レベルのクモを選ぶとは主の頭はどうかしてるんじゃないだろうか。
まぁ、人の事は言えないが……もしかして保険を打っておくことにするよ?
「軍曹はまさかだけど、元の姿に戻ることは可能なのか?」
「もちろんだ!! けどな、おにーさん以外に見せると気味悪がられるから基本は変身したりはしないんだぞ!!」
良かった良かった。
キチンと道理をわきまえてくれる子は扱いやすいのは大きくポイントが高い。
どこぞの結愛のようにわがままわめき散らされたらたまらないからさ。
万が一にでも元の姿になったなら私はその姿に耐えられず逃げ出すかパニックで叩き潰すかもしれない、その辺は変身したら自己責任で頼む。
「というわけで、軍曹はこれから極寒の地【時雨】にてスキー場を作るお手伝いを冥綾と一緒に頼みたいわけ、もちろん無事に成し遂げられたら約束の100万円は振り込んでおくからね。」
「うむうむっ、雪中行軍とは初めてだ。」
やはり主が製作したキャラクターにはロクなのが居ないな……解釈を都合の良いようにねじ曲げるのがお得意らしいがそういう私も同類だが。
けど、軍曹は人を指揮するなら階級が嘘をつかなければプロフェッショナルに近い、これは大きな戦力となるから主のチョイスはかなり当て外れなのが大半と言ったが今回ばかりはなかなかどうして良い仕事したんじゃない?
正直なところ男の人を寄越してほしかったのは内緒たなんだけど……って、期待はしてないしそもそも私にはアイツが、な、な……何でもないッ!!
「おやおやぁ? 冥綾顔真っ赤だぞぉ~?」
「軍曹もな? おにーさんの事を考えると顔が赤くなるぞ!! それと同じモノを感じるぞ!! むふーっ、ステキなことだぞ!!」
くっ、主も軍曹も人の揚げ足とるの好きだな、他人のマウントとってそんなに楽しいのか?
まったく私はこんなお子さまを相手にするんだったら素直に今は休みたい気分なんだが、なんだが……なんだその目は、ニヤニヤするなマセたお子さま達めッ!!
とりあえずこの雰囲気が独特すぎて私には荷が重すぎる、風呂にでも入って心を落ち着かせてくる以外は逃げ道がないが、決して逃げるという単語は入ってるが逃走とかじゃなくて普通に入浴したいと思ったからだ。
……とまぁ、うまく行くはずもないか。
風呂という言葉が出たら主が狙ってたかのように軍曹も一緒にいれてあげてくれって軽々しく言うが、いや待てよ? 相手を知るには風呂はうってつけの場所、身分も年齢も関係なく話せる……なんとも素敵な場所だろうか?
そうと決まればさぁ腹を割って一緒に話をしようじゃないか軍曹、私の事も世界も耳にタコができるほど教えてあげるから覚悟しておいてね。
ちょっと部屋に入るなりソワソワしてて落ち着かないご様子でもよく見ればかなり可愛らしい。
茶色いベレー帽に同色のトレンチコート、腰にはオートマチック拳銃が2丁、はい……普通の子じゃ無いね。
それでもって私を見るなりジトーっとした表情で警戒しつつも主の後ろに隠れてはソッと見つめてくれる辺り、なんとも言えない可愛らしさを醸し出してるが主はいったいどこからつれて来たのかよくわからない。
警戒されるのは別に構わない、私は命を司る力を持ってるから感受性の強い人は何となく察することができるだろう?
人一倍避けられやすいってのは慣れっこってものよ。
「はいよ軍曹、冥綾にご挨拶して。」
な……今、主はこの子に対して軍曹と言ったのか!?
この小さな女の子がまさかの軍人、しかも軍曹の階級とは私も驚きが隠せないがそれよりも絶対小説の登場人物から引っ張って来たんじゃないのか?
