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十月
十月十一日
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十月十一日。
どこまでも果てなく。
静かな神社の夜中は、安寧に包まれている。
全てを司る七曜の女神、土の女神、木の女神の三人は一緒にいると常に暴走したような事態が引き起こしかねないものの、こうして眠って力を抑えてしまえば可愛いもの。
「静かに寝てやがるな……よしよし。」
甘ったるい少女達の香りで蒸せ返りそうな寝室の見回りを終えた玄弥はゆっくりとふすまを閉め、居間の時計を見つめると深夜の一時と誰しもが寝ている時間だが、風呂から上がった七曜神の中でも見た目だけは一番年長の彼の大人の時間が始まる。
机の上にはチーズ鱈だのサキイカだの、おつまみとビールの缶が置かれている。
特に何をするわけでもテレビを見るわけでもないが、一部屋だけ照らされた部屋で玄弥は一人寂しくも楽しそうに酔いしれている。
「岩動で食べた松茸の炊き込みご飯……あれは美味かったな。 明日にでも桃子にお願いして余り物を持ってきてもらおう……へへ。」
本来こういうところの余り物は貰ってきてはいけないし、食中毒が原因となれば大変なことになってしまう。
「でも岩動産の松茸も良いが、風見産の松茸だって負けちゃいねぇ……。」
土の女神の愛が込められた上質な土地で育った松茸。
木の女神の愛が込められた上質な自然で育った松茸。
どちらも一級品なのだが、売り上げは互角であり、普通に食べるなら味も風味も変わったものではない。
「まぁ、俺は食えりゃどこの松茸だって食うけどもな。」
玄弥は一人寂しくも酒を飲みながら意外といろんなことを考えている。
一番の大きなものと言えば、なぜ自分は自分であり、七曜神の中でたった一人の男なのかと考える節がある。
「まったく、良い迷惑だぜ……。」
たくさんの女性に付きまとわされる玄弥には実際は鬱陶しい事この上ないのだが、それでも嫌というわけではない。
ただ、反応に困ることはたくさんあるというだけの話なのだ。
「まぁ、良いんだがよ。」
また一口ビールを飲み干しては全ての考えることをやめようと机に伏しては、意識を押さえ込みそのまま寝ようとする。
いつも通り朝になればお節介な妹達が何とかしてくれるだろうと、ちょっとは頼りきりながらも今日も生きてゆく玄弥。
たった一人の男神の七曜神。
愛され続ける理由がここにある。
どこまでも果てなく。
静かな神社の夜中は、安寧に包まれている。
全てを司る七曜の女神、土の女神、木の女神の三人は一緒にいると常に暴走したような事態が引き起こしかねないものの、こうして眠って力を抑えてしまえば可愛いもの。
「静かに寝てやがるな……よしよし。」
甘ったるい少女達の香りで蒸せ返りそうな寝室の見回りを終えた玄弥はゆっくりとふすまを閉め、居間の時計を見つめると深夜の一時と誰しもが寝ている時間だが、風呂から上がった七曜神の中でも見た目だけは一番年長の彼の大人の時間が始まる。
机の上にはチーズ鱈だのサキイカだの、おつまみとビールの缶が置かれている。
特に何をするわけでもテレビを見るわけでもないが、一部屋だけ照らされた部屋で玄弥は一人寂しくも楽しそうに酔いしれている。
「岩動で食べた松茸の炊き込みご飯……あれは美味かったな。 明日にでも桃子にお願いして余り物を持ってきてもらおう……へへ。」
本来こういうところの余り物は貰ってきてはいけないし、食中毒が原因となれば大変なことになってしまう。
「でも岩動産の松茸も良いが、風見産の松茸だって負けちゃいねぇ……。」
土の女神の愛が込められた上質な土地で育った松茸。
木の女神の愛が込められた上質な自然で育った松茸。
どちらも一級品なのだが、売り上げは互角であり、普通に食べるなら味も風味も変わったものではない。
「まぁ、俺は食えりゃどこの松茸だって食うけどもな。」
玄弥は一人寂しくも酒を飲みながら意外といろんなことを考えている。
一番の大きなものと言えば、なぜ自分は自分であり、七曜神の中でたった一人の男なのかと考える節がある。
「まったく、良い迷惑だぜ……。」
たくさんの女性に付きまとわされる玄弥には実際は鬱陶しい事この上ないのだが、それでも嫌というわけではない。
ただ、反応に困ることはたくさんあるというだけの話なのだ。
「まぁ、良いんだがよ。」
また一口ビールを飲み干しては全ての考えることをやめようと机に伏しては、意識を押さえ込みそのまま寝ようとする。
いつも通り朝になればお節介な妹達が何とかしてくれるだろうと、ちょっとは頼りきりながらも今日も生きてゆく玄弥。
たった一人の男神の七曜神。
愛され続ける理由がここにある。
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