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3皿目 マンドラゴラのポトフ
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再びエミリーの明るい声が響く。
「さあ、ブルースライムを倒してみましょう!」
剣を振るい、槍を突き刺し、矢を放ち、銃を撃ち、魔法を当てて初心者たちが思い思いにブルースライムを倒したところでエミリーがパチパチと拍手する。
「みなさん、大変お上手です! これで冒険者カードに自動的に功績ポイントが1ポイント付与されているはずですよ」
参加者たちが首から下げている冒険者カードを確認している。
魔物を倒したり、採集したり、素材を売ったりと、ガーデンでのあらゆる活動や滞在時間に応じて「功績ポイント」が加算されていく仕組みだ。
貯めたポイントは管理ギルドの交換窓口で装備や魔導書、魔道具に交換できる。
どれもポイント交換でしか入手できない限定品のため、冒険者たちの中には功績ポイントを意識しながら活動する者も少なくない。
人気商品は「レオナルドの装備」シリーズと『火球隕石弾』という広範囲殲滅魔法を習得できる魔導書だが、それには見向きもせずにひたすらポイントを貯め続けている冒険者もいる。彼らの狙いは「レオナルドの招待状」。
交換ポイントは1億ポイントと途方もないが、この招待状を入手すればガーデンの創始者であるレオナルド・ジュリアーニの住む塔へ招待してもらえるというプラチナチケットだ。
テオも自分のカードを持ち上げてポイントを確認している。
「なんで俺、1000ポイントしかないんだ?」
「ペナルティが多すぎてマイナスばっかりなのよ」
横からのぞいたリリアナが呆れた声で言う。
テオのことだから、功績ポイントなど全く気にせず暴れまわっていたに違いない。
ガーデンでトラブルを起こしたり規約に抵触するような違反行為をすると、自動的にポイントが減らされる仕組みになっているのだ。
「スライムをきれいに倒せた方は、スライムの皮を素材として売ることができますので、内容物を絞り出してマジックポーチに入れてくださいねー」
エミリーのその言葉に、初心者たちが悲喜こもごもの表情を浮かべて自分が倒したスライムを見つめる。
真っ二つにスパっと切った場合は内容物も切り口から自然とドロリと流れ出て処理も簡単だが、魔法で派手に爆散させてしまった場合は全てが散り散りに吹っ飛んでいるため素材としては使えない。
「これ、買い取ってもらえるでしょうか?」
「あらあ、どうかしら。一応、精算所に出してみましょうか」
弾丸で蜂の巣にしてしまった穴だらけのスライムの皮を涙目でエミリーに見せている者の後ろで、槍や弓矢でスライムを仕留めた初心者たちがおそるおそる、その致命傷を負わせた穴から内容物を絞り出している。
「一か所だけ穴を開けて仕留めるっていうのがスライムの正しい倒し方よ。皮が大きな状態で残るし、中身を鍋に絞り出せば食べられるから」
初心者たちの様子を眺めていたリリアナがテオに指南する。
「あの青いドロドロ美味いのか?」
「それがね」
ここで言葉を切って、リリアナがにっこり笑った。
「残念なことに、なんの味もしないの!」
以前は食べ物の味になど無関心だったテオだが、徐々に舌が肥えてきている。
ドロドロのスライムが無味であるという情報を聞いたテオは「うえーっ!」と唸ったのだった。
「さあ、ブルースライムを倒してみましょう!」
剣を振るい、槍を突き刺し、矢を放ち、銃を撃ち、魔法を当てて初心者たちが思い思いにブルースライムを倒したところでエミリーがパチパチと拍手する。
「みなさん、大変お上手です! これで冒険者カードに自動的に功績ポイントが1ポイント付与されているはずですよ」
参加者たちが首から下げている冒険者カードを確認している。
魔物を倒したり、採集したり、素材を売ったりと、ガーデンでのあらゆる活動や滞在時間に応じて「功績ポイント」が加算されていく仕組みだ。
貯めたポイントは管理ギルドの交換窓口で装備や魔導書、魔道具に交換できる。
どれもポイント交換でしか入手できない限定品のため、冒険者たちの中には功績ポイントを意識しながら活動する者も少なくない。
人気商品は「レオナルドの装備」シリーズと『火球隕石弾』という広範囲殲滅魔法を習得できる魔導書だが、それには見向きもせずにひたすらポイントを貯め続けている冒険者もいる。彼らの狙いは「レオナルドの招待状」。
交換ポイントは1億ポイントと途方もないが、この招待状を入手すればガーデンの創始者であるレオナルド・ジュリアーニの住む塔へ招待してもらえるというプラチナチケットだ。
テオも自分のカードを持ち上げてポイントを確認している。
「なんで俺、1000ポイントしかないんだ?」
「ペナルティが多すぎてマイナスばっかりなのよ」
横からのぞいたリリアナが呆れた声で言う。
テオのことだから、功績ポイントなど全く気にせず暴れまわっていたに違いない。
ガーデンでトラブルを起こしたり規約に抵触するような違反行為をすると、自動的にポイントが減らされる仕組みになっているのだ。
「スライムをきれいに倒せた方は、スライムの皮を素材として売ることができますので、内容物を絞り出してマジックポーチに入れてくださいねー」
エミリーのその言葉に、初心者たちが悲喜こもごもの表情を浮かべて自分が倒したスライムを見つめる。
真っ二つにスパっと切った場合は内容物も切り口から自然とドロリと流れ出て処理も簡単だが、魔法で派手に爆散させてしまった場合は全てが散り散りに吹っ飛んでいるため素材としては使えない。
「これ、買い取ってもらえるでしょうか?」
「あらあ、どうかしら。一応、精算所に出してみましょうか」
弾丸で蜂の巣にしてしまった穴だらけのスライムの皮を涙目でエミリーに見せている者の後ろで、槍や弓矢でスライムを仕留めた初心者たちがおそるおそる、その致命傷を負わせた穴から内容物を絞り出している。
「一か所だけ穴を開けて仕留めるっていうのがスライムの正しい倒し方よ。皮が大きな状態で残るし、中身を鍋に絞り出せば食べられるから」
初心者たちの様子を眺めていたリリアナがテオに指南する。
「あの青いドロドロ美味いのか?」
「それがね」
ここで言葉を切って、リリアナがにっこり笑った。
「残念なことに、なんの味もしないの!」
以前は食べ物の味になど無関心だったテオだが、徐々に舌が肥えてきている。
ドロドロのスライムが無味であるという情報を聞いたテオは「うえーっ!」と唸ったのだった。
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