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06
吾輩は魔王である。名前はまだない。
どこで生まれ、育ち、誰が親なのか、とんと見当もつかぬ。
「・・・・魔王様、一々この始まりでは皆様飽きてしまいますよ?」
「飽きっ!そ、そんなはずないだろう!吾輩の魅力はすでに拝読している者ならば周知のはずだ!」
「いやいや、その自信過剰っぷりには流石の私も鳥肌モンですわ。いや、肌ないですけど」
咳払いを1つして、無理やり話題を切り替える魔王。
「さて、スケルトンよ今日の予定を教えてくれ」
「はい、本日はレイド戦となっております」
「と、言うことは世界ナンバー04か・・・」
「ですね、人数は52人で参加者の中には5名の神級スキルホルダーがいます。
『エレメンタルマジック』所有者 カシュー 『テレポート』所有者 帝 霊山 『影縫』所有者 ヨミア。
『加速』所有者 速見 リョウ。そして、『寵愛』所有者 セイラン。
そのほかにも中級、上級の治癒魔法、支援魔法、攻撃魔法を扱える魔導師が合計15名、屈強な戦士達が残りのメンバーです」
「・・・寵愛・・・・・。そうか、これでもう何度目か・・・・・・・・・」
「・・魔王様?」
「あ、あぁすまん。そうかレイド戦なら巨大なボスを演出しないとな。・・・あれ、04の世界ではどんな魔王像だっけ?」
「はぁ・・・しっかりしてください。世界ナンバー04の魔王像は人型で、巨龍に変身すると言われています」
「ふむ・・ならば、魔王城はこれより一時的に刻限の塔に姿を変える。レイドタイムアタックだ!」
手を振りかざすと、ゴゴゴと地面が揺れ、魔王城の壁が形を変え、ゆっくりと動く壁は、次第に円柱状の塔へと姿形を変化させていった。およそ100mにも及ぶその塔は禍々しさを放っていた。
「1階はゴーレム、2階はサラマンダー、3階はダークエルフ、4階はオーク、5階は私が行こう。階層の途中には、私が魔導兵や土塊兵を作って応戦させよう。各階100もいればいいかな。よし、みんなに召集をかけてくれ。」
「仰せのままに・・」
ー魔王城兼刻限の塔F5ー
「みんな、今日は来てくれてありがとう。心から礼を言うよ」
頭を垂れてつくばう魔王傘下のゴーレム、サラマンダー、ダークエルフ、オークを労い寛ぐよう命じた。
「とんでもございません、魔王様。私共はあなたの駒。いくらでもお申し付けください」
「我もオークの長として、魔王様のお役に立てること、一族の誇りであります」
「・・・・・・」
「ゴーレムは、僕もお呼ばれされて嬉しい、と申しております」
「通訳ありがとうサラマンダー。さて、今回君たちを呼んだのは他でもない、これから世界ナンバー04の人達がこの城を攻めてくるんだ」
それを聞いて怒りを露わにしたのはダークエルフとオークだった。
「・・・脆弱な人間の分際で‼︎」
「我も、同意見だ。魔王様、何故人を殺してはならないのですか!人の命など虫けらも同然!我1人向かえば直ぐにでもナンバーワールドを消す事ができます!」
オークが言ったその瞬間、魔王は刻限の塔を包むほどの殺気を放つ。
「皆さん、ここは魔王様の御前ですよ?」
魔王の横にいる従者のスケルトンは淡々と話している。殺気を真横で受けているのに効果はないようだ。
直に殺気を受けたオークは息が詰まり呼吸もままならない。魔王が殺気を消してオークの肩にポンと手を置く。
「すまない、吾輩も歳を取りすぎた。殺気を放つつもりは無かったんだ」
「・・・・い、いえ、出過ぎた真似を」
「君の誠意も忠誠心も吾輩は感謝しているし、信頼している。・・・吾輩も君たちに習って誠意を見せないとな」
そう言って、魔王は膝をつき、両手も地面につける。そして・・頭を垂れる。
「不平不満があるのは重々承知の上でのお願いだ。頼む、人間を殺さないでくれ」
一同唖然とした。全魔族が相手にしても勝つことはできないであろう唯一王。その王が頭を地面につけてお願いしているのだ。その光景は異様でしかなかった。
「あ、頭をお上げください魔王様‼︎」
「そうです‼︎我々のような者に頭を下げるなど、必要ありません‼︎」
尚も土下座を続けながら話す魔王。
「俺は、この世界が好きだ、そしてそれはナンバーワールドも同じ事。あの子らを誰1人とて殺したいとは思わない。すまない、君達にとっては俺の私情でしかない。だが、頼む。どうか、俺の願いを聞き入れてくれ!」
「・・・・・お顔を上げてください魔王様。元来、王とは民の道標となる者」
「王の道こそ、我らの道であります。その道に反する者などどこにいましょう。」
「・・・・・・・・・」
「あなたの道は我らの道です。と、申しております」
「お前達、ありがとう。誓うよ、俺は人間の味方だが、一番に想っているのはこの魔界に生きとし生ける者全てだ」
「「「ありがたきお言葉」」」
その言葉を聞いて、早足で持ち場に向かう魔族達。その時の表情は歓喜の笑みだった。
「はぁ、魔王様。何故あんなにも殺気を放ったんですか?恐怖での支配は嫌がってたじゃないですか」
「・・・・言った通りだ。吾輩は歳を取りすぎた。」
スケルトンは、魔王のその眼から生気が薄れていくのを感じた気がした。その時はまだ、知る由もなかった・・・・。魔王の最後が刻一刻と迫っていることに。
