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内緒のドリンクファイト 5
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画面上のアイコンが、すべて歪んで見える。発注書は知らない言語で書かれていて、中途半端なデザインはいつも以上に何が正解か分からない。
自分の思考は、尿意一つでこんなにおかしくなるなんて知らなかった。
「主藤さん、大丈夫ですか?」
「ひぁっ!?」
背後から声を掛けられ、堰き止める力が一瞬緩まり、変な声が出た。言い聞かせるように腹部を撫でると、彼に遊ばれている瞬間の温度を思い出して、違う部分まで疼いてくる。腰をずらして、尿意を逃がすようなちょうど良い位置を探した。
上司である山内さんが眉間に皺を寄せて、俺の顔をのぞき込んだ。逸らしたい、彼のせいで欲情し始めた馬鹿な自分がバレてしまう。
ほら、おれ達のこと、見せつけて。
なのに、脳内に巣食う彼がそれを許さない。太股を情けなく擦り合わせ、どうにか平静な表情を保てるように必死になった。
山内さんの瞳が、疑っている。
「主藤さん」
「は、はい……」
「もしかして、熱でもありますか? 顔も赤いですし、仕事の進みも午後から急に悪くなってきてますよね」
「あ、いや、えっと」
隣のデスクの林さんも、こちらに身を乗り出して、そう思ってたんすよ、と加勢した。
「ほら、いつも主藤さんが頑張ってくれてるじゃないすか。だから、きっと言えなかったんですよね」
なにか、都合良く話が進んでしまっている。全然そんなことはないし、むしろ年下の男に遊ばれているのが原因なので人に言う内容じゃない。
「早退した方が」
「いや、大丈夫です! その、本当に、大丈夫です!」
心配そうにこちらを見て、それからデスク周りに視線を移した。
「じゃあ、定時退社出来るように仕事を振り分けて行きましょうか。急ぎで回ってきたものがあれば、すぐに教えてね」
「あ、ありがとう、ございます」
「じゃあ、俺からも!」
林さんが鞄からペットボトルを取り出して、俺の手に乗せた。元気づけるように強く渡されたせいで膀胱が押され、気がおかしくなりそうだった。
「お茶飲んで! これ、キャンペーンで大量に買ったやつだから、気にしなくていいよ!」
申し訳ないけれど、絶対に飲めない。見なくても分かるほどぎこちなく笑顔を浮かべ、二人にお礼を言った。山内さんの背中の時計は、定時までまだ三時間もあると示している。
足を地面に落とすたびに、この振動が体内に伝わって膀胱を刺激しているような気がする。幼少期ですらこんなに我慢したことはなかった。
一度だけ、定時退社してあの店に行ったことがある。定時に直行しても開いていないのは分かっている。でも、早く解放されたくて、頼りない足取りで彼の元へ向かっていた。
雑居ビルの前までたどり着いたが、やはりブラックボードは『CLOSE』の看板がナースデーを覆い隠していた。
どうすることも出来なくて、看板の前でうずくまる。足に押されて、ちょっとだけ、気持ちが良い。
「んっ、だめだ、ほんとうにまずい……」
まだ、我慢できるはずだ。耐えないと。
太股が切なく擦れ合い、彼に付けられたものが振動した。彼を思い出した途端、弄ばれた部分が好き勝手に熱を持ち、全身が燃えるように苦しい。
ビルの方から音がして、反射的に顔を上げた。
「あれ、今日は早いっすね」
み~くんさんが不思議そうにこちらまで来て、目線を合わせるようにしゃがんだ。じっと顔を覗かれて、恥ずかしさから身を揺らすと、また股間を塞ぐピンクが俺にだけ分かるように主張する。
「大丈夫っすか? 立てます? それとも担ぎましょうか?」
担がれたら、お腹に身体の重みが掛かってしまう。それって、……いや、駄目だって! それに、めいくん以外にバレるわけにはいかない。彼以外にそういう部分を握られるのは嫌だと思った。
