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第24話 ー魔王城侵入ー ~快楽結界と快楽使徒たちの罠~
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冷たい空気が、肌に触れるだけで神経を鋭敏に研ぎ澄ます。
世界の辺境、誰も足を踏み入れたことがないとされる「終わりの地」。
その中心に、黒曜石のような漆黒の塔――魔王城はそびえ立っていた。
「……とうとう、来ちまったか」
レイジは肩にかけたマントを風にたなびかせ、魔王城を睨みつける。
その瞳は、緊張と覚悟と――そして、うっすらとした興奮で濡れていた。
長き修行を経て、“性スキル999”の限界をさらに超えた彼の体には、今や未知の魔力が脈打っている。
だがその力は、まだ試されていない。
「気をつけて。ここは……“見られてる”わ」
エルフのリリィがレイジの隣で、微かに震える指で城を指す。
魔王の結界はただのバリアではない。
“欲望そのものを暴走させ、肉体と精神を溶かす”――快楽誘導型の結界。
「視線……じゃない。“快楽の意識”そのものが流れ込んできてる」
王女ミレーナが呟いたその言葉通り、城から放たれる気は人間の理性を蝕むほど甘く、淫靡だった。
風もないのにスカートの裾がなびき、唇が勝手に熱を帯びる。
肌の奥から疼くような感覚が、まるで媚薬のように体内を駆け巡っていた。
「この城自体が、“魔王の肉体の一部”……ってわけかよ」
レイジが苦笑混じりにそう言うと、リリィは彼のマントの裾をぎゅっと握る。
「……ねえ、入る前に一つだけ、約束して」
「ん?」
「私、また“見失いそう”になるかもしれない。あのときみたいに、私の理性が、全部……蕩けちゃうかもしれない」
その言葉に、レイジは真剣な目を向ける。
リリィは、かつて迷宮で「幻覚淫術」に堕ちかけた過去がある。
「……そんときゃ、また俺がぶん殴ってでも目を覚まさせるさ」
「……ぶん殴るの?」
「ケツを」
「……あ、うん……それなら大丈夫かも……」
顔を赤らめてうつむくリリィの耳は、すでに真っ赤に染まっていた。
そのときだった。
城の重い門が――ひとりでに軋む音を立てて開いた。
「ようこそ、魔王陛下の……“審査会場”へ」
滑るような声が空間に響いた。
現れたのは、四肢をくねらせながら歩く、仮面をつけた女。
全身が薄いシルクで包まれ、胸元は透け、腰から尻にかけて妖艶に光を反射している。
だがその肢体の揺れは人間離れしており――明らかに“何か”が混じっていた。
「私は“快楽使徒ノワール”。あなたたちが本当に魔王陛下と会うに値するかどうか……この身体で、確かめさせていただきますわ♡」
「快楽使徒だと……!」
リリィが警戒する間もなく、ノワールの指がすっと空に描かれると、あたりの空間が一変した。
石畳は絹のベッドへ、壁は柔らかな肉襞のような質感へと変貌し、彼らは結界内の別空間へと取り込まれていた。
「はじまりの審査――“快楽浸透試練”へようこそ♡」
レイジは苦笑を浮かべ、仲間たちに声をかけた。
「……行くぜ。これはもう、普通のバトルじゃねぇな」
「ええ。下半身、だけは負けられないわ」
「この淫圧……やってやるしかない!」
快楽戦闘──その幕が、いま開かれた。
「さあ……どこまで耐えられるか、試させて♡」
快楽使徒ノワールが優雅に手を広げると、空気中に見えない波紋が走った。
瞬間、レイジたちの全身にぞわりと甘い電流が走る。皮膚にまとわりつくような熱気と、体内から疼き出すような快感。
これは物理攻撃ではない。“性感神経”へ直接作用する、魔力誘導型の官能干渉。
「くっ……これは、くるぞ!」
レイジは歯を食いしばった。
身体が勝手に“触れられたような感覚”を感じる。乳首、耳、太ももの内側――誰にも触れられていないのに、まるで愛撫されているかのような錯覚。
否。これは錯覚などではない。**快楽魔術の応用技、“感覚転写”**だ。
「ぐふっ……ッ、んっ……!!」