吾輩は魔王である。名前はまだない。
どこで生まれ、育ち、誰が親なのか、とんと見当もつかぬ。
「・・・・魔王様、一々この始まりでは皆様飽きてしまいますよ?」
「飽きっ!そ、そんなはずないだろう!吾輩の魅力はすでに拝読している者ならば周知のはずだ!」
「いやいや、その自信過剰っぷりには流石の私も鳥肌モンですわ。いや、肌ないですけど」
咳払いを1つして、無理やり話題を切り替える魔王。
「さて、スケルトンよ今日の予定を教えてくれ」
「はい、本日はレイド戦となっております」
「と、言うことは世界ナンバー04か・・・」
「ですね、人数は52人で参加者の中には5名の神級スキルホルダーがいます。
『エレメンタルマジック』所有者 カシュー 『テレポート』所有者 帝 霊山 『影縫』所有者 ヨミア。
『加速』所有者 速見 リョウ。そして、『寵愛』所有者 セイラン。
そのほかにも中級、上級の治癒魔法、支援魔法、攻撃魔法を扱える魔導師が合計15名、屈強な戦士達が残りのメンバーです」
「・・・寵愛・・・・・。そうか、これでもう何度目か・・・・・・・・・」
「・・魔王様?」
「あ、あぁすまん。そうかレイド戦なら巨大なボスを演出しないとな。・・・あれ、04の世界ではどんな魔王像だっけ?」
「はぁ・・・しっかりしてください。世界ナンバー04の魔王像は人型で、巨龍に変身すると言われています」
「ふむ・・ならば、魔王城はこれより一時的に刻限の塔に姿を変える。レイドタイムアタックだ!」
手を振りかざすと、ゴゴゴと地面が揺れ、魔王城の壁が形を変え、ゆっくりと動く壁は、次第に円柱状の塔へと姿形を変化させていった。およそ100mにも及ぶその塔は禍々しさを放っていた。
「1階はゴーレム、2階はサラマンダー、3階はダークエルフ、4階はオーク、5階は私が行こう。階層の途中には、私が魔導兵や土塊兵を作って応戦させよう。各階100もいればいいかな。よし、みんなに召集をかけてくれ。」
「仰せのままに・・」
ー魔王城兼刻限の塔F5ー
「みんな、今日は来てくれてありがとう。心から礼を言うよ」
頭を垂れてつくばう魔王傘下のゴーレム、サラマンダー、ダークエルフ、オークを労い寛ぐよう命じた。
「とんでもございません、魔王様。私共はあなたの駒。いくらでもお申し付けください」
「我もオークの長として、魔王様のお役に立てること、一族の誇りであります」
「・・・・・・」
「ゴーレムは、僕もお呼ばれされて嬉しい、と申しております」
「通訳ありがとうサラマンダー。さて、今回君たちを呼んだのは他でもない、これから世界ナンバー04の人達がこの城を攻めてくるんだ」
それを聞いて怒りを露わにしたのはダークエルフとオークだった。
「・・・脆弱な人間の分際で‼︎」
「我も、同意見だ。魔王様、何故人を殺してはならないのですか!人の命など虫けらも同然!我1人向かえば直ぐにでもナンバーワールドを消す事ができます!」
オークが言ったその瞬間、魔王は刻限の塔を包むほどの殺気を放つ。
「皆さん、ここは魔王様の御前ですよ?」
魔王の横にいる従者のスケルトンは淡々と話している。殺気を真横で受けているのに効果はないようだ。
直に殺気を受けたオークは息が詰まり呼吸もままならない。魔王が殺気を消してオークの肩にポンと手を置く。
「すまない、吾輩も歳を取りすぎた。殺気を放つつもりは無かったんだ」
「・・・・い、いえ、出過ぎた真似を」
「君の誠意も忠誠心も吾輩は感謝しているし、信頼している。・・・吾輩も君たちに習って誠意を見せないとな」
そう言って、魔王は膝をつき、両手も地面につける。そして・・頭を垂れる。
「不平不満があるのは重々承知の上でのお願いだ。頼む、人間を殺さないでくれ」
一同唖然とした。全魔族が相手にしても勝つことはできないであろう唯一王。その王が頭を地面につけてお願いしているのだ。その光景は異様でしかなかった。
「あ、頭をお上げください魔王様‼︎」
「そうです‼︎我々のような者に頭を下げるなど、必要ありません‼︎」
尚も土下座を続けながら話す魔王。
「俺は、この世界が好きだ、そしてそれはナンバーワールドも同じ事。あの子らを誰1人とて殺したいとは思わない。すまない、君達にとっては俺の私情でしかない。だが、頼む。どうか、俺の願いを聞き入れてくれ!」
「・・・・・お顔を上げてください魔王様。元来、王とは民の道標となる者」
「王の道こそ、我らの道であります。その道に反する者などどこにいましょう。」
「・・・・・・・・・」
「あなたの道は我らの道です。と、申しております」
「お前達、ありがとう。誓うよ、俺は人間の味方だが、一番に想っているのはこの魔界に生きとし生ける者全てだ」
「「「ありがたきお言葉」」」
その言葉を聞いて、早足で持ち場に向かう魔族達。その時の表情は歓喜の笑みだった。
「はぁ、魔王様。何故あんなにも殺気を放ったんですか?恐怖での支配は嫌がってたじゃないですか」
「・・・・言った通りだ。吾輩は歳を取りすぎた。」
スケルトンは、魔王のその眼から生気が薄れていくのを感じた気がした。その時はまだ、知る由もなかった・・・・。魔王の最後が刻一刻と迫っていることに。
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