「た、立ちます……」
平行目はじっと俺の身体を眺めていた。探る視線から逃げるように、ゆっくりと立ち上がる。追いかけるように彼も足を伸ばし、一瞬にして見下ろされた。
「じゃあ、行きましょっか」
歩幅も、進む速度も、すべて俺を労るようなゆったりとした動きだった。大丈夫すかー、と緩い声が、階段に響く。
「あー、でも、今日はご主人クンサンには、都合が悪い日かもすね」
「都合が悪い日?」
「こういうのは阿左美が言いたがるだろうから、本人から聞いて欲しいす。で、そのついでに、オレの昇給とボーナスをやんわりと進言して下さい」
「はあ」
調子を崩さない会話のおかげで、尿意が遠ざかったような気がした。頼みますよー、と念押しされたと同時に、店前までたどり着く。
先導していた彼は開けるや否や、阿左美ー、と叫んだ。
「なにー、だとさ」
背中越しに店内を覗くが、呼ばれた本人の姿は見当たらず、代わりにりっちゃんさんが返事をしていた。
「ご主人クンサンが来たっすよー!」
カウンター奥から顔を覗かせ、そのままこちらまで早足で向かってきた。
「何してるの、癸」
「入り口でうずくまってたから、早めに連れてきてあげたんすよ。体調悪そうにしてたんで」
ほら、と彼が背中をどかすとすぐに、めいくんに抱きしめられた。彼の匂いが鼻腔を擽り、下腹部全体が彼を求めてくっついた。
耳元に顔が近付き、甘ったるい声が俺の脳を溶かしていく。
「外でもそんな調子だったの? 恥ずかしいね、有クン。ねえ、ちゃんとおれのメスだって教えてあげた? 他の奴に可愛いところだけ見せてたら、怒るからね」
「阿左美?」
「あはは、ちょうど良いじゃん。癸に教えてあげてみて、おれの可愛いご主人クン」
強制的にみ~くんさんと向き合わされ、めいくんの手が腹部に回った。その動きに誘導され、彼の視線が下に行くのが分かる。溜まった水分で膨らんだ俺のお腹を、じっと見られている。
「ほら、大丈夫だよ、って言ってあげなよ」
弱く押されて、腰が跳ねた。今朝隠された部分が苦しいと主張していた。
「んっ、み~くんさっ、だいじょっぶ、なので」
「はー、なるほど。阿左美エグいっすねー」
恐らくこの行為の意味に気付いているのに、彼は止める気配がない。面白がって、いつからなんです、今朝だよ~、自発的すか、一応道具付けてる~、なんて雑談まで始めてしまっていた。その間もずっと刺激するのを止めてくれない。
何やってるんだ、とメイド長の声が飛んで来て、二人の声色は変わった。
「癸、教科書代支給」
「ご主人クンサンに感謝すね」
双方合意となり、み~くんさんは水色のスカートを揺らしてりっちゃんさんの方へ進んでいく。今日のおさげ似合ってるすね、幅の狭いリボンで正解すよ、と急に口説き始め、彼も満更でもない様子で解説している。
「癸はヒモで女の家を転々としてるから、りっちゃん煽てるの上手いんだよね~」
小馬鹿にするように言い放ち、俺の背中を押してカウンターへ誘導した。
「早く、外してっ」
「いいの?」
彼の手が離れ不思議に思い振り向けば、彼も同じように驚いた表情をしている。
「ご主人クン、本当は我慢して気持ちよくなってたでしょ。いいの? もっと我慢した方が、も~っと気持ち良いよ?」
思わず、唾を飲み込む。こんな些細な水分も膀胱に溜まって、今朝以上の快感に変換されるのだとしたら。
「おれにぎゅ~って押されながら出すの、癖になるほど気持ち良いんじゃない? トイレ行くたびに、おれのことを思い出しちゃって、今付けてる貞操帯がなくても勝手に我慢しちゃうかも。あ、今想像したでしょ。可愛いご主人クンのとろとろ発情顔、りっちゃんにも見せてあげる?」
「だめ……っ」
「もう一回聞くね、ご主人クン。本当に外していいの?」
うっとりとした笑みは、もう俺がなんて答えるか分かっている。
「我慢、する」
「偉~い!」
めいくんは俺の髪をかき混ぜるように撫でた。どことなく慣れていない手付きだった。
「じゃあ、頑張ろっか! 閉店まで!」
自分の思考は、尿意一つでこんなにおかしくなるなんて知らなかった。
「主藤さん、大丈夫ですか?」
「ひぁっ!?」
背後から声を掛けられ、堰き止める力が一瞬緩まり、変な声が出た。言い聞かせるように腹部を撫でると、彼に遊ばれている瞬間の温度を思い出して、違う部分まで疼いてくる。腰をずらして、尿意を逃がすようなちょうど良い位置を探した。
上司である山内さんが眉間に皺を寄せて、俺の顔をのぞき込んだ。逸らしたい、彼のせいで欲情し始めた馬鹿な自分がバレてしまう。
ほら、おれ達のこと、見せつけて。
なのに、脳内に巣食う彼がそれを許さない。太股を情けなく擦り合わせ、どうにか平静な表情を保てるように必死になった。
山内さんの瞳が、疑っている。
「主藤さん」
「は、はい……」
「もしかして、熱でもありますか? 顔も赤いですし、仕事の進みも午後から急に悪くなってきてますよね」
「あ、いや、えっと」
隣のデスクの林さんも、こちらに身を乗り出して、そう思ってたんすよ、と加勢した。
「ほら、いつも主藤さんが頑張ってくれてるじゃないすか。だから、きっと言えなかったんですよね」
なにか、都合良く話が進んでしまっている。全然そんなことはないし、むしろ年下の男に遊ばれているのが原因なので人に言う内容じゃない。
「早退した方が」
「いや、大丈夫です! その、本当に、大丈夫です!」
心配そうにこちらを見て、それからデスク周りに視線を移した。
「じゃあ、定時退社出来るように仕事を振り分けて行きましょうか。急ぎで回ってきたものがあれば、すぐに教えてね」
「あ、ありがとう、ございます」
「じゃあ、俺からも!」
林さんが鞄からペットボトルを取り出して、俺の手に乗せた。元気づけるように強く渡されたせいで膀胱が押され、気がおかしくなりそうだった。
「お茶飲んで! これ、キャンペーンで大量に買ったやつだから、気にしなくていいよ!」
申し訳ないけれど、絶対に飲めない。見なくても分かるほどぎこちなく笑顔を浮かべ、二人にお礼を言った。山内さんの背中の時計は、定時までまだ三時間もあると示している。
足を地面に落とすたびに、この振動が体内に伝わって膀胱を刺激しているような気がする。幼少期ですらこんなに我慢したことはなかった。
一度だけ、定時退社してあの店に行ったことがある。定時に直行しても開いていないのは分かっている。でも、早く解放されたくて、頼りない足取りで彼の元へ向かっていた。
雑居ビルの前までたどり着いたが、やはりブラックボードは『CLOSE』の看板がナースデーを覆い隠していた。
どうすることも出来なくて、看板の前でうずくまる。足に押されて、ちょっとだけ、気持ちが良い。
「んっ、だめだ、ほんとうにまずい……」
まだ、我慢できるはずだ。耐えないと。
太股が切なく擦れ合い、彼に付けられたものが振動した。彼を思い出した途端、弄ばれた部分が好き勝手に熱を持ち、全身が燃えるように苦しい。
ビルの方から音がして、反射的に顔を上げた。
「あれ、今日は早いっすね」
み~くんさんが不思議そうにこちらまで来て、目線を合わせるようにしゃがんだ。じっと顔を覗かれて、恥ずかしさから身を揺らすと、また股間を塞ぐピンクが俺にだけ分かるように主張する。
「大丈夫っすか? 立てます? それとも担ぎましょうか?」
担がれたら、お腹に身体の重みが掛かってしまう。それって、……いや、駄目だって! それに、めいくん以外にバレるわけにはいかない。彼以外にそういう部分を握られるのは嫌だと思った。
「た、立ちます……」
平行目はじっと俺の身体を眺めていた。探る視線から逃げるように、ゆっくりと立ち上がる。追いかけるように彼も足を伸ばし、一瞬にして見下ろされた。
「じゃあ、行きましょっか」
