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第10話 ー甘美なる罠と裏切りの唇ー 〜サキュバス潜入任務開始〜
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夜が更ける頃、レイジはサキュバス領の宮殿の一室で任務内容の通達を受け取っていた。
『任務指示:サキュバス領内“反和平派”の実態調査。対象:地下娼館ギルド《ノクターン》。同行者:リリア・ヴェリーナ。任意:変装・潜入・情報収集・敵対者の捕縛可』
和平交渉の影で渦巻く陰謀。それは甘美な誘惑の仮面を被った牙を隠す闇だった。
「なんで毎回、俺だけ“スケベな危険地帯”に突っ込む任務ばっかなんだ……」
レイジは肩を落としながら、リリアに手渡された“潜入用衣装”を見た。
「……これ、俺が着るやつ?」
「そうよ。“放浪娼夫”風の衣装。露出多めだけど、情報集めには信頼感より“そそる見た目”のほうが効果的なの。わかるでしょ?」
「……この世界、理性は死んでんのか……」
その夜、サキュバス領でも指折りの歓楽街“ルストノワール”の裏路地にある、地下ギルド《ノクターン》へ、レイジとリリアは変装して潜入を果たした。
扉を開けると、甘くとろけるような香が全身を包む。目を凝らすと、室内は柔らかな桃色の光に照らされ、天井から吊るされたシルクが波のように揺れていた。
音楽は低く、淫靡なリズムを刻み、半裸の男女が静かに絡まりながら踊っている。
奥のカウンター席に座ったレイジは、様子を探るように周囲に目を配った。
「情報によれば、この店に“反和平派”が定期的に現れるらしいわ」
「つまり……ここにいる誰かが、そのスパイか幹部かってことか」
そのとき、カウンターの向こうから、妖艶なサキュバスが近づいてきた。
「いらっしゃい。今夜のお相手は……どんな味がお好み?」
彼女は長く赤い舌を、爪先でちろりと舐めながらレイジを見下ろした。
「甘いの? 苦いの? それとも……スリル混じりの苦悦?」
“こいつだ”と、直感が警鐘を鳴らした。
リリアは囁いた。「警戒して。彼女、魔力の波が濃すぎる。上級……それも戦闘慣れした系統よ」
「わかってる……でも、あからさまに警戒するとバレる」
レイジは顔を崩さず、微笑みで返した。
「スリルは好きだ。でも、試すのはお互い様だろ?」
「ふふ……気に入ったわ。こっちへいらっしゃい」
彼女に手を取られ、薄絹の帳をくぐった先の個室へと連れていかれるレイジ。
中はまるで夢のように甘く、暗く、淫靡だった。天蓋のあるベッド、瓶詰めの香油、魔力を秘めたシルクの縄……。
「お名前は?」
「レイ……じゃなくて、“ラグ”ってことで」
「ラグ……ね。じゃあ、今夜は私が調教する番ね」
レイジの胸に彼女の指先が滑る。その動きに合わせて、魔力が皮膚に染み込むように伝播し、熱を帯びた感覚が全身を包んだ。
『状態異常:エロスリンク(持続型快感干渉)』
(やべ……これは、感覚を共有してコントロールするタイプの魔法だ。ミスれば即、敗北)
「あなたね、ちょっと“王国の匂い”がするわよ」
そう囁いた彼女の目に、初めて冷たい光が灯った。
「……バレてた?」
「あなたの“理性の粘り”が、ただの娼夫にしちゃ不自然すぎたの」
次の瞬間、彼女の足が絡みつき、レイジをベッドに押し倒す。片手には、魔力を込めた淫具型の封印道具が光っていた。
「さあ、口を割りなさい。何者? 誰に命じられたの? 王国のスパイね?」
“エロ尋問”が始まった。
だが、レイジはギリギリで精神耐性を保ちつつ、視線の端にある小さな影を確認した。
リリアだ。彼女は個室の換気用の小窓から魔法で合図を送り、レイジの耳元に通信魔術を響かせる。
『合図したら、私が空間封印を破る。5秒耐えて』
「……なら、やってやろうじゃねぇか!」
レイジは最後の力で笑みを浮かべ、あえて彼女の拘束を受け入れるふりをした。
彼女が魔力を増幅させ、封印を結ぼうとした瞬間、リリアの魔法弾が窓から放たれた!
