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吾輩は魔王である。名前は「カァーーット」
「なんだなんだスケルトンよ何故吾輩の邪魔をする」
「前回そこから入って永遠とグダグダになったの忘れたのですか?」
「・・・・・・ま、まぁ良い。スケルトンよ、今日の予定を教えてくれ」
「かしこまりました。本日は朝から稲の豊作祈願の祈祷があります。そして、昼過ぎごろより勇者一行が到着する予定です。夜からは湯治として魔界の秘湯、悲篠温泉に一泊します」
「昼の予定だけ殺伐としてるなぁ」
「文句言わないでください。それが魔王であるあなたが望んだ事でしょう?」
「そうだけどさぁ、たまに思うんだよね、楽できないかなって・・・。はぁ」
ー魔界、農林地帯ー
魔界には太陽が差さない。そのせいで、ゴブリン達が育てる野菜や穀物は育ちにくい。そこで祈祷である。魔王の祈祷により、太陽の力を必要としないまでの強くて美味い野菜に育つ事が可能である。
「いや~魔王様、いつもすみません。これ、最高級の茶葉から取れたお茶です。良かったらどうぞ」
「おお、いいのか?決して安くはないだろうに。ま、お金の概念はないんだけどね」
「良いんです。祈祷には莫大な魔力を使います。魔王様の存在が我々にとってどれだけ大切か・・・」
「ふむ、ではいただくとしよう」
コップを手に取ると、飲まなくても分かるほど茶葉の香りが辺りを包む。魔王はそれを一口飲み、ホッと一息つく。
「吾輩は長くこの世を生きているがこの茶より美味い茶を見たことがない」
「お褒めに預かり光栄です」
「・・・・・・」
「ん?どうしたスケルトンよ。吾輩の顔に何か付いてるのか?」
「いえ、こうして見るとただの善良な王様みたいだと思いまして。魔王ならもっとこう、魔王軍編成して人界に攻め入るぞー!とかそんな感じかなと」
「・・・え、何その悪役設定。吾輩が魔王やってるから人界は戦争なく栄えてきたんじゃん。そんな奴が悪者なわけないだろ」
「まぁそれもそうですが」
農林地帯の面積はおよそ500万ヘクタール。つまり、50000㎢である。この広々とした土地に魔力を供給するには、莫大な魔力を必要とする。考えただけで魔王はため息をついた。
「・・・さて、やるか」
重い腰を上げ瞳を閉じて立ち尽くす。暫くの時間が流れ、魔王はゆっくりと踊り始める。静かに、けれども猛々しく。魔王の祈祷は2時間に及び、その間ずっと地面に魔力を供給している。
「よし、これで今回も豊作だろう」
「ありがたや、魔王様。これで人里に降りて人を喰うことなく過ごせます」
「ああ、人は食べてはいけない。その約束だけは守ってくれよ」
「はい、命に変えても守らせていただきます」
「それじゃ、吾輩は城に帰るぞ」
魔王の魔力はもはや風前の灯である。これから勇者一行との死闘があるのに魔力切れなど話にならない。急ぎ魔王城で休息するべく早足で城に戻る。
ー魔王城ー
「ふぅ、スケルトンよ、あとどれくらいで勇者一行は来るのだ?」
「今、魔王城1階で宝箱を漁っているのであと小一時間といったところですかね」
「・・・・ふと思ったんだけどさ、人の敷地入っといてあまつさえ宝箱の中身奪うってどうなの?」
「仕方ありません。それが勇者です」
「あいつら吾輩よりよっぽど魔王だよ。まぁいい。それより、勇者一行の情報が欲しい。」
「かしこまりました。勇者一行は3人編成です。1人目は勇者アレンレベル45(♂)もう1人は賢者ユリアレベル42(♀)そしてモンクのカレンレベル48(♀)。世界番号08で、魔導と武道の世界です。勇者アレンは転移者で神の恩恵、"光拳“の使い手です。光拳は拳に魔力を込めることで光線を出し詠唱なしで遠距離攻撃が出来る技です。あとは、攻撃、支援ができる賢者と無影流免許皆伝のモンク。どの方も強者です」
「ナンバー08か、なら見た目は破壊僧でいいな」
そう言うと、魔王の体がみるみる光だし、あっという間に筋肉隆々の中年男に早変わりした。
「お見事です」
スケルトンはパチパチと手を叩き、骨を鳴らす。骨ということもあり、あまり大きな音は出ないようだ。
「やめいやめい、照れるであろう」
「声もしっかり変わってるみたいですね」
「うむ、設定はたしか、国に追われたモンクが国に復讐しようと企てるだったよな?」
「はい、魔族に魂を売り破壊僧になった哀れなモンクです。何段階変化しますか?」
「2が妥当だろうモンクの姿で戦って、最後は魔族に乗っ取られているような姿で最終決戦。どうだ?熱い展開だろう?」
「熱いかどうかはさておき、いい筋書きではないですか?昨今は3回戦まで戦うラスボスは邪道と言われてますし」
「・・・なんの話だ?」
そんなこんなで、勇者一行は魔王が鎮座する間の扉を開くのだった。
