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終章
女殺し油煙の地獄 ~連合艦隊とおいらん~
しおりを挟む♬ 入りくる 黒船 スッポン スッポン~
♬ 大砲(オオヅツ)小砲(コヅツ)を鳴らしたもんだい~
♬ 丸山 ぶうら、ぶら~
北条冴子主演・国際共同製作『嵐の幕末性交外交』のオープニングシーンはすでに
撮影が始まっていた。
ポルノとはいえ国際共同製作。
長崎のグラバー邸とその庭園で一大ロケーションが敢行されたのだ。
性交外交の舞台は幕末の長崎。
純日本美人だけではなく、オランダ商館員の落とし種、金髪で青い眼の姐さんや、
清国密貿易船で売り飛ばされてきた中国娘など、この地でしか手に入らない花魁で、
円山遊郭は江戸の吉原を遥かに凌ぐ賑わいを見せていた。
時あたかもイギリス・フランス・ロシア、そしてアメリカ軍が長州藩を砲撃する、
まさに前夜である。
英・仏・蘭・米、四か国連合艦隊の緊急入港でひときわ活況を呈していた。
いずれ劣らぬ美貌の遊女の群れが英・仏・蘭・米の将兵を迎え撃つ。
寄ってらっしゃい兄さん!
カムカム、エブリバディ!
ニィ~ハァオ~!
いつしか桜吹雪もはらはらと、円山遊女が群れ集まってくる。
「プリイ~ズ!プリイ~ズ!ファック、ミー!!ファック、ミー!!」
異人の兵隊さんも鉄砲投げ捨て、濡れ魔羅ひっさげ駄々走る。
「オウ~!キレイ、ゲイシャガール、ネエ~!!」
屋敷のなかでも、廊下の隅でも、果てはお庭の木陰でも・・・・
あちらで一組、
「ファック、ミ~!スッポン!!」
こちらで二組、
「スポスポ、スッポン!ファック、ミ~!ファック、ミ~!!」
大砲、小砲を打ち鳴らしての大乱交。
しかし、冴子が演じるのは日本一とその名も高き花魁太夫。
降るアメリカに袖は濡らさじと見栄を切ったのだが・・・・
幕府御老中様、海軍奉行様、長崎港警護役の佐賀・鍋島藩と福岡・黒田藩、両藩の
お殿様がうち揃っての平身低頭。
日本国を救うため、遂に袖を濡らすことになったのだ。
* * * *
闇の中から艶っぽい三味線の音が聞こえてきた。
行灯がひとつ、またひとつと灯っていく。
花魁太夫の唄う声がしだいに近づいてくる。
♪ 逢うて別れて 別れて逢うて 千切れ千切れの雲みればあ~
(色鮮やかな花魁衣装が、はらり一枚・・・)
♪ 恋しゆかしの一声は わたしゃ松虫 主はまたあ~
(またはらり、にまい 、さんまいと・・・)
♪ 空吹く風の呑気さよ~ 男ごころはむごたらしい~
(仄かに赤い、薄物いちまいに・・・)
♪ 憎くうう~ なるほど 憎くいぞええ~
かくして、オープニングシーンは幕を閉じていく。
撮影現場を湯けむりの里の離れ座敷へと移し、冴子演じる日本の名花・花魁太夫の
マダム・バタフライが、英・仏・露・蘭・米の連合艦隊の、各国将軍四人と、一人で
相まみえる血戦の舞台にのぼっていくのである。
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