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フリューゲルの森編
竜山脈
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エイブレイル神聖国首都を出発した俺達は、巨大化したフィズの背に乗り、北にあるフリューゲルの森を目指して移動していた。
通常の手段で首都からフリューゲルの森へと向かう場合、森林地帯、草原地帯、沼地地帯の順で越えていく必要がある。
これと言って危険な魔物が居るわけではないが、沼地地帯からは整えられた道がなくなってしまうため、馬車での移動が困難となる。ゲーム時代だったら沼地も馬車でガンガン進めたんだけどな。
さすがに現実じゃ厳しいだろう。
フィズがいて、これほどありがたいことはないだろうな。
『強者に乗られてると思うと、なんかこう・・・ゾクゾクしますね・・・!』
そんな力強く言われてもなぁ。
彼女の言葉を無視して、下を見下ろす。
「あ、フィズ。ここら辺りで下りてくれ」
『わかりました!』
沼地地帯を抜けてしばらく進んだところで地上へと下りてもらった。
沼地を抜けた先は、再び草原となっており拓けている。そして、何よりも目を引くのはその奥にそびえ立つ連なった山。山脈である
上の方は雪が降っているのか、白くなっていた。
この草原と山脈の構図はとても美しい。
気が付いたらスクショしていた。
いや、マジでこの構図すげぇよ。製作陣に感謝だな。
「スッゴい景色だねー! スクショした?」
「もちろんだ。これを撮らないのは景色に失礼だろうが」
「そうかなー?」
くっ! わからないのか!? この景色の素晴らしさがっ・・・!
「というか、竜山脈なんて久々にみたなー」
カプリスは俺から視線を山脈に向け、背を伸ばしながら呟く。
「竜山脈ですか?」
「うん! あの山脈はねー───」
竜山脈。眼前にある山脈のことだ。
名前の通り竜種が住む山脈で、上へ行くほどレベルが上昇していくので、中々に美味しい狩り場だった。
確か、麓から中腹までが500~2000で、中腹から2001~4000、頂上付近が4001から6500だったかな? で、この山脈の中で一番高い山には7000の龍が住んでいる。しかも、称号付きの魔物だから通常のよりもパターンが違ったりするので、割りと楽しかった思い出がある。
「龍に会いに行くか」
「あの龍カッコいいから賛成!」
「カッコいいのですか?」
「うん! なかなか渋いよ!」
『レベル7000の魔物か。歯応えがありそうだ』
『会うのが楽しみですね』
どうやら、全員賛成のようなので会いに行くことになった。
フリューゲルの森? 大丈夫。この山脈を越えればすぐだから、龍に会うくらいの時間はあるさ。
「とりあえず、頂上付近までフィズに頼もうか」
『お任せください!』
巨大化したままのフィズの背に乗り込み、頂上付近を目指す。
もちろん、その間も後ろに流れていく下の景色をスクショする。雲の下を飛んでくれているフィズに感謝だな。
「マスターって地球でも景色の写真撮ってたの?」
「んや、地球にいた頃はただの会社員だったからな。金がなくて写真なんか撮りに行けてないんだ。だから、今は楽しいね。ゲームの世界をこの目で見て、撮れるんだからさ」
「そっか。マスターが楽しいならいいや。たまにはうちの写真撮ってもいいぞー!」
「たまにどころか結構撮ってるけどな」
「んな!? 盗撮だ! 金をだせぇい!」
「あとでなんか奢ってやるよ」
「やったぜ!」
そんな感じで談笑をしていたら、フィズが降下していくのを感じ取れた。
下を見ると、どうやら冒険者が竜種に襲われているようだ。
『主』
それを伝えようとフィズが俺を呼ぶ。
「わかってる。カプリス、頼めるか?」
「ういういー」
シュバッとフィズの背中から飛び降りたカプリスは、一体のワイバーンの背に、落下の衝撃に合わせてダガーを突き刺す。
一発で絶命したワイバーンと共に地面へと降り立ったカプリス。ワイヤーを巧みに使い、複数いるワイバーンを次々狩っていく。
攻撃もされてはいるものの、ワイヤーでの立体起動により危なげもなく避けている。
なんか、ゲーム時代よりも強く見えるな。
おそらく、彼女自体の身体能力や戦闘センスが良いんだろうな。
羨ましいぜ。
─────────────────────
お読みいただきありがとうございます!