吾輩は魔王である。名前は「カァーーット」
「なんだなんだスケルトンよ何故吾輩の邪魔をする」
「前回そこから入って永遠とグダグダになったの忘れたのですか?」
「・・・・・・ま、まぁ良い。スケルトンよ、今日の予定を教えてくれ」
「かしこまりました。本日は朝から稲の豊作祈願の祈祷があります。そして、昼過ぎごろより勇者一行が到着する予定です。夜からは湯治として魔界の秘湯、悲篠温泉に一泊します」
「昼の予定だけ殺伐としてるなぁ」
「文句言わないでください。それが魔王であるあなたが望んだ事でしょう?」
「そうだけどさぁ、たまに思うんだよね、楽できないかなって・・・。はぁ」
ー魔界、農林地帯ー
魔界には太陽が差さない。そのせいで、ゴブリン達が育てる野菜や穀物は育ちにくい。そこで祈祷である。魔王の祈祷により、太陽の力を必要としないまでの強くて美味い野菜に育つ事が可能である。
「いや~魔王様、いつもすみません。これ、最高級の茶葉から取れたお茶です。良かったらどうぞ」
「おお、いいのか?決して安くはないだろうに。ま、お金の概念はないんだけどね」
「良いんです。祈祷には莫大な魔力を使います。魔王様の存在が我々にとってどれだけ大切か・・・」
「ふむ、ではいただくとしよう」
コップを手に取ると、飲まなくても分かるほど茶葉の香りが辺りを包む。魔王はそれを一口飲み、ホッと一息つく。
「吾輩は長くこの世を生きているがこの茶より美味い茶を見たことがない」
「お褒めに預かり光栄です」
「・・・・・・」
「ん?どうしたスケルトンよ。吾輩の顔に何か付いてるのか?」
「いえ、こうして見るとただの善良な王様みたいだと思いまして。魔王ならもっとこう、魔王軍編成して人界に攻め入るぞー!とかそんな感じかなと」
「・・・え、何その悪役設定。吾輩が魔王やってるから人界は戦争なく栄えてきたんじゃん。そんな奴が悪者なわけないだろ」
「まぁそれもそうですが」
農林地帯の面積はおよそ500万ヘクタール。つまり、50000㎢である。この広々とした土地に魔力を供給するには、莫大な魔力を必要とする。考えただけで魔王はため息をついた。
「・・・さて、やるか」
重い腰を上げ瞳を閉じて立ち尽くす。暫くの時間が流れ、魔王はゆっくりと踊り始める。静かに、けれども猛々しく。魔王の祈祷は2時間に及び、その間ずっと地面に魔力を供給している。
「よし、これで今回も豊作だろう」
「ありがたや、魔王様。これで人里に降りて人を喰うことなく過ごせます」
「ああ、人は食べてはいけない。その約束だけは守ってくれよ」
「はい、命に変えても守らせていただきます」
「それじゃ、吾輩は城に帰るぞ」
魔王の魔力はもはや風前の灯である。これから勇者一行との死闘があるのに魔力切れなど話にならない。急ぎ魔王城で休息するべく早足で城に戻る。
ー魔王城ー
「ふぅ、スケルトンよ、あとどれくらいで勇者一行は来るのだ?」
「今、魔王城1階で宝箱を漁っているのであと小一時間といったところですかね」
「・・・・ふと思ったんだけどさ、人の敷地入っといてあまつさえ宝箱の中身奪うってどうなの?」
「仕方ありません。それが勇者です」
「あいつら吾輩よりよっぽど魔王だよ。まぁいい。それより、勇者一行の情報が欲しい。」
「かしこまりました。勇者一行は3人編成です。1人目は勇者アレンレベル45(♂)もう1人は賢者ユリアレベル42(♀)そしてモンクのカレンレベル48(♀)。世界番号08で、魔導と武道の世界です。勇者アレンは転移者で神の恩恵、"光拳“の使い手です。光拳は拳に魔力を込めることで光線を出し詠唱なしで遠距離攻撃が出来る技です。あとは、攻撃、支援ができる賢者と無影流免許皆伝のモンク。どの方も強者です」
「ナンバー08か、なら見た目は破壊僧でいいな」
そう言うと、魔王の体がみるみる光だし、あっという間に筋肉隆々の中年男に早変わりした。
「お見事です」
スケルトンはパチパチと手を叩き、骨を鳴らす。骨ということもあり、あまり大きな音は出ないようだ。
「やめいやめい、照れるであろう」
「声もしっかり変わってるみたいですね」
「うむ、設定はたしか、国に追われたモンクが国に復讐しようと企てるだったよな?」
「はい、魔族に魂を売り破壊僧になった哀れなモンクです。何段階変化しますか?」
「2が妥当だろうモンクの姿で戦って、最後は魔族に乗っ取られているような姿で最終決戦。どうだ?熱い展開だろう?」
「熱いかどうかはさておき、いい筋書きではないですか?昨今は3回戦まで戦うラスボスは邪道と言われてますし」
「・・・なんの話だ?」
そんなこんなで、勇者一行は魔王が鎮座する間の扉を開くのだった。
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