ミレーナが堪えきれず声を漏らす。魔王城の淫圧とノワールの干渉が重なり、彼女のスカートの中はすでに――
「ミレーナ、集中しろ! 自分の性感帯を制御できなくなったら、終わりだ!」
レイジは叫びながら、自分自身の内に意識を向けた。
“性スキル999”――それは単にテクニックが高いというだけではない。快楽を“支配”する力だ。
快感に溺れることなく、逆にそれを自在に操る――その力こそが、今まさに試されていた。
「……くくっ。さすが、魔王様が“会ってみたい”とまで言った男。
でも、どこまで耐えられるかしらね?」
ノワールが妖しく笑う。
その身体が薄紅に光ったかと思うと、今度は――彼女の姿が霧のように分散した。
次の瞬間、レイジの背後に“ノワールの分身”が現れ、耳元で囁く。
「ねえ……レイジくん。ほんとは……こうされるの、好きなんじゃない?」
「っ……は、ふざけ……るな!!」
レイジは肘を突き出し、分身体をかき消す。
だが、その間にもノワールの感覚攻撃は続いていた。
肌を撫でる、爪を立てる、口づけされる――快感の幻影が次々に脳内を支配する。
本来なら戦闘に集中すべきタイミングなのに、身体が熱を帯び、視界が霞む。
「これは……快楽による“精神削り”だ。こっちの理性をじわじわ削って、自発的に戦闘不能に追い込む気か……!」
あまりに理にかなった――そして、いやらしすぎる戦術。
「レイジ……私……もう、耐えられない……!」
リリィが膝をつき、地面に両手をついたまま、身体を震わせていた。
彼女の表情は涙と快感に歪み、瞳の焦点が虚ろになり始めている。
「……リリィ!! 負けんな!!」
レイジが駆け寄り、リリィの身体を強く抱き締める。
その瞬間――何かが“逆流”した。
レイジの肉体から発せられた性スキルの逆波動が、リリィの快楽干渉を打ち消すように拡がっていく。
「っ……あっ……あれ……!? 頭の中が……すうって……!」
「“性感制圧波”だ……! 俺の快楽支配が、相手の術式に勝った……!!」
「……ふふふ。なるほど、やっぱり噂以上ね……」
ノワールの本体が、ようやく霧の奥からその姿を露わにする。
その身体はくねるように揺れながら、指先で自分の舌をなぞっていた。
「でも……ここからが本番よ。
私の“本性”……あなたに、刻みつけてあげる♡」
その瞬間、ノワールの背中が割れ、巨大な触手の花弁が開いた。
「淫撃解放――“千触の抱擁(ミルフィア・グリュエル)”!」
甘く濡れた空間が、爆ぜるように広がった――
「なにこれ……!」
リリィが息を呑んだ。
ノワールの背中から生えた触手はまるで生きているように蠢き、艶かしい粘膜で滴りながら空間を満たしていく。
一本、また一本と広がる触手は、まるで花弁が開くように形を変え、まるで美術品のような美しさすら漂わせていた。
だが、それは理性に抗えない淫獣の舞。
「これが私の“真の姿”よ。
魔王様に忠誠を誓ったその日から、私は快楽の器として磨かれ続けてきたの♡」
ノワールの声は、もはや耳に直接響いてくるようだった。
触手の一本がミレーナに襲いかかり、彼女の脚をするりと撫で上げる。
「ッ……くぅうん……ッ!」
その瞬間、ミレーナの身体がビクンと跳ねた。
一切の物理的攻撃ではない。ただ、性感帯を的確に愛撫する魔力を帯びた触手。
衣服の上からでさえ、全身の神経が開かれ、あっという間に快楽に塗り替えられる。
「こいつ……反則級だろ……!」
レイジは歯噛みした。
“戦わずして戦闘不能”にする能力。これほど厄介で、これほど性的に仕込まれた戦術があるだろうか。
戦場が一瞬で“ベッドルーム”へと変貌する異常空間。
「でも……ならこっちも、全力で応えるしかねぇな」
レイジの瞳に、一閃の光が走った。
「リリィ、ミレーナ! 俺が隙を作る。そっちで“刺激の逆流”を起こせ!」
「“逆流”?」
「快楽を与えすぎて、ノワールの自我をバグらせるんだ!」
レイジはそう言い放つと、腰を低く構え、全身に性エネルギーを集中させた。
その一撃はもはや“物理”でも“魔法”でもない。
――それは、“絶頂を引き起こす波動”。
「喰らえ……!
