吾輩は魔王である

鬼武蔵

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ーーーーーAnother カレンーーーーー

目を覚ませば見慣れた天井がある。家に住んでいる人からするとそれは当たり前のことだった。それは、自宅を持っているカレンにも当てはまった。なのに、目を覚ましたカレンはどこか腑におちなかった。何故か、それは本人が1番知りたかった。こんなにも胸がざわつくのは何故か。

「変な夢でも見てたのかな?」

気分を変えようと、窓を開け景色を見る。そこにあるのはもちろん見慣れた景色、農場のおじさんやこの町で有名なイケメンのたらし男、町長さん、野菜屋のおばちゃん、行き交う人々ももちろん知っている。疑問に思うところは多いが考えすぎないのがカレンのモットーである。朝食を食べ終わる頃にはすっかり忘れていた。

ー村はずれの森ー

朝食後、運動がてら森を散策していると冒険者とスライムが戦闘していた。敵はスライムという事もあり、冒険者に一方的に殴られ続けていた。

「・・ちょっと!アンタ達!」

「・・・‼︎な、なんだよ。カレンか、びっくりさせるなよ」

「スライムも痛がってるでしょ!その辺にしときなさいよ!」

「・・・・・?あっははははははっ!何言ってんだお前?魔物は討伐されて当然だろ?」

至極当然、カレン自身もスライムを守った理由が分からないのだ。しかし、この冒険者の行いは酷く身勝手に思えた。

「どうしても続けるなら、私の無影流が相手になるわそっちの方が経験値稼ぎにはなるでしょ?」

「は?冗談じゃねえ!まぁスライム狩りも飽きてきたしそろそろ帰るかぁ」

冒険者の男はカレンを背に向け村へと帰っていった。

「・・・アンタ達、大丈夫?」

「スラスラッ!」

言葉は通じずとも、元気があるのは分かった。ならば、とカレンは振り向き森の散策を続ける。

「・・・なーんで、アタシ、魔物を助けちゃってんだろ」

自問自答、自分でも答えを導き出すことは出来なかった、何か大切な約束があった気がした。
考え込んでいるうち、森の中心、御神木の前まで来ていた。

「・・・この木でいいか」

すぅぅっと体内に空気を溜め、勢いをつけて

ズドォォン‼︎

頭突きした。

「忘れちゃいけない‼︎そのはずなんだ‼︎」

頭ではない、胸の奥に引っかかるものがある。きっととても大事な事。その行為は奇行かもしれない。でも、どうしても思い出したかった。

ズドォォン‼︎

「約束したんだ‼︎思い出せ‼︎」

額に血が滲む。それでもやめない。やめちゃいけない。そんな想いだけがカレンを突き動かす。

ズドォォン‼︎

ズドォォン‼︎

ズドォォン‼︎

・・・・・・・・・数時間後。

「はぁ・・はぁ・・・はぁ」

「・・・・・・・・・・バカ魔王」
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