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・・・・・・・数時間後。
2人が気づいたのは試合が終わり、表彰式の最中だった。救護室に寝かされた2人は、優勝者を称える声と惜しみない声援だけが聞こえてくる。
「あーあ、優勝賞金欲しかったなぁ」
「仕方ないでしょう、スキル頼りのあなたの脆弱な耐久力で、私の蹴りを何発も受けたのだから」
セイランは呆れた様子で天井を眺める。
「・・・なぁ、俺あいつに勝てたと思うか?」
「どうでしょう。私との相性はあまり良くありませんが」
「・・・神の恩恵、テレポートねぇ」
表彰式が終わり、観客のガヤガヤとした音は次第に聞こえなくなっていた。辺りが静まり返った頃、救護室にノック音が聴こえ、入ってきた男2人組。そのうち1人は赤髪の少年、もう1人は白髪の頭に冠を乗せた中年くらいの男。セイランとリョウは一目でわかった。
「王様と、夜烏のリーダー、帝 霊山!」
「なぜあなた方がここへ?」
「ふむ、まずは何から話をしようか」
「陛下、ここは私に説明させてください」
「うむ、頼む」
「まず、今大会の趣旨から説明する。表向きには、極限まで武を高め合う祭事、という事になっている」
一呼吸置き、一瞬躊躇うかのような仕草を見せた後話し続ける。
「本来の目的は、来たるべき時の戦力強化だ」
「来たるべき時って・・?」
「・・・魔王の復活」
「「・・・!!」」
その言葉を聞いた途端、2人の顔は青ざめた。魔王とは、魔界の王の呼称である。2人は魔王の恐ろしさを知っている。故郷の麓の山を噴火させ、街を焼き尽くした。話によれば、津波で都市を壊滅寸前まで追い込んだらしい。2人にとって、魔王とは恐怖の象徴なのである
「それを俺たちに話すってことは・・・そういう事なんだろ?」
「あぁ、お前達を俺のギルド夜烏のメンバーに勧誘しにきた」
「お断りします。私では力不足ですので」
「右に同じく、魔王なんてやり合うだけ命の無駄だ」
帝の誘いに2人とも首を縦には振らなかった。当然である。魔界に行く即ち死を意味するのだから。
「まぁ、簡単に首を縦に振るとは思わなかったよ」
帝は指を鳴らすと、2人を真っ白な空間にテレポートさせた。
「・・・なっ‼︎」
「君たちの言い分は分かった、自分の意見をとおしたいなら俺を倒してみろ。それがこの世界の法だ」
「意識戻ったばっかの俺たちによくそんな事言えるな」
帝はポケットから緑色の液体が入った瓶を2人に投げやった。
「最高品質のポーションだ。これを使用すればすぐに全回復するだろう」
「へっ、どんだけ戦いたいんだよ。まぁいい、まずは俺から行くぜ」
「2人、で構わないよ」
「舐めやがって‼︎」
ポーションを一気飲みして投げ捨てると一気に大技の加速限界突破を発動する。動き出そうとしたまさにその時、リョウはぐったりと地面に倒れ伏した。何が起きたのか本人にすら認識させず、意識を奪い取った。
「俺の能力はテレポート。いろいろ制限はあるけど自分や他のものを移動させる能力を持っている」
「そんな!・・はぁぁぁ!!」
即座に戦闘態勢に入り帝との距離を詰めるセイラン。幾度とない怒涛の連撃を繰り出すも、そのすべてが空を切る。
「お前はスキルに頼らない地の力を持っている。だが、スキルと上手く噛み合わせなければ、それは本来の力とは言えない。頼れないと頼らないは違うぞ」
全ての攻撃を交わしながら説明する帝。その様はまるで、赤子の手をひねるような闘いだった。
「まぁ、地の力だけでも俺には勝てないがな」
高速で放たれる拳撃を抑え、膝でセイランを蹴り上げる。
「かはっ・・・」
そのまま意識を失い、2人は帝1人の力によって敗北した。