爆音と共に封印陣が破壊され、煙が室内に充満する。
「なっ……!?」
「任務完了!」
レイジは彼女の隙を突き、拘束を解き、自らも跳ね起きた。そのまま、リリアの投げたロープにしがみつき、煙の中を窓から脱出。
地下ギルド《ノクターン》の裏口へと滑り込むように逃げ、後を追ってきた反和平派の手勢をまく。
その夜、彼らは命からがら宿舎へと戻り、ギルド上層部に情報を報告した。
地下ギルドの中枢には確かに“反和平派”の幹部が潜伏しており、サキュバス領の一部と通じて王国に牙を向けようとしていた。
「しかし……危なかったな」
「でも、やっぱりレイジって耐性すごいよね。あの状況で気絶しなかったの、まじで伝説」
「褒められても嬉しくねぇよ!!」
こうして、任務は成功。
だが、サキュバス領の本当の混乱は、まだ始まりに過ぎなかった──。
『次任務候補:淫魔の双姫──王位継承の決闘儀式』
次なる任務は、さらなる淫乱と策略の渦へと、レイジを誘う。
『任務指示:サキュバス領内“反和平派”の実態調査。対象:地下娼館ギルド《ノクターン》。同行者:リリア・ヴェリーナ。任意:変装・潜入・情報収集・敵対者の捕縛可』
和平交渉の影で渦巻く陰謀。それは甘美な誘惑の仮面を被った牙を隠す闇だった。
「なんで毎回、俺だけ“スケベな危険地帯”に突っ込む任務ばっかなんだ……」
レイジは肩を落としながら、リリアに手渡された“潜入用衣装”を見た。
「……これ、俺が着るやつ?」
「そうよ。“放浪娼夫”風の衣装。露出多めだけど、情報集めには信頼感より“そそる見た目”のほうが効果的なの。わかるでしょ?」
「……この世界、理性は死んでんのか……」
その夜、サキュバス領でも指折りの歓楽街“ルストノワール”の裏路地にある、地下ギルド《ノクターン》へ、レイジとリリアは変装して潜入を果たした。
扉を開けると、甘くとろけるような香が全身を包む。目を凝らすと、室内は柔らかな桃色の光に照らされ、天井から吊るされたシルクが波のように揺れていた。
音楽は低く、淫靡なリズムを刻み、半裸の男女が静かに絡まりながら踊っている。
奥のカウンター席に座ったレイジは、様子を探るように周囲に目を配った。
「情報によれば、この店に“反和平派”が定期的に現れるらしいわ」
「つまり……ここにいる誰かが、そのスパイか幹部かってことか」
そのとき、カウンターの向こうから、妖艶なサキュバスが近づいてきた。
「いらっしゃい。今夜のお相手は……どんな味がお好み?」
彼女は長く赤い舌を、爪先でちろりと舐めながらレイジを見下ろした。
「甘いの? 苦いの? それとも……スリル混じりの苦悦?」
“こいつだ”と、直感が警鐘を鳴らした。
リリアは囁いた。「警戒して。彼女、魔力の波が濃すぎる。上級……それも戦闘慣れした系統よ」
「わかってる……でも、あからさまに警戒するとバレる」
レイジは顔を崩さず、微笑みで返した。
「スリルは好きだ。でも、試すのはお互い様だろ?」
「ふふ……気に入ったわ。こっちへいらっしゃい」
彼女に手を取られ、薄絹の帳をくぐった先の個室へと連れていかれるレイジ。
中はまるで夢のように甘く、暗く、淫靡だった。天蓋のあるベッド、瓶詰めの香油、魔力を秘めたシルクの縄……。
「お名前は?」
「レイ……じゃなくて、“ラグ”ってことで」
「ラグ……ね。じゃあ、今夜は私が調教する番ね」
レイジの胸に彼女の指先が滑る。その動きに合わせて、魔力が皮膚に染み込むように伝播し、熱を帯びた感覚が全身を包んだ。
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(やべ……これは、感覚を共有してコントロールするタイプの魔法だ。ミスれば即、敗北)
「あなたね、ちょっと“王国の匂い”がするわよ」
そう囁いた彼女の目に、初めて冷たい光が灯った。
「……バレてた?」
「あなたの“理性の粘り”が、ただの娼夫にしちゃ不自然すぎたの」
次の瞬間、彼女の足が絡みつき、レイジをベッドに押し倒す。片手には、魔力を込めた淫具型の封印道具が光っていた。
「さあ、口を割りなさい。何者? 誰に命じられたの? 王国のスパイね?」
“エロ尋問”が始まった。
だが、レイジはギリギリで精神耐性を保ちつつ、視線の端にある小さな影を確認した。
リリアだ。彼女は個室の換気用の小窓から魔法で合図を送り、レイジの耳元に通信魔術を響かせる。
『合図したら、私が空間封印を破る。5秒耐えて』
「……なら、やってやろうじゃねぇか!」
レイジは最後の力で笑みを浮かべ、あえて彼女の拘束を受け入れるふりをした。
彼女が魔力を増幅させ、封印を結ぼうとした瞬間、リリアの魔法弾が窓から放たれた!
爆音と共に封印陣が破壊され、煙が室内に充満する。
「なっ……!?」
「任務完了!」
レイジは彼女の隙を突き、拘束を解き、自らも跳ね起きた。そのまま、リリアの投げたロープにしがみつき、煙の中を窓から脱出。
地下ギルド《ノクターン》の裏口へと滑り込むように逃げ、後を追ってきた反和平派の手勢をまく。
その夜、彼らは命からがら宿舎へと戻り、ギルド上層部に情報を報告した。
地下ギルドの中枢には確かに“反和平派”の幹部が潜伏しており、サキュバス領の一部と通じて王国に牙を向けようとしていた。
「しかし……危なかったな」
「でも、やっぱりレイジって耐性すごいよね。あの状況で気絶しなかったの、まじで伝説」
「褒められても嬉しくねぇよ!!」
こうして、任務は成功。
だが、サキュバス領の本当の混乱は、まだ始まりに過ぎなかった──。
『次任務候補:淫魔の双姫──王位継承の決闘儀式』
次なる任務は、さらなる淫乱と策略の渦へと、レイジを誘う。
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