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第23話 ー淫夢と幻術の迷宮ー ~魔王領侵入前最終訓練~
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魔王領──それは長らく禁忌とされ、地図上にも描かれない「世界の闇」として語られてきた。
だが今、その領域への扉が、ゆっくりと開こうとしていた。
レイジは王宮の作戦室にいた。目の前には王女エリシアと双姫──ミラとセリナ。皆一様に深刻な表情でレイジを見つめていたが、その瞳の奥にはどこか艶めいた期待が滲んでいた。
「魔王領へ通じるゲートが今宵、開きます」とエリシアは言った。
「ただし、今のあなたでは、その地の支配に心を喰われる」
「だからこそ、最後の訓練が必要なのよ」とセリナが続ける。
「名付けて……“幻術迷宮”」とミラが艶然と微笑んだ。
それは、魔王の精神波を模倣した異空間であり、侵入者の心の奥底にある欲望・記憶・幻想を可視化する特異な訓練領域だった。
快楽、羞恥、後悔、愛欲、そして支配──それらすべてを乗り越えてこそ、真に“魔王と対峙する資格”があると彼女たちは言う。
「……要するに、また俺をエロい目に遭わせたいだけじゃないのか?」
レイジのぼやきに、三人は声を揃えてにっこりと微笑んだ。
「ええ、当然でしょ?」
「それが訓練よ、レイジ♡」
「耐えられないなら……今ここで脱がせてあげましょうか?」
「やめろぉぉぉ!!!」
レイジの叫びが作戦室に響いた。だが、その足は、すでに訓練場へと向かっていた。
迷宮の扉は、王宮の地下深くに隠されていた。
重厚な魔術式が複雑に交差し、封印された空間に青白い光が灯る。ミラが小さく呪文を唱えると、扉が静かに開いた。
「この空間では、現実と幻の境界が曖昧になります。気を強く持って」
エリシアが最後にそう言うと、レイジはひとり、青白い光の渦の中へと踏み込んだ。
一歩、また一歩と足を進めるたびに、意識がゆっくりと溶けていく。
空間が歪み、音が反響し、やがて視界の先に──懐かしい影が現れた。
そこにいたのは、かつての世界で彼が愛した“あの人”だった。
「レイジ……ずっと、待ってたの」
幻影の彼女が笑いかけてくる。微笑みはあまりにも自然で、香りさえも昔のままだった。
――幻覚だ。
そう思っても、心が揺れる。
(……これが、幻術迷宮か)
レイジの修行、最後の試練が、静かに幕を開けた。
幻影の彼女──名をユカリ。
レイジがこの異世界に転生する前、唯一心を許した女性だった。
薄紅色のワンピースが微かに風に揺れ、かすかな花の香りが漂う。
幻であることはわかっている。けれど、温度を感じるその笑みは、現実よりもリアルだった。
「ねぇ、レイジ……久しぶりに、私と……しない?」
その一言が、心に深く食い込む。
淡い記憶の片鱗と、肉体に刻まれた快楽の記憶が、鮮やかによみがえる。
幻影のユカリはゆっくりと歩み寄り、彼の胸元に手を置いた。
柔らかな指先が、熱を帯びて彼の皮膚を撫でる。
「……これは訓練だ」
レイジはかろうじてそう呟いたが、声にはすでに熱が滲んでいた。
「だったら……もっと気持ちよくなって……もっと、強くなって……」
幻影の吐息が首筋を這う。
ユカリの手が、衣服の隙間から忍び込み、肌に直接触れた瞬間、電流のような快感が脊髄を駆け上がった。
(違う、これは幻だ。俺の心の欲望が……作り出した――)
「違わないよ、レイジ」
幻影が耳元で囁く。「私はあなたの“真実”よ。あなたの本当の欲望、理性で押し込めていた“本音”なの」
唇が重なる。柔らかく、熱く、どこまでも甘い。
拒む気力は、もはや残っていなかった。
腰に巻きつく腕。滑るような舌。熱を持った吐息。
幻だと知りながら、レイジの身体は確かに“快楽”に応えていた。
(……こんなはずじゃ……)
思考がかき乱される中、さらにユカリの身体が絡みつく。
胸元が押しつけられ、柔らかな双丘が、彼の胸に押し当てられる。
「気持ちいいでしょう……? これが、あなただけの天国よ」
脳裏に浮かんだのは、魔王の囁きと酷似した声だった。
レイジはハッと目を見開く。
(違う……これは、ユカリじゃない……!)