性奥崩壊打(ファイナル・エクスプロージョン)!」
放たれた波動が、ノワールの中心へと炸裂する。
爆音はない。ただ、愛液が飛び散る音と、快楽の悲鳴だけが城に響き渡った。
「あ……ああぁああっっ……♡♡♡」
ノワールの口から漏れたのは、絶頂の悲鳴。
触手が一斉に痙攣し、空間に満ちていた淫気が一気に弾け飛ぶ。
「い、今よっ!!」
ミレーナとリリィが同時に魔力を解放。
彼女たちが放ったのは、性感解放魔術“レゾナンス・クラッシュ”。
快楽を逆流させ、脳内で“過負荷”を引き起こす術式――ノワールの神経が混線する。
「ふ、ふひゃ……っ、あぁ、い、いく、いくっ、も、もう無理ぃ……♡」
ノワールの身体が崩れ落ちた。
魔王城の結界が、一部だけ崩れた瞬間だった。
「……突破、成功……!」
レイジは息を切らしながら立ち尽くす。
その身体からは湯気のような気が立ち上り、下半身はもうズボンが張り付くほどの状態だった。
「……変態すぎる……」
「うるせぇ、これが“正面突破”ってやつだろ」
リリィのツッコミに、レイジは真顔で返した。
――しかし、この勝利が次なる脅威の“呼び水”となることを、彼らはまだ知らなかった。
崩れ落ちた快楽使徒ノワールの身体を横目に、レイジたちは魔王城の奥へと足を踏み入れた。
重厚な扉が自動的に開き、赤紫色の霧がゆっくりと押し寄せてくる。
「……これが、魔王の私室に通じる回廊……」
ミレーナが呟いた声には、畏怖とも緊張ともつかない色が混じっていた。
この先に待つのは、世界最凶の存在――魔王。その配下たちもまた、人間の想像を遥かに超えた存在だ。
「油断するなよ。ノワールは遊撃だ。
本来、こんな場所で出てくる格じゃない……ってことは、ここから先が本番だ」
レイジが静かに告げる。
背後では、倒れたノワールが笑みを浮かべていた。
「……ふふ……ようこそ、快楽の迷宮へ……♡
快楽の門を超えた者は、もう、戻れない……」
その言葉を最後に、彼女は完全に気絶した。
回廊を進むにつれ、空間はさらに異様さを増していった。
壁に描かれたレリーフは、男女が絡み合う官能の彫刻。
床は赤絨毯かと思えば、それは“魔族の肌”を模した生体素材。踏むたびに微かにうめき声を上げる。
「まさに……変態の城だな」
レイジはぼそりと呟いた。
リリィとミレーナも顔を赤らめながら、あちこちを見回している。
そのときだった。
「お待ちしておりました、勇者様♡」
どこからともなく響く声とともに、天井からゆっくりと降りてきたのは、
漆黒のボンデージに身を包んだ、冷ややかな微笑を浮かべる女――
「私は第二使徒・サディリア。
“服従”と“調教”の支配者……。貴方の心を、徹底的に折らせていただきますわ♡」
その手には魔具“淫鎖の鞭(イラリア=ロゼ)”。
鞭の先からは、甘い花の香りとともに快楽成分を含んだ瘴気が漂う。
「レイジ……このままだと……!」
「分かってる。次は“心の防御”が試される……!」
サディリアが鞭を振りかざした瞬間、空間がねじれ、レイジたちの視界がブラックアウトする。
目を覚ました時、レイジは――
十字架に拘束されていた。
世界の辺境、誰も足を踏み入れたことがないとされる「終わりの地」。
その中心に、黒曜石のような漆黒の塔――魔王城はそびえ立っていた。
「……とうとう、来ちまったか」
レイジは肩にかけたマントを風にたなびかせ、魔王城を睨みつける。
その瞳は、緊張と覚悟と――そして、うっすらとした興奮で濡れていた。
長き修行を経て、“性スキル999”の限界をさらに超えた彼の体には、今や未知の魔力が脈打っている。
だがその力は、まだ試されていない。
