日々是成長×神様project・HDリマスター

青衣

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十月

十月十四日

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十月十四日。
塩がドバーッと。














   男はよくカップ麺をこよなく愛して食べているのではないかと、彼女は疑ってやまないが、時としてそれは破滅の一歩まで歩むことがある。

   美味しいものには毒がある……と。

 「あーぁ、うめぇなぁ。」

   醤油ラーメンを美味しそうに食べるのは玄弥。
   結愛や菊花も食べているが、こちらは大きさは半分程度しかないミニサイズの同種のカップ麺。
   
   少女と言えど人間なのだからラーメンは大好きなのだろう、玄弥のように大きな音をたてて食べているわけではないが、慎ましく食べている。

 「ふー、食ったぁ……。」

   空になったカップ麺の容器を置くと結愛はあきれた表情で見つめる。

 「玄弥は汁まで飲むの? 体に悪いわよ?」

   カップ麺にしてはもう少し大きく、麺は百十四グラムにスープは五百十四ミリリットル。
   カロリーに至っては八百十カロリーととてもジャンキーなのだが、結愛の呆れるのはそこではない。

   このラーメンをスープまで完食したならば、塩分は六.九グラムもあるのだから堪ったものじゃない。

 「人の一日の塩分摂取を越えるのよ! 飲んじゃダメッ!」

   しかしスープまで飲み干したい玄弥は体に悪いとわかっていても納得できない。
   それが生活習慣病の元となるとわかっていても、どうしても捨てるのがもったいなかったのだ。

 「……だって、ウマイじゃんよ。」

 「玄弥も私なんだから、あまり体を変に壊さないでよね。」

   多少は飲んでも良いと認可はされたみたいだが、これも試練。

 「血栓とかできたら怖いよねーっ、心臓が壊れちゃったら大変だよ。」

   菊花は小さなカップ麺なのだからスープを全部飲み干してもセーフなレベル。
   かといって玄弥がこのサイズを食ったなら三つくらいじゃないとお腹は満たないだろう。

   そうしたならば元も子もないものなのだ。

 「カップ麺も憎いやつだぜ。」

 「全くね。」

 「数も豊富! 暴食の元! 生活習慣病! そのためのカップ麺。」

   菊花は右手で何やら訳のわからないアピールを施すも二人は無視する。

 「とにかく、飲みたいならこのミニヌードルで我慢することね。」

 「善処するぜ……。」

   玄弥の塩分の制限がスタートしたなかで、頑張ってもらうしかないだろう。
   辛いが命にかかわるため、飲む人も勿体がらずに潔く捨ててしまおう。














ラーメンの汁は美味しいけど地獄の入り口。
取りつかれたら塩分の沼から抜け出せない。
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