だがその確信が芽生えた瞬間、ユカリの顔が――ゆっくりと変貌を始めた。
黒髪が銀に染まり、瞳が妖しく輝く紫へと変わる。
そして、妖艶な笑みを浮かべる“魔王の顔”がそこにあった。
「ようこそ、レイジ。あなたは今、“深層”に入ったのよ」
幻影の唇が再び彼に触れ、今度は魔力そのものが流れ込んできた。
視界が歪む。世界がねじれる。
快楽と恐怖が交錯する、真の迷宮の深淵が、いま開かれた――。
霧のような瘴気が足元を這い、辺り一面が仄暗い紫色に包まれていた。
そこは現実ではありえない構造の空間だった。天と地の区別が曖昧で、まるで欲望そのものが空間を形作っているかのようだった。
「レイジ……」
甘く、耳の奥を震わせるような声が左右から囁く。
現れたのは──双姫だった。いや、正確には“偽・双姫”。
ミラとセリナの姿を模してはいたが、目の奥にあの知性と芯の強さはなく、ただ淫蕩な色欲だけが渦巻いていた。
「もっと私たちを見て……私たち、いつもあなたに構ってほしかったのよ?」
「修行、修行って……もう我慢できない。ご褒美、ちょうだい?」
二人は服を脱ぎ捨てるようにすり寄ってきて、レイジの両腕に身体を絡ませた。
乳房の感触。腰の柔らかさ。息が混ざり、舌先が肌を這う。
(違う、これは本物じゃない……けど……)
身体が反応してしまう。幻術は、精神だけでなく肉体の“習性”さえもコピーする。
過去に交わした感触を再現し、それ以上の快楽を塗り重ねてくる。
片方の姫が彼の胸元を舐め、もう片方が耳元に「ねぇ、好きって言って」と囁く。
その言葉が脳を揺らす。
下腹部が疼き、足が震え、呼吸が荒くなる。
「あなたが本当に愛しているのは、誰?」
「欲しいのは、私たち? それとも……“彼女”?」
偽・双姫が囁きながら、レイジの身体をじっくりと愛撫する。
指先で描かれる曲線は、官能とともに精神を削っていくようだった。
(……違う! 俺はこんなものに屈しない!)
レイジは目を閉じ、心の底に問いかけた。
本当に欲しいものは何か。
本当に守りたいものは誰なのか。
偽姫たちの唇が首筋に触れた瞬間、レイジの中に雷鳴のような閃光が走った。
「……貴様らが、俺の仲間を名乗るな!!!」
その叫びと同時に、レイジの身体が発光し、周囲の空間が裂ける。
偽・双姫は「キャッ」と声を上げて後退したが、その笑みは崩れなかった。
「ふふ……さすがね。やっぱり、あなたは“選ばれた者”だわ」
声の主が変わった。どこか高貴で、冷たくも艶めかしい――魔王だ。
すべては彼女の導きだった。
迷宮そのものが、彼女の“性と精神の罠”であり、レイジはついにその最奥へと辿り着こうとしていた。
空間がひときわ大きく脈動し、やがて目の前の霧が裂けた。
その先に、彼女はいた。
大理石のように白く滑らかな肌。
深紅のドレスを身にまとい、黄金の瞳がレイジを見下ろしている。
長く流れる黒髪は夜そのものを思わせ、その体躯は女神のようでありながら、爪先から艶が滴り落ちそうなほどに妖艶だった。
「初めまして、レイジ」
魔王は微笑んだ。「ようやく、ここまで辿り着いたわね」
その声は甘く、低く、耳の奥に溶けるようだった。
だが同時に、意識の深層を鷲掴みにするような圧力があった。
ただの誘惑ではない。“支配”そのものだった。
「……あんたが、魔王……」
レイジは視線を逸らさなかった。
だが、その身体には既に異変が生じていた。
呼吸が浅くなる。
鼓動が早くなる。
下腹部に鈍い熱が集まっていく。
「ここは、私の領域。あなたの理性も欲望も、ぜんぶ……見えてるのよ?」
魔王が一歩、また一歩と近づいてくるたびに、空気が淫らに震える。
そして、そっと彼の顎に指を這わせた。
「あなたが積み重ねてきた“性技”。それがどれほどのものか……この身体で試させてもらうわ」