感想等、いつでもお待ちしておりますのでお気軽によりどうぞー!
通常の手段で首都からフリューゲルの森へと向かう場合、森林地帯、草原地帯、沼地地帯の順で越えていく必要がある。
これと言って危険な魔物が居るわけではないが、沼地地帯からは整えられた道がなくなってしまうため、馬車での移動が困難となる。ゲーム時代だったら沼地も馬車でガンガン進めたんだけどな。
さすがに現実じゃ厳しいだろう。
フィズがいて、これほどありがたいことはないだろうな。
『強者に乗られてると思うと、なんかこう・・・ゾクゾクしますね・・・!』
そんな力強く言われてもなぁ。
彼女の言葉を無視して、下を見下ろす。
「あ、フィズ。ここら辺りで下りてくれ」
『わかりました!』
沼地地帯を抜けてしばらく進んだところで地上へと下りてもらった。
沼地を抜けた先は、再び草原となっており拓けている。そして、何よりも目を引くのはその奥にそびえ立つ連なった山。山脈である
上の方は雪が降っているのか、白くなっていた。
この草原と山脈の構図はとても美しい。
気が付いたらスクショしていた。
いや、マジでこの構図すげぇよ。製作陣に感謝だな。
「スッゴい景色だねー! スクショした?」
「もちろんだ。これを撮らないのは景色に失礼だろうが」
「そうかなー?」
くっ! わからないのか!? この景色の素晴らしさがっ・・・!
「というか、竜山脈なんて久々にみたなー」
カプリスは俺から視線を山脈に向け、背を伸ばしながら呟く。
「竜山脈ですか?」
「うん! あの山脈はねー───」
竜山脈。眼前にある山脈のことだ。
名前の通り竜種が住む山脈で、上へ行くほどレベルが上昇していくので、中々に美味しい狩り場だった。
確か、麓から中腹までが500~2000で、中腹から2001~4000、頂上付近が4001から6500だったかな? で、この山脈の中で一番高い山には7000の龍が住んでいる。しかも、称号付きの魔物だから通常のよりもパターンが違ったりするので、割りと楽しかった思い出がある。
「龍に会いに行くか」
「あの龍カッコいいから賛成!」
「カッコいいのですか?」
「うん! なかなか渋いよ!」
『レベル7000の魔物か。歯応えがありそうだ』
『会うのが楽しみですね』
どうやら、全員賛成のようなので会いに行くことになった。
フリューゲルの森? 大丈夫。この山脈を越えればすぐだから、龍に会うくらいの時間はあるさ。
「とりあえず、頂上付近までフィズに頼もうか」
『お任せください!』
巨大化したままのフィズの背に乗り込み、頂上付近を目指す。
もちろん、その間も後ろに流れていく下の景色をスクショする。雲の下を飛んでくれているフィズに感謝だな。
「マスターって地球でも景色の写真撮ってたの?」
「んや、地球にいた頃はただの会社員だったからな。金がなくて写真なんか撮りに行けてないんだ。だから、今は楽しいね。ゲームの世界をこの目で見て、撮れるんだからさ」
「そっか。マスターが楽しいならいいや。たまにはうちの写真撮ってもいいぞー!」
「たまにどころか結構撮ってるけどな」
「んな!? 盗撮だ! 金をだせぇい!」
「あとでなんか奢ってやるよ」
「やったぜ!」
そんな感じで談笑をしていたら、フィズが降下していくのを感じ取れた。
下を見ると、どうやら冒険者が竜種に襲われているようだ。
『主』
それを伝えようとフィズが俺を呼ぶ。
「わかってる。カプリス、頼めるか?」
「ういういー」
シュバッとフィズの背中から飛び降りたカプリスは、一体のワイバーンの背に、落下の衝撃に合わせてダガーを突き刺す。
一発で絶命したワイバーンと共に地面へと降り立ったカプリス。ワイヤーを巧みに使い、複数いるワイバーンを次々狩っていく。
攻撃もされてはいるものの、ワイヤーでの立体起動により危なげもなく避けている。
なんか、ゲーム時代よりも強く見えるな。
おそらく、彼女自体の身体能力や戦闘センスが良いんだろうな。
羨ましいぜ。
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