日々是成長×神様project・HDリマスター

青衣

文字の大きさ
35 / 35
十月

十月二十八日

しおりを挟む
十月二十八日。
時は時として交わる。














   常夏は永遠に続くなら浜辺には連日のように飽きもなくお客さんはズラリと見えており、割合からすれば七割が陽光の民の金髪でごった返し、残りの二割は陽光と親愛関係を結ぶ風見の民の緑髪。
   残りの一割は他の地方の赤、青だの茶色と様々なモノである。

   仕事の暇さえあれば玄弥も浜辺でビーチバレーに勤しんだりはするのだが、いささか今は様子がおかしいのだ。
   どう言うことかと言うも、小さな幼女をマジマジと見つめてはロリコンのようなごとく金髪の小さな陽光の幼女を一メートルともない近距離で眺めている。
   眺めている……と言うよりは、厳密にはメンチを飛ばしているのかもしれない。

 「……。」

   見られている金髪の幼女は、陽光の民特有の青い瞳で玄弥を見つめているも、その表情と来ると陽光の民には感じられない視線である。
   本来陽光の民は陽気で脳内がお花畑に近いような連中ばかりだが、彼女は玄弥と遭遇してからはなに一言喋っていないのだ。
   それにこんな至近距離だと言うのに、何を言うまでもなく青い瞳は玄弥の赤い瞳に視線を突き刺している。

 「お嬢ちゃん、一人は危ないぜ? お名前は? お父さんとお母さんは?」

   玄弥はアウト寄りなアウトな発言を浴びせると、彼女は口を開いた。

 「ひな、お父さんは目の前……、お母さんは相変わらず船で寝てると思うから知らない。」

   玄弥は目の前にいると言うので辺りを見渡しては保護者らしき人を探すも、こうも金髪だらけだと検討すらつかないものだ。

 「おーいっ、だれかこの子の父親は知りませんかぁっ!?」

   陽光において玄弥の名前を知らないものは居ないため、こういう情報網はすぐに見つかるだろうと思っていたのだが……。

 「お父さん……ついにボケた。」

   幼女、もとい雛は呆れた表情でため息を漏らす。
   理解に苦しむのは玄弥の方であった。

 「お父さん? 俺が? まてまて、俺はまだ未婚だぞ。」

   玄弥は首をかしげるも雛はにっこり笑ってはクスクスと微笑しており、それは天音を彷彿させるような笑顔であった。
   となると母親は誰か言わずもがな、因子を色濃く継いでる訳である。

 「たまには時間を遡るのも悪くはないわね、帰ろうかしら? お父さんをからかえた。」

 「一本とられたな、雛もあっちの天音によろしく頼むぞ。」

   玄弥は雛の頭をポンと撫でるとそのままうっすらと透過しては消えて、光の粒子が空へと舞い上がる。
   誰にも知られることのない未来の七曜神の笑い声は、玄弥の頭の中にかすかに響いた。














二代目の日曜神の雛はあまり両親を色濃く継いでない?
でも、やっぱりどこか似てるんです……家族ですから。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

月弥総合病院

僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...