その瞬間、空間が“淫魔の儀式場”へと変貌した。
無数の鏡が四方に浮かび、あらゆる角度からレイジと魔王を映し出す。
心も身体も、すべてを暴き、記録し、刻むための“戦場”。
唇が重なる。
ただの接吻ではない。魔力が混ざり合い、魂が接続されるような深い交わり。
(まずい、これは……下手に抗えば……逆に呑まれる……)
だが、レイジは微笑んだ。
「だったら、こっちも本気でいくぜ……“性奥突破・三段昇天!”」
彼が発動したのは、これまでの修行で磨いた“複合愛撫戦術”だった。
唇、指、腰の動き……どれも魔王の意識を絶え間なく揺さぶり、余裕の笑みを崩していく。
「く……ぁっ……ば、馬鹿な……こんな、ただの転生者が……!」
魔王の腰が仰け反り、脚が震える。
「この世界を守るためなら、性技だって限界超えてやるさ……!」
快感が波のように押し寄せ、魔王の身体が艶やかな悲鳴を漏らす。
鏡の中のすべての魔王が、同時に果てたように絶頂し、空間が揺れる。
最後、魔王はか細く崩れ落ち、床に膝をついた。
息を荒げながら、ゆっくりと、彼を見上げる。
「……あなた……やっぱり……“王”に……なる男……ね……」
その瞬間、迷宮が音を立てて崩壊を始める。
レイジの周囲に光が集まり、元の王宮訓練場へと意識が戻っていく。
目を覚ましたとき、傍らには王女エリシアと双姫が心配そうに覗き込んでいた。
「……おかえり、レイジ」
「どうだった……“最終試練”は」
「魔王……強かったか?」
レイジは深く息を吐き、ニヤリと笑った。
「……次は、“本物”の魔王領だ!!」
「こっちの準備は、もうできている!!」
そう告げたその目は、これまでのどの修行よりも深く、強く光っていた。
だが今、その領域への扉が、ゆっくりと開こうとしていた。
レイジは王宮の作戦室にいた。目の前には王女エリシアと双姫──ミラとセリナ。皆一様に深刻な表情でレイジを見つめていたが、その瞳の奥にはどこか艶めいた期待が滲んでいた。
「魔王領へ通じるゲートが今宵、開きます」とエリシアは言った。
「ただし、今のあなたでは、その地の支配に心を喰われる」
「だからこそ、最後の訓練が必要なのよ」とセリナが続ける。
「名付けて……“幻術迷宮”」とミラが艶然と微笑んだ。
それは、魔王の精神波を模倣した異空間であり、侵入者の心の奥底にある欲望・記憶・幻想を可視化する特異な訓練領域だった。
快楽、羞恥、後悔、愛欲、そして支配──それらすべてを乗り越えてこそ、真に“魔王と対峙する資格”があると彼女たちは言う。
「……要するに、また俺をエロい目に遭わせたいだけじゃないのか?」
レイジのぼやきに、三人は声を揃えてにっこりと微笑んだ。
「ええ、当然でしょ?」
「それが訓練よ、レイジ♡」
「耐えられないなら……今ここで脱がせてあげましょうか?」
「やめろぉぉぉ!!!」
レイジの叫びが作戦室に響いた。だが、その足は、すでに訓練場へと向かっていた。
迷宮の扉は、王宮の地下深くに隠されていた。
重厚な魔術式が複雑に交差し、封印された空間に青白い光が灯る。ミラが小さく呪文を唱えると、扉が静かに開いた。
「この空間では、現実と幻の境界が曖昧になります。気を強く持って」
エリシアが最後にそう言うと、レイジはひとり、青白い光の渦の中へと踏み込んだ。
一歩、また一歩と足を進めるたびに、意識がゆっくりと溶けていく。
空間が歪み、音が反響し、やがて視界の先に──懐かしい影が現れた。
そこにいたのは、かつての世界で彼が愛した“あの人”だった。
「レイジ……ずっと、待ってたの」
幻影の彼女が笑いかけてくる。微笑みはあまりにも自然で、香りさえも昔のままだった。
――幻覚だ。
そう思っても、心が揺れる。
(……これが、幻術迷宮か)