「気をつけて。ここは……“見られてる”わ」
エルフのリリィがレイジの隣で、微かに震える指で城を指す。
魔王の結界はただのバリアではない。
“欲望そのものを暴走させ、肉体と精神を溶かす”――快楽誘導型の結界。
「視線……じゃない。“快楽の意識”そのものが流れ込んできてる」
王女ミレーナが呟いたその言葉通り、城から放たれる気は人間の理性を蝕むほど甘く、淫靡だった。
風もないのにスカートの裾がなびき、唇が勝手に熱を帯びる。
肌の奥から疼くような感覚が、まるで媚薬のように体内を駆け巡っていた。
「この城自体が、“魔王の肉体の一部”……ってわけかよ」
レイジが苦笑混じりにそう言うと、リリィは彼のマントの裾をぎゅっと握る。
「……ねえ、入る前に一つだけ、約束して」
「ん?」
「私、また“見失いそう”になるかもしれない。あのときみたいに、私の理性が、全部……蕩けちゃうかもしれない」
その言葉に、レイジは真剣な目を向ける。
リリィは、かつて迷宮で「幻覚淫術」に堕ちかけた過去がある。
「……そんときゃ、また俺がぶん殴ってでも目を覚まさせるさ」
「……ぶん殴るの?」
「ケツを」
「……あ、うん……それなら大丈夫かも……」
顔を赤らめてうつむくリリィの耳は、すでに真っ赤に染まっていた。
そのときだった。
城の重い門が――ひとりでに軋む音を立てて開いた。
「ようこそ、魔王陛下の……“審査会場”へ」
滑るような声が空間に響いた。
現れたのは、四肢をくねらせながら歩く、仮面をつけた女。
全身が薄いシルクで包まれ、胸元は透け、腰から尻にかけて妖艶に光を反射している。
だがその肢体の揺れは人間離れしており――明らかに“何か”が混じっていた。
「私は“快楽使徒ノワール”。あなたたちが本当に魔王陛下と会うに値するかどうか……この身体で、確かめさせていただきますわ♡」
「快楽使徒だと……!」
リリィが警戒する間もなく、ノワールの指がすっと空に描かれると、あたりの空間が一変した。
石畳は絹のベッドへ、壁は柔らかな肉襞のような質感へと変貌し、彼らは結界内の別空間へと取り込まれていた。
「はじまりの審査――“快楽浸透試練”へようこそ♡」
レイジは苦笑を浮かべ、仲間たちに声をかけた。
「……行くぜ。これはもう、普通のバトルじゃねぇな」
「ええ。下半身、だけは負けられないわ」
「この淫圧……やってやるしかない!」
快楽戦闘──その幕が、いま開かれた。
「さあ……どこまで耐えられるか、試させて♡」
快楽使徒ノワールが優雅に手を広げると、空気中に見えない波紋が走った。
瞬間、レイジたちの全身にぞわりと甘い電流が走る。皮膚にまとわりつくような熱気と、体内から疼き出すような快感。
これは物理攻撃ではない。“性感神経”へ直接作用する、魔力誘導型の官能干渉。
「くっ……これは、くるぞ!」
レイジは歯を食いしばった。
身体が勝手に“触れられたような感覚”を感じる。乳首、耳、太ももの内側――誰にも触れられていないのに、まるで愛撫されているかのような錯覚。
否。これは錯覚などではない。**快楽魔術の応用技、“感覚転写”**だ。
「ぐふっ……ッ、んっ……!!」
ミレーナが堪えきれず声を漏らす。魔王城の淫圧とノワールの干渉が重なり、彼女のスカートの中はすでに――
「ミレーナ、集中しろ! 自分の性感帯を制御できなくなったら、終わりだ!」
レイジは叫びながら、自分自身の内に意識を向けた。
“性スキル999”――それは単にテクニックが高いというだけではない。快楽を“支配”する力だ。
快感に溺れることなく、逆にそれを自在に操る――その力こそが、今まさに試されていた。
