16 / 20
第一章・臼箕電工
出張料理人の浅葱
しおりを挟む
――袖を巻くって気合いいれて……。
スーパーの袋から出てきたのは豚肉や人参、玉葱にカレールーであるが、ここまで来れば何を作ればいいのかは言わずもがな。
とりあえず人参を下洗い。
「カレーなんて小学校以来なんだけど。」
下洗いした人参の水気を切っては、カレーの箱の裏面の説明書を見渡すと、当たり前ながら作り方は同じだ。
説明文など読まなくても、作れるのだが一応とのこと。
戸棚から包丁とまな板を取り出して、さあ調理開始。
「人参は皮を剥いてイチョウ切りね。」
イチョウの葉のように見立てた四分の一のカットは、慣れない手付きで遅いながらもゆっくりと慎重に、そして丁寧にやらなければならない。
それもそうだが、第一に手を切たら元も子もないのだ。
「……まあいい。」
丁寧に心がけても、お世辞にもきれいに切り揃えられたとは言えない切り方。
どうせ食べてしまえば同じことなのだと妥協をしながら、人参を別なボウルに移しかえては玉葱を今度はスーパーの袋からとりだす。
かなりの大きさの玉葱はひとつまな板に置いただけで、ゴロンと擬音が聞こえそうなほど丸々と成長した立派なものであり、二人分のカレーならもう一回作れそうなほどなので今回は半分使うことに。
――皮を向いたら覚悟を。
茶色い皮を向いたら次は切らなくてはいけないのだが、難関はここから始まるのだ。
両手で包丁を押し込み、玉葱を半分カットにしたときだった。
やはりお決まりのとこが起こらなければ埋まらない。
「あーっ、目がぁっ……目があぁああっ!!」
包丁を置いては両目を塞ぎ、涙を流しながら椅子に座って痛みが引くのを待つ。
しかし被害者は一人とは限らない、なぜならはその目を痛める成分は空気中にも漂ってしまうためだ。
浅葱に呆れられた汚ならしい冷蔵庫を掃除しておいてと、尻にしかれた揃物は同じ台所に居るために、玉葱の魔の手から逃げ遅れてしまったのだ。
「アーッ、痛ででででっ! なんじゃあぁああっ!?」
お互い目を痛めては、先に進みそうにない展開にただ騒がしくなるばかり。
揃物はほぼ自炊をしないし玉葱を切るとどうなるのか知らなかったため、何が起こったのか点でわからずゴロゴロと滑稽に転げ回ったそうな。
スーパーの袋から出てきたのは豚肉や人参、玉葱にカレールーであるが、ここまで来れば何を作ればいいのかは言わずもがな。
とりあえず人参を下洗い。
「カレーなんて小学校以来なんだけど。」
下洗いした人参の水気を切っては、カレーの箱の裏面の説明書を見渡すと、当たり前ながら作り方は同じだ。
説明文など読まなくても、作れるのだが一応とのこと。
戸棚から包丁とまな板を取り出して、さあ調理開始。
「人参は皮を剥いてイチョウ切りね。」
イチョウの葉のように見立てた四分の一のカットは、慣れない手付きで遅いながらもゆっくりと慎重に、そして丁寧にやらなければならない。
それもそうだが、第一に手を切たら元も子もないのだ。
「……まあいい。」
丁寧に心がけても、お世辞にもきれいに切り揃えられたとは言えない切り方。
どうせ食べてしまえば同じことなのだと妥協をしながら、人参を別なボウルに移しかえては玉葱を今度はスーパーの袋からとりだす。
かなりの大きさの玉葱はひとつまな板に置いただけで、ゴロンと擬音が聞こえそうなほど丸々と成長した立派なものであり、二人分のカレーならもう一回作れそうなほどなので今回は半分使うことに。
――皮を向いたら覚悟を。
茶色い皮を向いたら次は切らなくてはいけないのだが、難関はここから始まるのだ。
両手で包丁を押し込み、玉葱を半分カットにしたときだった。
やはりお決まりのとこが起こらなければ埋まらない。
「あーっ、目がぁっ……目があぁああっ!!」
包丁を置いては両目を塞ぎ、涙を流しながら椅子に座って痛みが引くのを待つ。
しかし被害者は一人とは限らない、なぜならはその目を痛める成分は空気中にも漂ってしまうためだ。
浅葱に呆れられた汚ならしい冷蔵庫を掃除しておいてと、尻にしかれた揃物は同じ台所に居るために、玉葱の魔の手から逃げ遅れてしまったのだ。
「アーッ、痛ででででっ! なんじゃあぁああっ!?」
お互い目を痛めては、先に進みそうにない展開にただ騒がしくなるばかり。
揃物はほぼ自炊をしないし玉葱を切るとどうなるのか知らなかったため、何が起こったのか点でわからずゴロゴロと滑稽に転げ回ったそうな。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる