王子の心を溶かすのは、、?

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暫く歩いてみても森、森、森






都会に住んでいた自分にとって森にくるのは初めてだ







初めてのはずなのに都会にいた頃より心が落ち着くのは何故だろうか
空気が澄んでいるから?
それとも違う世界に来たからなのだろうか






「そういえば神様がくれたものってなんだったのかな。特に身体に変化はないけど。」






水たまりに映る自分の姿に変化は何もない
ちゃんとスーツをきて、バッグを持って。どっからどう見てもただのOLだ。あの朝と変わらない、全く同じ姿






「新しい世界に来たのにスーツっていうのもなんだか不思議な気分だけどね。もう少し動きやすいラフな格好にしてくれても良かったのに」







ラフな格好をイメージした瞬間






パァァと自分の身体が光り
水たまりを覗き込むと、黒い少し大きめなパーカーに白いショートパンツ、赤いキャップと自分の格好が変わっていた






「え、スーツから格好変わった、、?私が願ったから?」







もしかして神様がくれたのって服を着替える能力とかなのかな。だったら有難い。今までは節約の為オシャレな服なんて買えなかった。やはり自分も年頃の女の子。オシャレには少し興味があったのだ。






「これで少しは歩きやすくなったな。パンプスからスニーカーに変わってるし。カバンもポシェットに変わったしね」







軽くなった足取りでサクサクと進んでいく





 
1時間ほど歩くと大きな湖に辿り着いた







「少しだけ休憩しよう」







大きな木に背中を預けペタリと座り込む







綺麗だなぁ。緑の中に湖の水はキラキラと輝き、まるで絵画の中に自分も入り込んだみたいだ






ウトウトとうたた寝をしているとグルルルと激しい唸り声が聞こえ飛び起きる。






目の前に、白くて大きな狼がこちらに牙を剥き今にも襲い掛かりそうな体勢でいた







「人間、貴様私のテリトリーで何をやっている」






全身の毛が逆立っている






「え、ここ貴方の場所だったの?ごめんね。知らなかったの」







「嘘をつくな!貴様も私の命を狙いにきたのであろう!!」







そう言うと白い狼は大きな牙でこちらに噛みつきにかかった







あぁ、また死んでしまうなぁと迫り来る牙を見つめていると
また身体が光り、ガキン!と大きな音が鳴り響いた






目の前には薄い、透明な壁のようなものがある






コンコンと手でノックしてみると結構な硬さだ







もしかしてこれはバリア、というものなのだろうか






「貴様、魔力持ちか」






少しだけ正気を取り戻した目をした狼がこちらを見つめる








「魔力持ち?私が?」





「魔力持ちを知らぬのか」







「ごめんね、この世界に来たばかりで何も分からないんだ」







「来たばかりだと?貴様この世界の人間ではないのか」







狼が臨戦態勢をやめ、お座りをする







「私は違う世界で死んでしまって神様にこの世界で2度目の人生を貰ったの」








狼は考え込む表情をし、ペコリと頭を下げる








「すまなかった。事情を知らなかったとはいえいきなり襲いかかってしまった。私の命を狙う者が多いのだ。」







「何故貴方は狙われているの?」






「人間にとって聖獣は崇める対象であると共に万病を治す素材、不老不死の為の素材、命を救う素材とも言われている。それだけでなく私を殺すか従わせれば世界に数人と言われる聖騎士になれるというのだ。何万人との人間に狙われている」






聖獣ってよく分からないけどとても貴重で護られないといけない対象なんじゃ、、






「その傷も、人間にやられたの?」








右前脚に大きな太刀で切られたような傷がある。毛は血だらけだ。見るだけでこちらが痛くなりそうな大きな傷








「あぁ。何重もの罠が張ってあり数千人と戦ってな。脚の腱をやられてしまったみたいで上手く戦えず逃げざるおえなかったのだ」







「痛そう。酷いね。」







痛々しい前脚に優しく触れポシェットにあるハンカチで血だけでも洗い流してあげようとすると
また光り輝いた







「怪我が治った、、」






先程まであった傷が綺麗になくなっている
血だらけの毛もフワフワの白い毛に戻っている








「先程までは歩くのもやっとだったのに何も痛みがなくなった。これ程までの魔力持ちとは、、少女よ。私の怪我を治してくれた事、心より感謝する」








狼が伏せをして、更に頭を下げる







「これが私の力なのか分からないけど治ったなら良かったね。もう怪我しないようにね」







頭をワシャワシャと撫で立ち去ろうとする






「待ってくれ!少女よ。いや、主よ!私を使役してくれないだろうか!!これ程までに優しい気持ちを貰った事はないのだ。貴方こそ私を使役するのに相応しい崇高なる主だ!」







毛並みの良い尻尾をぶんぶんと振りキラキラとしたエメラルドの瞳でこちらを見つめる







「使役するって何をしたらいいの?普通に友達みたいに一緒にいるだけじゃダメかな?」






「主が危険な状態に陥ったら私は全力で守る!私を友達だと呼んでくれるのならば絶対に主を1人にしない!」







ずっと1人だった私にとって誰かに必要とされる事がこれ程幸せな事なんだと初めて知った






「ありがとう。私も貴方を守ってみせるよ。」






私はモフモフの毛並みにギュッと抱きつき狼は私の身体に頭をスリスリと擦り付けた







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