歩幅も、進む速度も、すべて俺を労るようなゆったりとした動きだった。大丈夫すかー、と緩い声が、階段に響く。
「あー、でも、今日はご主人クンサンには、都合が悪い日かもすね」
「都合が悪い日?」
「こういうのは阿左美が言いたがるだろうから、本人から聞いて欲しいす。で、そのついでに、オレの昇給とボーナスをやんわりと進言して下さい」
「はあ」
調子を崩さない会話のおかげで、尿意が遠ざかったような気がした。頼みますよー、と念押しされたと同時に、店前までたどり着く。
先導していた彼は開けるや否や、阿左美ー、と叫んだ。
「なにー、だとさ」
背中越しに店内を覗くが、呼ばれた本人の姿は見当たらず、代わりにりっちゃんさんが返事をしていた。
「ご主人クンサンが来たっすよー!」
カウンター奥から顔を覗かせ、そのままこちらまで早足で向かってきた。
「何してるの、癸」
「入り口でうずくまってたから、早めに連れてきてあげたんすよ。体調悪そうにしてたんで」
ほら、と彼が背中をどかすとすぐに、めいくんに抱きしめられた。彼の匂いが鼻腔を擽り、下腹部全体が彼を求めてくっついた。
耳元に顔が近付き、甘ったるい声が俺の脳を溶かしていく。
「外でもそんな調子だったの? 恥ずかしいね、有クン。ねえ、ちゃんとおれのメスだって教えてあげた? 他の奴に可愛いところだけ見せてたら、怒るからね」
「阿左美?」
「あはは、ちょうど良いじゃん。癸に教えてあげてみて、おれの可愛いご主人クン」
強制的にみ~くんさんと向き合わされ、めいくんの手が腹部に回った。その動きに誘導され、彼の視線が下に行くのが分かる。溜まった水分で膨らんだ俺のお腹を、じっと見られている。
「ほら、大丈夫だよ、って言ってあげなよ」
弱く押されて、腰が跳ねた。今朝隠された部分が苦しいと主張していた。
「んっ、み~くんさっ、だいじょっぶ、なので」
「はー、なるほど。阿左美エグいっすねー」
恐らくこの行為の意味に気付いているのに、彼は止める気配がない。面白がって、いつからなんです、今朝だよ~、自発的すか、一応道具付けてる~、なんて雑談まで始めてしまっていた。その間もずっと刺激するのを止めてくれない。
何やってるんだ、とメイド長の声が飛んで来て、二人の声色は変わった。
「癸、教科書代支給」
「ご主人クンサンに感謝すね」
双方合意となり、み~くんさんは水色のスカートを揺らしてりっちゃんさんの方へ進んでいく。今日のおさげ似合ってるすね、幅の狭いリボンで正解すよ、と急に口説き始め、彼も満更でもない様子で解説している。
「癸はヒモで女の家を転々としてるから、りっちゃん煽てるの上手いんだよね~」
小馬鹿にするように言い放ち、俺の背中を押してカウンターへ誘導した。
「早く、外してっ」
「いいの?」
彼の手が離れ不思議に思い振り向けば、彼も同じように驚いた表情をしている。
「ご主人クン、本当は我慢して気持ちよくなってたでしょ。いいの? もっと我慢した方が、も~っと気持ち良いよ?」
思わず、唾を飲み込む。こんな些細な水分も膀胱に溜まって、今朝以上の快感に変換されるのだとしたら。
「おれにぎゅ~って押されながら出すの、癖になるほど気持ち良いんじゃない? トイレ行くたびに、おれのことを思い出しちゃって、今付けてる貞操帯がなくても勝手に我慢しちゃうかも。あ、今想像したでしょ。可愛いご主人クンのとろとろ発情顔、りっちゃんにも見せてあげる?」
「だめ……っ」
「もう一回聞くね、ご主人クン。本当に外していいの?」
うっとりとした笑みは、もう俺がなんて答えるか分かっている。
「我慢、する」
「偉~い!」
めいくんは俺の髪をかき混ぜるように撫でた。どことなく慣れていない手付きだった。
「じゃあ、頑張ろっか! 閉店まで!」
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