レイジの修行、最後の試練が、静かに幕を開けた。
幻影の彼女──名をユカリ。
レイジがこの異世界に転生する前、唯一心を許した女性だった。
薄紅色のワンピースが微かに風に揺れ、かすかな花の香りが漂う。
幻であることはわかっている。けれど、温度を感じるその笑みは、現実よりもリアルだった。
「ねぇ、レイジ……久しぶりに、私と……しない?」
その一言が、心に深く食い込む。
淡い記憶の片鱗と、肉体に刻まれた快楽の記憶が、鮮やかによみがえる。
幻影のユカリはゆっくりと歩み寄り、彼の胸元に手を置いた。
柔らかな指先が、熱を帯びて彼の皮膚を撫でる。
「……これは訓練だ」
レイジはかろうじてそう呟いたが、声にはすでに熱が滲んでいた。
「だったら……もっと気持ちよくなって……もっと、強くなって……」
幻影の吐息が首筋を這う。
ユカリの手が、衣服の隙間から忍び込み、肌に直接触れた瞬間、電流のような快感が脊髄を駆け上がった。
(違う、これは幻だ。俺の心の欲望が……作り出した――)
「違わないよ、レイジ」
幻影が耳元で囁く。「私はあなたの“真実”よ。あなたの本当の欲望、理性で押し込めていた“本音”なの」
唇が重なる。柔らかく、熱く、どこまでも甘い。
拒む気力は、もはや残っていなかった。
腰に巻きつく腕。滑るような舌。熱を持った吐息。
幻だと知りながら、レイジの身体は確かに“快楽”に応えていた。
(……こんなはずじゃ……)
思考がかき乱される中、さらにユカリの身体が絡みつく。
胸元が押しつけられ、柔らかな双丘が、彼の胸に押し当てられる。
「気持ちいいでしょう……? これが、あなただけの天国よ」
脳裏に浮かんだのは、魔王の囁きと酷似した声だった。
レイジはハッと目を見開く。
(違う……これは、ユカリじゃない……!)
だがその確信が芽生えた瞬間、ユカリの顔が――ゆっくりと変貌を始めた。
黒髪が銀に染まり、瞳が妖しく輝く紫へと変わる。
そして、妖艶な笑みを浮かべる“魔王の顔”がそこにあった。
「ようこそ、レイジ。あなたは今、“深層”に入ったのよ」
幻影の唇が再び彼に触れ、今度は魔力そのものが流れ込んできた。
視界が歪む。世界がねじれる。
快楽と恐怖が交錯する、真の迷宮の深淵が、いま開かれた――。
霧のような瘴気が足元を這い、辺り一面が仄暗い紫色に包まれていた。
そこは現実ではありえない構造の空間だった。天と地の区別が曖昧で、まるで欲望そのものが空間を形作っているかのようだった。
「レイジ……」
甘く、耳の奥を震わせるような声が左右から囁く。
現れたのは──双姫だった。いや、正確には“偽・双姫”。
ミラとセリナの姿を模してはいたが、目の奥にあの知性と芯の強さはなく、ただ淫蕩な色欲だけが渦巻いていた。
「もっと私たちを見て……私たち、いつもあなたに構ってほしかったのよ?」
「修行、修行って……もう我慢できない。ご褒美、ちょうだい?」
二人は服を脱ぎ捨てるようにすり寄ってきて、レイジの両腕に身体を絡ませた。
乳房の感触。腰の柔らかさ。息が混ざり、舌先が肌を這う。
(違う、これは本物じゃない……けど……)
身体が反応してしまう。幻術は、精神だけでなく肉体の“習性”さえもコピーする。
過去に交わした感触を再現し、それ以上の快楽を塗り重ねてくる。
片方の姫が彼の胸元を舐め、もう片方が耳元に「ねぇ、好きって言って」と囁く。
その言葉が脳を揺らす。
下腹部が疼き、足が震え、呼吸が荒くなる。
「あなたが本当に愛しているのは、誰?」
「欲しいのは、私たち? それとも……“彼女”?」
偽・双姫が囁きながら、レイジの身体をじっくりと愛撫する。
指先で描かれる曲線は、官能とともに精神を削っていくようだった。
(……違う! 俺はこんなものに屈しない!)
