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しおりを挟む馬車から降りると、届出を出すための書類をお父様が書き上げた
私はこの世界の戸籍がないので、山奥で育ち身寄りのなくなった所にお父様とお母様に拾われたという設定でいくことにした
「よし、これでユキは正式にウチの娘、ユキ・アラカルトになった。これから貴族社会で大変な事もあるかもしれないが出来る限り私達が守る。」
「ありがとうお父様!貴族の作法とかよく分かんないから沢山勉強してお父様達の娘として恥ずかしくない娘になるね!」
「ユキ、あまり無理しすぎないでね。話を聞いている限り貴方のいた世界とは大分違うようだし少しずつ一緒に頑張りましょう?」
ほんとにこの2人は私を実の娘のように見てくれる
零崎雪としての人生は喜怒哀楽の喜なんてほとんどなかったのに2人の元へ来てからはなんど喜びがあっただろうか
零崎という両親の苗字はなくなってしまうが、両親が付けてくれた雪という名前はなくならない。
そして新しい両親の苗字アラカルト。大事にしていきたい
「さぁさぁ!ユキのお洋服を買いに行きましょう!ユキは色白だから何色のドレスも似合うと思うわぁ!ダリオス、貴方はアルとユキの部屋の家具を揃えてきて!ここから暫くは女だけの時間よ!」
お母様の圧に、お父様はしょんぼりとしながら執事さんと共に家具屋さんへ向かった
「お母様、私達の方は私とランがいるから護衛はいらないけどお父様達は大丈夫なの?あんな事件があった次の日だと言うのに」
「えぇ、大丈夫よ。街中だからっていう事もあるけど、見えない所で護衛が沢山いるの。昨日はたまたま領地を見回りした帰りの護衛が少ない所を狙われたのよ」
「そうなんだ。今までも昨日のように狙われたりした事はあったの?」
「えぇ。何度もあったわ。でも昨日のような実害、、確実に命を狙って来たのは初めてよ」
体をブルりと震わせるお母様を見て私が皆を守らなきゃと強く思った
前世であっという間に死んでしまった為この世界では平凡に老衰する事を夢見ていたが大事な人を守る為ならば危険も顧みずに戦ってみようと思う
「お母様。2人は絶対に死なせないわ。私が守る。私を守ってくれる2人を守りたいの」
「もー!ウチの娘は逞しいんだから!」
ニコニコと腕を組みながらドレス屋さんまで歩き、お店のドアを開ける
「いらっしゃいませ、アラカルト様。本日はどのような物をご所望ですか?」
店員さんがお母様に尋ねると
「私の娘に合うサイズのドレス全部頂くわ!下着やネグリジェ、髪飾りやアクセサリー類も全部よ!」
「む、娘様ですか、、?アラカルト様は確か、、」
突如現れたアラカルト家の娘という存在に店員さんは驚いているようだ
「余計な詮索はなしよ!ウチの娘に最高の商品、お願いね?」
「失礼致しました!ただ今当店の自慢の商品をお出し致します!」
店員さんがバタバタと店内中の商品をかき集める
「お母様、こんなお高そうなお店で買って貰うのはなんだか心苦しい、、」
「こんなもの昨日私達の命を救ってくれたお礼としても足りないくらいよ!ユキは可愛いんだからオシャレをしないと!私ずっと娘がいたら一緒に買い物とかしたいなって思ってたから夢が叶ったのよ。ありがとうユキ」
「お母様、、そんな事言われたら何も言えないじゃない。」
お母様は店員さんが出してくる商品を次々に買うと、あっという間に馬車の中がパンパンになった
「ふぅ!馬車を借りてもまだまだ買いたくなるわね!これが娘パワー!凄いわ!」
乗ってきた馬車に詰め込むと帰りが帰れなくなるので馬車をレンタルした
お母様は鼻息を荒くしているが笑顔で凄く楽しそう
前世で楽しげに買い物していた親子を見るとき私はきっと冷めた目で見ていた。けど親子の買い物ってこんなに楽しいものなんだ。
「ユキに着てほしいものばかりでつい白熱してしまったわ!」
「お母様ありがとう!大事に着るね。ランごめんね長時間付き合わせて」
お店に入る時に影に潜ませたランに声をかけると問題ないと返答が帰ってきた
「さぁ今日はそろそろ帰りましょうか!ダリオス達もそろそろ終わるでしょ!馬車で待っていましょう」
数十分お母様と他愛もない話をしているとニコニコと満面の笑みのお父様が帰ってきた
「お父様おかえりなさい!」
「ただいま。ユキ、明日中にユキの部屋が完成するぞ!楽しみにしておいてくれ!可愛い家具沢山買ったからな」
「ありがとう!楽しみにしているね!」
明日搬入するって事は部屋にいない方がいいのよね?
丁度あの金髪の人と約束しているし帰ってきてからの楽しみが増えた!
御屋敷へ帰り、3人で夕食を済ませ部屋へ戻る
明日が楽しみで中々眠れなかった
応援ありがとうございます!
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