あからさまに年端に見合うスペックじゃないんだものな。
しかし今回は私にくじ引きはおろか選択権すら無かったのか……残念だ。
「わ、私はアシダカ軍曹だっ!! おにーさんの食費を稼ぐために遠路はるばる主の召集の命によりお手伝いをするまでだ!!」
「お、おう……頑張ってな?」
こちらも自己紹介を返そうと思ったがこれまた立派すぎる態度で、声というか言葉がでないのは本物の軍人としての圧力に私が畏怖しているからなのか、それとも呆気に取られてなのかよくわからないが見事な姿勢と敬礼を向けられては単なるコスプレではなく実力も本物だろうと推測はできる。
思わず私も頑張らなきゃならないのに頑張ってと声を掛けた自分がバカらしく思えたわ。
あとはどうしても名前が名前であるからこちらも察しざるを得ないが、まさかのまさかだったら身の毛もよだつ……あるいは発狂ものか。
「私は冥綾さ、以後よろしく頼む。 あとアシダカ軍曹ってまさか……アシダカグモの敬称だよね?」
アシダカグモとは非常に戦闘能力が高く純粋な戦闘狂としても有名なほどで、手のひらに乗るほどの大きさのクモを家に3匹放ったならその家のゴキは半月もしないで壊滅に至るほどと噂は聞いたことがある。
見た目は小さくても……いや、元の虫のサイズに比べれば人型になってるから大きいと言えばそこまでだが、なんにせよ敵に回したくもない。
あとは多少はライブラリで読み漁ってはいたものの主の製作した小説で動物などの擬人化キャラは多くはないがにしろ少なからず存在するが、ゴキハンターとしては益虫なのに素のビジュアルが害虫レベルのクモを選ぶとは主の頭はどうかしてるんじゃないだろうか。
まぁ、人の事は言えないが……もしかして保険を打っておくことにするよ?
「軍曹はまさかだけど、元の姿に戻ることは可能なのか?」
「もちろんだ!! けどな、おにーさん以外に見せると気味悪がられるから基本は変身したりはしないんだぞ!!」
良かった良かった。
キチンと道理をわきまえてくれる子は扱いやすいのは大きくポイントが高い。
どこぞの結愛のようにわがままわめき散らされたらたまらないからさ。
万が一にでも元の姿になったなら私はその姿に耐えられず逃げ出すかパニックで叩き潰すかもしれない、その辺は変身したら自己責任で頼む。
「というわけで、軍曹はこれから極寒の地【時雨】にてスキー場を作るお手伝いを冥綾と一緒に頼みたいわけ、もちろん無事に成し遂げられたら約束の100万円は振り込んでおくからね。」
「うむうむっ、雪中行軍とは初めてだ。」
やはり主が製作したキャラクターにはロクなのが居ないな……解釈を都合の良いようにねじ曲げるのがお得意らしいがそういう私も同類だが。
けど、軍曹は人を指揮するなら階級が嘘をつかなければプロフェッショナルに近い、これは大きな戦力となるから主のチョイスはかなり当て外れなのが大半と言ったが今回ばかりはなかなかどうして良い仕事したんじゃない?
正直なところ男の人を寄越してほしかったのは内緒たなんだけど……って、期待はしてないしそもそも私にはアイツが、な、な……何でもないッ!!
「おやおやぁ? 冥綾顔真っ赤だぞぉ~?」
「軍曹もな? おにーさんの事を考えると顔が赤くなるぞ!! それと同じモノを感じるぞ!! むふーっ、ステキなことだぞ!!」
くっ、主も軍曹も人の揚げ足とるの好きだな、他人のマウントとってそんなに楽しいのか?
まったく私はこんなお子さまを相手にするんだったら素直に今は休みたい気分なんだが、なんだが……なんだその目は、ニヤニヤするなマセたお子さま達めッ!!
とりあえずこの雰囲気が独特すぎて私には荷が重すぎる、風呂にでも入って心を落ち着かせてくる以外は逃げ道がないが、決して逃げるという単語は入ってるが逃走とかじゃなくて普通に入浴したいと思ったからだ。
……とまぁ、うまく行くはずもないか。
風呂という言葉が出たら主が狙ってたかのように軍曹も一緒にいれてあげてくれって軽々しく言うが、いや待てよ? 相手を知るには風呂はうってつけの場所、身分も年齢も関係なく話せる……なんとも素敵な場所だろうか?
そうと決まればさぁ腹を割って一緒に話をしようじゃないか軍曹、私の事も世界も耳にタコができるほど教えてあげるから覚悟しておいてね。
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