オーバードライブ ・エロス〜性技カンストの俺が魔王をイカせるまで帰れない世界〜

ぽせいどん

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第4話 ーひとりと三人の性能試験ー

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 レイジは、天井を仰いで深く溜息を吐いた。

 昨日の“共同風呂での性感試験”の余韻が、体の奥にまでこびりついている。あのぬるぬるとした触手の感触、温水に溶け込んだ魔力の痺れるような刺激、そしてリリアとミュネの無邪気で悪意すら感じる笑顔──あれを「日課」と呼ぶ連中とは、今後一切信頼関係を結ぶ自信がない。

 部屋の隅に置かれた妖精灯が、今日もほのかに淡い光を放っている。装飾された木製の棚の上には、性技スキルに関する本がずらりと並んでおり、その隣には“官能レベル記録簿”なる意味不明な冊子が堂々と立てかけられていた。

「……俺、どうしてこんな世界に来たんだっけ……」

 布団にくるまりながら呟いたその瞬間、元気いっぱいのノック音がドア越しに響いた。

「やっほー! レイジくーん、起きてるー!? 今日の性能試験、遅れるとペナルティだよー!」

 この声は、昨日“魔力拷問触手風呂”の提案者として名高いエルフ娘、リリアだ。

「……ペナルティって、また変な試験科目追加されるとか……?」

 呟きながら、レイジはようやく布団から這い出る。服を着てドアを開けると、そこには見慣れない二人の女性が立っていた。片方は小柄でふわふわのピンク髪、もう一人はグラマラスで妖艶な黒髪を揺らす大人びた女性。

「初めまして、レイジさん。私はクルト。催眠と共感の魔法を専門にしています。今日はどうぞよろしく」

 黒髪の女性が柔らかく微笑む。その仕草だけで、なぜか首筋がぞわりとする。

「私はコロン! 回復と強化が得意! レイジくんのこと、たくさん癒やすね!」

 笑顔が無邪気すぎる。危険な予感しかしない。

 リリアがその隣から手を振った。

「じゃーん! 本日の“性能力連携適合テスト”のメンバーはこの三人! レイジは中央に座って、三人の干渉スキルを順番に受けて適応するかチェックするんだよ!」

「……そのテスト、どこの成人向けRPGだよ」

 レイジの抵抗もむなしく、手を引かれて案内されたのは、淫魔寮の地下にある“魔導干渉室”だった。内部は真っ白な壁と床で構成され、中央には台座のような椅子がひとつ。その上に座らされた瞬間、椅子が柔らかく形を変え、レイジの体を固定するように包み込む。

「これから順番に、私たちがあなたにスキルを使います。耐性と反応のバランス、あと感度フィードバックも見ますので、遠慮せずに感じてくださいね?」

 クルトの声はあくまで優しいが、言っている内容はすでに尋問に近い。

 試験が始まった。

 まずはクルトの番だった。彼女の手が額に触れた瞬間、レイジの視界に霧がかかる。次の瞬間、遠くで笑うリリアの姿、風呂場で絡まる触手の記憶、ミュネのつんとした笑顔──それらが一気に脳内でフラッシュバックした。

『スキル発動:記憶共振(レベル5)』

 快楽の記憶を呼び起こし、それを精神に再現させる魔法。レイジの身体はピクリと震え、全身の血管が脈打つような錯覚を覚えた。

「うあああっ!? まって、これ今のじゃない、過去の快感が……ぐ、る……」

 視界が暗転する直前、彼の耳にリリアの笑い声が聞こえた。

「うんうん、合格ライン! 次はコロン、お願い!」

「はーい!」

 コロンは手に持った杖を振ると、空中にきらめく花びらのような魔法陣を浮かべた。

『スキル発動:快感増幅・陽性波(レベル3)』

 空気が甘く染まり、レイジの肌に光の粒が触れた瞬間、ぴりっとした刺激が走る。首筋、背中、太もも、胸板──外気に晒されていないはずの箇所が、まるで舐められているかのように熱くなる。

「これ、何か塗った!? なにが起きて……ッ」

「ふふ、触ってないよ? でも“感度”だけ操作してるから、触れられたと錯覚しちゃうの」

 あまりの気持ち悪さに、レイジは椅子の上で体をくねらせた。だが椅子の拘束は緩まない。スキルの波が押し寄せるたびに、MPゲージがぶくぶくと膨れ上がっていくのがわかる。

 そして最後に、リリアが前に出た。

「最後はわたし! 今度は“相性テスト”ね!」

 そう言うと、彼女は腰に巻いたベルトから小さな魔導球を取り出し、それをレイジの胸元にかざした。

『スキル発動:官能共鳴(レベル4)』

 球体が発光し、レイジの心拍とリリアの心拍が同調する。ドクン、ドクンというリズムが完全に一致し、思考がかき乱される。

「これ……やばい……やばいって……!」

 脳の奥がとろけるような感覚。リリアの呼吸、鼓動、温度がそのまま自分のものとして流れ込んでくる。体が重なっているわけではないのに、彼女に抱かれているような錯覚が襲いかかる。

「さあ、最後の問いかけよ。あなたは、この世界に残って“私たちと一緒に気持ちよく”生きていけるのかしら?」

「お、お前ら……俺をどうするつもりだぁぁ……!!」

 レイジの絶叫と共に、試験室の天井が淡く光った。

『試験結果:適性超過。新ランク『快感中毒者(エクスタシスホルダー)』に昇格』

 そして、スキル欄に新たな項目が追加された。

『新スキル:複数干渉統合(パーティリンク)習得』

 倒れ伏すレイジを囲み、三人の少女たちはにこやかに拍手を送っていた。

「うん、これで“パーティ戦”にも連れて行けるね!」

「しばらくは耐性訓練も必要ね。夜も、がんばってね……♡」

 レイジはもう、返事をする余力もなかった。
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