レイジは目を閉じ、心の底に問いかけた。
本当に欲しいものは何か。
本当に守りたいものは誰なのか。
偽姫たちの唇が首筋に触れた瞬間、レイジの中に雷鳴のような閃光が走った。
「……貴様らが、俺の仲間を名乗るな!!!」
その叫びと同時に、レイジの身体が発光し、周囲の空間が裂ける。
偽・双姫は「キャッ」と声を上げて後退したが、その笑みは崩れなかった。
「ふふ……さすがね。やっぱり、あなたは“選ばれた者”だわ」
声の主が変わった。どこか高貴で、冷たくも艶めかしい――魔王だ。
すべては彼女の導きだった。
迷宮そのものが、彼女の“性と精神の罠”であり、レイジはついにその最奥へと辿り着こうとしていた。
空間がひときわ大きく脈動し、やがて目の前の霧が裂けた。
その先に、彼女はいた。
大理石のように白く滑らかな肌。
深紅のドレスを身にまとい、黄金の瞳がレイジを見下ろしている。
長く流れる黒髪は夜そのものを思わせ、その体躯は女神のようでありながら、爪先から艶が滴り落ちそうなほどに妖艶だった。
「初めまして、レイジ」
魔王は微笑んだ。「ようやく、ここまで辿り着いたわね」
その声は甘く、低く、耳の奥に溶けるようだった。
だが同時に、意識の深層を鷲掴みにするような圧力があった。
ただの誘惑ではない。“支配”そのものだった。
「……あんたが、魔王……」
レイジは視線を逸らさなかった。
だが、その身体には既に異変が生じていた。
呼吸が浅くなる。
鼓動が早くなる。
下腹部に鈍い熱が集まっていく。
「ここは、私の領域。あなたの理性も欲望も、ぜんぶ……見えてるのよ?」
魔王が一歩、また一歩と近づいてくるたびに、空気が淫らに震える。
そして、そっと彼の顎に指を這わせた。
「あなたが積み重ねてきた“性技”。それがどれほどのものか……この身体で試させてもらうわ」
その瞬間、空間が“淫魔の儀式場”へと変貌した。
無数の鏡が四方に浮かび、あらゆる角度からレイジと魔王を映し出す。
心も身体も、すべてを暴き、記録し、刻むための“戦場”。
唇が重なる。
ただの接吻ではない。魔力が混ざり合い、魂が接続されるような深い交わり。
(まずい、これは……下手に抗えば……逆に呑まれる……)
だが、レイジは微笑んだ。
「だったら、こっちも本気でいくぜ……“性奥突破・三段昇天!”」
彼が発動したのは、これまでの修行で磨いた“複合愛撫戦術”だった。
唇、指、腰の動き……どれも魔王の意識を絶え間なく揺さぶり、余裕の笑みを崩していく。
「く……ぁっ……ば、馬鹿な……こんな、ただの転生者が……!」
魔王の腰が仰け反り、脚が震える。
「この世界を守るためなら、性技だって限界超えてやるさ……!」
快感が波のように押し寄せ、魔王の身体が艶やかな悲鳴を漏らす。
鏡の中のすべての魔王が、同時に果てたように絶頂し、空間が揺れる。
最後、魔王はか細く崩れ落ち、床に膝をついた。
息を荒げながら、ゆっくりと、彼を見上げる。
「……あなた……やっぱり……“王”に……なる男……ね……」
その瞬間、迷宮が音を立てて崩壊を始める。
レイジの周囲に光が集まり、元の王宮訓練場へと意識が戻っていく。
目を覚ましたとき、傍らには王女エリシアと双姫が心配そうに覗き込んでいた。
「……おかえり、レイジ」
「どうだった……“最終試練”は」
「魔王……強かったか?」
レイジは深く息を吐き、ニヤリと笑った。
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