女殺し油煙の地獄(二十五周年カップ参加作品のハードコア版)

中井春一郎

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第九章

続・魔界の生成AI ~壺中庵淫斎と謎の社長の密議~

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 「・・・・察するに先だって湯けむりの里で一献傾けたおりに社長が話しておった

性欲充足産業とやらのことか?」

 帝と血を同じくし、しかも男を知らない処女のはずの斎宮が身分の卑しい若武者と

清涼殿で道ならぬ恋に溺れていく秘伝絵巻『小柴垣草紙を』を丁寧に巻き戻していく

指先を見詰めたまま、壺中庵淫斎が社長に問いただす。

 「あの夜は酔いつぶれてしまい充分お話が出来ませんでしたので、改めて御老体の

御助力を賜りたいと参上した次第です」

 「うむ。今宵は酒は止め茶でも飲んで、じっくり耳を傾けた方が良さそうだな」

 書机に『小柴垣草紙』を収めると、掘り炬燵の置かれた居間に社長を招き入れる。


                     *     *    *     *


 窓の向こうでは、大東京の高層ビル群の灯りも既に半ばは消えていた。

 「・・・・して、性欲充足産業とやらは、どこまで進んでおる?」

 「SEXアンドロイドのプロトタイプは満足が出来るものまでようやく漕ぎつけ、

目指すアンドロイド楊貴妃やクレオパトラに取り掛かったところです」

 「それは目出度いことじゃな・・・・小生も楊貴妃やクレオパトラのオメコの味を

試してみたいものだが歳が歳だしな。叶わぬ夢だろうが・・・」

 「いえ、この事業を推進するためにスカウトした若者が天才的な奴でして。来年の

今ごろには、淫斎先生に試し乗りをしていただけることになるかも」

 「・・・実験台には喜んでなりたいところじゃが、それまでは小生の出る幕は無い

のと違うか?拙作『ミルク飲み人形』を読んで思うところがあるということだが」

 「獣姦です・・・・・」

 「はて?」

 「獣と女が交わる神話や昔話は世界中にありますが、我が日本のスーパーヒーロー

安倍晴明も白狐のお腹から生まれた子ですよ。異類婚姻譚は人間の心の闇に深く刻み

込まれていると言っていいでしょう」

 「いきなり話が飛ぶなあ・・・・ドーベルマン公爵夫人と愛犬の場面は小生も少々

気に入ってはおるが・・・・」

 「申し訳ない。今夜は気負い立っているもので・・・。湯けむりの里では中断して

しまった僕の『人間進化論』をまずは聞いてもらえます?」

 「話せ」

 「全ては直立歩行で始まりました」

 「うむ。二本足で立ってカラダの裏表が入れ替わり、特に女の場合はメスがオスを

誘うさいの目印の尻に似せて乳房を膨らませたということじゃな」

 「・・・メスが生殖活動に使う穴は一つだけですが、人間の女は膣穴だけではなく

顔の穴も使います。少数派ですが尻の穴も使わせる女もいます。人間の女は穴を三つ

持っている訳ですよ。生殖に役立つのは相変わらず膣の穴だけですが・・・・」

 「射精産業の従業員の中には指を使うだけではなくて、手のひらを柔らかく曲げて

男のアレを包み込み、上手に擦ってくれる女もいるからな。女には穴が四つもあると

いう方が正しい進化論かもしれないぞ」

 「そうです。男も女も巧みに指を使うのも、四つ足から二本足に変わったことで、

手指が自由に動かせるようになったからです」

 「大事なところを舌で上手に舐め回すことが出来るのも人間だけだしな・・・」

 「極め付けは女の唇です。股の付け根の唇に似せて、餌を食べるための顔の口まで

粘膜が捲れた唇に変形させ、おまけに真っ赤な口紅を塗りたくって発情状態のように

見せかけていますからね。女のパーツについては股にあるのを大陽唇・小陽唇として

顔にあるのはニセモノですから大陰唇とすべきです」

 「うむ。感染症が猖獗を極めた頃には顔の大陰唇をマスクで隠すようになったのに