「……くくっ。さすが、魔王様が“会ってみたい”とまで言った男。
でも、どこまで耐えられるかしらね?」
ノワールが妖しく笑う。
その身体が薄紅に光ったかと思うと、今度は――彼女の姿が霧のように分散した。
次の瞬間、レイジの背後に“ノワールの分身”が現れ、耳元で囁く。
「ねえ……レイジくん。ほんとは……こうされるの、好きなんじゃない?」
「っ……は、ふざけ……るな!!」
レイジは肘を突き出し、分身体をかき消す。
だが、その間にもノワールの感覚攻撃は続いていた。
肌を撫でる、爪を立てる、口づけされる――快感の幻影が次々に脳内を支配する。
本来なら戦闘に集中すべきタイミングなのに、身体が熱を帯び、視界が霞む。
「これは……快楽による“精神削り”だ。こっちの理性をじわじわ削って、自発的に戦闘不能に追い込む気か……!」
あまりに理にかなった――そして、いやらしすぎる戦術。
「レイジ……私……もう、耐えられない……!」
リリィが膝をつき、地面に両手をついたまま、身体を震わせていた。
彼女の表情は涙と快感に歪み、瞳の焦点が虚ろになり始めている。
「……リリィ!! 負けんな!!」
レイジが駆け寄り、リリィの身体を強く抱き締める。
その瞬間――何かが“逆流”した。
レイジの肉体から発せられた性スキルの逆波動が、リリィの快楽干渉を打ち消すように拡がっていく。
「っ……あっ……あれ……!? 頭の中が……すうって……!」
「“性感制圧波”だ……! 俺の快楽支配が、相手の術式に勝った……!!」
「……ふふふ。なるほど、やっぱり噂以上ね……」
ノワールの本体が、ようやく霧の奥からその姿を露わにする。
その身体はくねるように揺れながら、指先で自分の舌をなぞっていた。
「でも……ここからが本番よ。
私の“本性”……あなたに、刻みつけてあげる♡」
その瞬間、ノワールの背中が割れ、巨大な触手の花弁が開いた。
「淫撃解放――“千触の抱擁(ミルフィア・グリュエル)”!」
甘く濡れた空間が、爆ぜるように広がった――
「なにこれ……!」
リリィが息を呑んだ。
ノワールの背中から生えた触手はまるで生きているように蠢き、艶かしい粘膜で滴りながら空間を満たしていく。
一本、また一本と広がる触手は、まるで花弁が開くように形を変え、まるで美術品のような美しさすら漂わせていた。
だが、それは理性に抗えない淫獣の舞。
「これが私の“真の姿”よ。
魔王様に忠誠を誓ったその日から、私は快楽の器として磨かれ続けてきたの♡」
ノワールの声は、もはや耳に直接響いてくるようだった。
触手の一本がミレーナに襲いかかり、彼女の脚をするりと撫で上げる。
「ッ……くぅうん……ッ!」
その瞬間、ミレーナの身体がビクンと跳ねた。
一切の物理的攻撃ではない。ただ、性感帯を的確に愛撫する魔力を帯びた触手。
衣服の上からでさえ、全身の神経が開かれ、あっという間に快楽に塗り替えられる。
「こいつ……反則級だろ……!」
レイジは歯噛みした。
“戦わずして戦闘不能”にする能力。これほど厄介で、これほど性的に仕込まれた戦術があるだろうか。
戦場が一瞬で“ベッドルーム”へと変貌する異常空間。
「でも……ならこっちも、全力で応えるしかねぇな」
レイジの瞳に、一閃の光が走った。
「リリィ、ミレーナ! 俺が隙を作る。そっちで“刺激の逆流”を起こせ!」
「“逆流”?」
「快楽を与えすぎて、ノワールの自我をバグらせるんだ!」
レイジはそう言い放つと、腰を低く構え、全身に性エネルギーを集中させた。
その一撃はもはや“物理”でも“魔法”でもない。
――それは、“絶頂を引き起こす波動”。
「喰らえ……!