・・・・・・・数時間後。
2人が気づいたのは試合が終わり、表彰式の最中だった。救護室に寝かされた2人は、優勝者を称える声と惜しみない声援だけが聞こえてくる。
「あーあ、優勝賞金欲しかったなぁ」
「仕方ないでしょう、スキル頼りのあなたの脆弱な耐久力で、私の蹴りを何発も受けたのだから」
セイランは呆れた様子で天井を眺める。
「・・・なぁ、俺あいつに勝てたと思うか?」
「どうでしょう。私との相性はあまり良くありませんが」
「・・・神の恩恵、テレポートねぇ」
表彰式が終わり、観客のガヤガヤとした音は次第に聞こえなくなっていた。辺りが静まり返った頃、救護室にノック音が聴こえ、入ってきた男2人組。そのうち1人は赤髪の少年、もう1人は白髪の頭に冠を乗せた中年くらいの男。セイランとリョウは一目でわかった。
「王様と、夜烏のリーダー、帝 霊山!」
「なぜあなた方がここへ?」
「ふむ、まずは何から話をしようか」
「陛下、ここは私に説明させてください」
「うむ、頼む」
「まず、今大会の趣旨から説明する。表向きには、極限まで武を高め合う祭事、という事になっている」
一呼吸置き、一瞬躊躇うかのような仕草を見せた後話し続ける。
「本来の目的は、来たるべき時の戦力強化だ」
「来たるべき時って・・?」
「・・・魔王の復活」
「「・・・!!」」
その言葉を聞いた途端、2人の顔は青ざめた。魔王とは、魔界の王の呼称である。2人は魔王の恐ろしさを知っている。故郷の麓の山を噴火させ、街を焼き尽くした。話によれば、津波で都市を壊滅寸前まで追い込んだらしい。2人にとって、魔王とは恐怖の象徴なのである
「それを俺たちに話すってことは・・・そういう事なんだろ?」
「あぁ、お前達を俺のギルド夜烏のメンバーに勧誘しにきた」
「お断りします。私では力不足ですので」
「右に同じく、魔王なんてやり合うだけ命の無駄だ」
帝の誘いに2人とも首を縦には振らなかった。当然である。魔界に行く即ち死を意味するのだから。
「まぁ、簡単に首を縦に振るとは思わなかったよ」
帝は指を鳴らすと、2人を真っ白な空間にテレポートさせた。
「・・・なっ‼︎」
「君たちの言い分は分かった、自分の意見をとおしたいなら俺を倒してみろ。それがこの世界の法だ」
「意識戻ったばっかの俺たちによくそんな事言えるな」
帝はポケットから緑色の液体が入った瓶を2人に投げやった。
「最高品質のポーションだ。これを使用すればすぐに全回復するだろう」
「へっ、どんだけ戦いたいんだよ。まぁいい、まずは俺から行くぜ」
「2人、で構わないよ」
「舐めやがって‼︎」
ポーションを一気飲みして投げ捨てると一気に大技の加速限界突破を発動する。動き出そうとしたまさにその時、リョウはぐったりと地面に倒れ伏した。何が起きたのか本人にすら認識させず、意識を奪い取った。
「俺の能力はテレポート。いろいろ制限はあるけど自分や他のものを移動させる能力を持っている」
「そんな!・・はぁぁぁ!!」
即座に戦闘態勢に入り帝との距離を詰めるセイラン。幾度とない怒涛の連撃を繰り出すも、そのすべてが空を切る。
「お前はスキルに頼らない地の力を持っている。だが、スキルと上手く噛み合わせなければ、それは本来の力とは言えない。頼れないと頼らないは違うぞ」
全ての攻撃を交わしながら説明する帝。その様はまるで、赤子の手をひねるような闘いだった。
「まぁ、地の力だけでも俺には勝てないがな」
高速で放たれる拳撃を抑え、膝でセイランを蹴り上げる。
「かはっ・・・」
そのまま意識を失い、2人は帝1人の力によって敗北した。
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