日々是成長×神様project・ＨDリマスター

プロローグ&人物紹介？

十月一日その四

十月一日その四。
雨雲の中で。














   大陸の西に位置するこの場所はまだまだ昔の歴史を感じさせるところが存在する。
   朝早くと言えど農民は畑を耕し、お役人は帯刀しては業務に精を出す。

   そんな町行く人の中に一際美しい少女が小雨をものともしない表情で、腰に刀を帯びては町の警備にあたっている。

 「今朝も異常は見られませんね。 さてと、一旦帰りましょうか。」

   少女はその町から見える城を見上げては、自分の家路に着こうとまた一歩歩みを始める。

   ここは歴史の文化を重んじる月曜の城下町、夜朧地方でありそこの少女こそ月曜を司る女神の蘇我 聖奈そが せいなである。
   女性だからといって舐めてかかっては彼女に体を両断されることは間違いは無いほど剣術は最強である。
   夜朧城の女城主であり、姫将軍でもあれば大名だなどと呼ばれたこともある。

 「さてと、本降りが近付いてきましたね。」

   城に着くと自分の部屋へと向かうも、窓からは黒い雲から稲光と落雷が発せられているのがわかり、思い音と共に空気を切り裂く雷鳴が轟く。
   それでも城下町も人々はものともせず、どしゃ降りでも悠々と傘を指しながら雷雨の中を歩く人も少なくはない。

 「今日も町に異常はありませんでしたね、しかし……この様子の雨ですと今日の寺子屋はお休みした方が良さそうですね。 今日は緊急的に急行としましょう。」

   机にてすずりと半紙に文鎮を用意すると、丁寧に掲示板に提示するための休校の張り紙を作成しては寺子屋の目の前の掲示板に貼りに行こうとする。

 「この大雨が続けば、あの古びた橋も長くは持たないでしょうね。 ここは通行禁止にして、今期の予算案で新な橋の製作……いえいえ、補強などと。」

   寺子屋の道中であれ本来の目的を忘れて、通り道の壊れた橋の目の前で考え込んでしまう聖奈。
   大雨が降ろうが雷雨が轟こうが関係ないが、ハッと我にかえる。

 「あっと、こうしてはいられませんね。 はやく張り紙を……あら？」

   遠くの空を見据えると晴れ間が見えており、ここ三十分で通りすぎるようなゲリラ雷雨であったが、もう書類を作成してしまったのだから仕方ない。
   聖奈は空を見上げては軽く微笑んではなにかとため息をつきながらも寺子屋へと歩んで行く。

 「今日は……休校です。」

   貼り終わるともう既に空は晴れ間が広がっており、彼方にはうっすらと虹の橋がかかっている。
   それを見て聖奈はもう一度笑うと城への家路へとまたゆっくりと歩むのである。














月曜の城下町、夜朧地方。
月曜の女神の蘇我聖奈は絶賛お勤め中。