近頃また顔の大陰唇を恥かしげもなくさらし、街を徘徊する若い娘が増えたのは実に

嘆かわしいと言っていた人物も確かにいたが・・・・」

 「全く。何十本も咥えたに違いない顔の大陰唇をさらけ出して、歌ったり踊ったり

しているアイドルグループの女の子たちを見ると空恐ろしくなりますよ。グループの

メンバーは48人というのが多いですけど、すると総計で千本は咥え込んだ大陰唇が

テレビの画面一杯に飛び跳ねている訳ですからね」

 「しかし、アイドルグループが千本は咥えているなどという常識論を言いたいため

来た訳ではないだろう?」

 「そうでした。人体進化論でした。ホモ・サピエンスがセックスアニマルとしては

万物の霊長であることは間違いがありませんが、それを進化と言えるのか僕は疑問に

思っている訳です。単に変化論とする方が正しいでしょうが人体退化論と極言しても

いいくらいです」

 「?????女の膣の穴の他に、顔の穴やら、尻の穴やら、手のひらやら、生殖の

役には全く立たない穴を使うようになったのは退化だと言うのか?」

 「性的マイノリティーは生産性が無いといって物議をかもした女代議士がいますが

女と女がやっても子供は生まれないのは厳然たる真実ですからね」

 「それはそうだが、それが獣姦とどう結び付く?」

 「ライオンはカモシカを襲って肉を喰いますが、メスのカモシカを襲い、その穴に

ぶち込んだオスのライオンも、ぶち込みたいと思っているのも一匹もいませんよ」

 「う~む。小生の『ミルク飲み人形』に登場するドーベルマン公爵夫人のように、

愛犬に入れさせて喜悦の叫びを上げる女などは、退化の象徴だという訳だ」

 「そこが難しいところでして・・・」

 「ん?」

 「これも退化と言っていいでしょうが、ホモ・サピエンスは直立歩行の結果として

重い頭蓋骨を支えること出来るようになり、大脳が異常発達してしまいました」

 「うむ」

 「子孫を残すということもさりながら、どうすれば気持ち良くなるかという妄想が

脳味噌に渦巻いている訳ですよ」

 「小生のような生殖の役には立たない爺さんでも、まだ女を犯りたいからな」

 「ホモ・サピエンスの悲しむべき宿命ですね」

 「笑福亭鶴瓶みたいな不細工な男に田舎の婆さんどもが群がって抱き付いたりする

のも、メンスがもうあがっているから犯っても大丈夫よ、犯ってということか?」

 「多分・・・・」

 「しかし、社長の哲学的考察に従えば人類の未来は暗いということになるが?」

 「無生殖SEXが増えれば増えるほど人口減少が加速しますからね」

 「しかし、そう考えれば社長の性欲充足産業とやらも何の役にも立たないどころか

人間が坂道を転がり落ちるのを助長することにもなりかねないぞ」

 「いや、僕は一発大逆転を狙っている訳です」

 「どういうことだ?」

 「白狐の腹から生まれた陰陽師の安倍晴明がスーパースターになるくらいですから、

獣姦が絶対悪とまでは言いませんが、人類を絶滅させる感染症を引き起こす可能性さえ

あるので控えた方がいいでしょう

 「まあ、そじゃな」

 「そこで生成AIの技術を駆使したSEXアンドロイドの登場となる訳です」

 「衛生的ではあるな・・・・」

 「いや、もっと積極的に考えるべきです。生身の男と女では到底不可能な歓喜の

高みに昇ることができます。遊びとしてのSEXを極める方が、下らない金儲けに

血道を上げるより、よほどまともな世の中になるでしょう」

 「そうかもしれんな。社長にだいぶ洗脳されてきたわい」

 「やれ、やれ、どうやら御助力をいただけそうですね。だいぶ夜も更けたので、

今夜のところはここまでにさせて下さい。相談の続きは改めて「ギャラクシー」で

今日子ママにも一枚かんでもらった方がいいですので・・・・・」

 「・・・・あの今日子の出番もあるということならキナ臭い匂いもしてくるが、

ひとまずは判った・・・・・」

 


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