性奥崩壊打(ファイナル・エクスプロージョン)!」
放たれた波動が、ノワールの中心へと炸裂する。
爆音はない。ただ、愛液が飛び散る音と、快楽の悲鳴だけが城に響き渡った。
「あ……ああぁああっっ……♡♡♡」
ノワールの口から漏れたのは、絶頂の悲鳴。
触手が一斉に痙攣し、空間に満ちていた淫気が一気に弾け飛ぶ。
「い、今よっ!!」
ミレーナとリリィが同時に魔力を解放。
彼女たちが放ったのは、性感解放魔術“レゾナンス・クラッシュ”。
快楽を逆流させ、脳内で“過負荷”を引き起こす術式――ノワールの神経が混線する。
「ふ、ふひゃ……っ、あぁ、い、いく、いくっ、も、もう無理ぃ……♡」
ノワールの身体が崩れ落ちた。
魔王城の結界が、一部だけ崩れた瞬間だった。
「……突破、成功……!」
レイジは息を切らしながら立ち尽くす。
その身体からは湯気のような気が立ち上り、下半身はもうズボンが張り付くほどの状態だった。
「……変態すぎる……」
「うるせぇ、これが“正面突破”ってやつだろ」
リリィのツッコミに、レイジは真顔で返した。
――しかし、この勝利が次なる脅威の“呼び水”となることを、彼らはまだ知らなかった。
崩れ落ちた快楽使徒ノワールの身体を横目に、レイジたちは魔王城の奥へと足を踏み入れた。
重厚な扉が自動的に開き、赤紫色の霧がゆっくりと押し寄せてくる。
「……これが、魔王の私室に通じる回廊……」
ミレーナが呟いた声には、畏怖とも緊張ともつかない色が混じっていた。
この先に待つのは、世界最凶の存在――魔王。その配下たちもまた、人間の想像を遥かに超えた存在だ。
「油断するなよ。ノワールは遊撃だ。
本来、こんな場所で出てくる格じゃない……ってことは、ここから先が本番だ」
レイジが静かに告げる。
背後では、倒れたノワールが笑みを浮かべていた。
「……ふふ……ようこそ、快楽の迷宮へ……♡
快楽の門を超えた者は、もう、戻れない……」
その言葉を最後に、彼女は完全に気絶した。
回廊を進むにつれ、空間はさらに異様さを増していった。
壁に描かれたレリーフは、男女が絡み合う官能の彫刻。
床は赤絨毯かと思えば、それは“魔族の肌”を模した生体素材。踏むたびに微かにうめき声を上げる。
「まさに……変態の城だな」
レイジはぼそりと呟いた。
リリィとミレーナも顔を赤らめながら、あちこちを見回している。
そのときだった。
「お待ちしておりました、勇者様♡」
どこからともなく響く声とともに、天井からゆっくりと降りてきたのは、
漆黒のボンデージに身を包んだ、冷ややかな微笑を浮かべる女――
「私は第二使徒・サディリア。
“服従”と“調教”の支配者……。貴方の心を、徹底的に折らせていただきますわ♡」
その手には魔具“淫鎖の鞭(イラリア=ロゼ)”。
鞭の先からは、甘い花の香りとともに快楽成分を含んだ瘴気が漂う。
「レイジ……このままだと……!」
「分かってる。次は“心の防御”が試される……!」
サディリアが鞭を振りかざした瞬間、空間がねじれ、レイジたちの視界がブラックアウトする。
目を覚ました時、レイジは――
十字架に拘束されていた。
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