オーバードライブ ・エロス〜性技カンストの俺が魔王をイカせるまで帰れない世界〜

ぽせいどん

文字の大きさ
14 / 70

第14話 ー淫魔王宮の影ー ~忍び寄る陰謀と双姫の誘い~

しおりを挟む
 決闘会の熱気が冷めやらぬ王宮は、夜になってもざわついていた。貴族や従者たちが広間で勝者の祝宴を開き、甘い酒と香が混じる空気は、勝利の余韻というより新たな火種の匂いを孕んでいるようだった。

 レイジは一人、王宮の回廊を歩いていた。冷たい大理石の床が足音を反響させるたび、自分がまだ“異世界の客人”であることを思い知らされる。決闘会を耐え抜いたというのに、気は休まらない。むしろ、この先に待つものがより大きな試練だと感じていた。

「……見事だったわ、レイジ。」

 背後から響いたのは、艶やかな声。振り返ると、薄い寝衣をまとったリュミエルが立っていた。黒銀の髪が月光を反射し、冷たい美しさを帯びている。

「リュミエル姫……いや、その格好は……」

「休息の時くらい、女らしくあってもいいでしょう?」

 彼女はレイジの横を通り過ぎ、回廊の窓辺に立つ。夜風が薄布を揺らし、うっすらと肌が透けて見える。

「今日のあなたは、想像以上だった。だからこそ……次はもっと深いところを見せてもらうわ。」

「深いところ……って、また嫌な予感しかしないんだが。」

 そう呟いた瞬間、背後から明るい声が響いた。

「もー、姉さんずるい! レイジと二人きりなんて!」

 カリーネだった。鮮やかな桃色の寝衣に身を包み、裸足で走ってきた彼女は、当然のようにレイジの腕を絡め取る。

「レイジ、明日はね、私たちと一緒に“特別講義”するの。親衛隊も交えて、もっと親密な訓練をしましょう?」

「おい、それどういう意味の訓練だよ。」

「ふふ、明日になればわかるわ。」

 二人の姫は言葉少なに視線を交わす。そこには、ただの姉妹愛ではない、権力を共有する者同士の緊張感があった。共同統治という形に落ち着いた双姫だが、その裏では互いの力を測り合う静かな戦いが続いているのだろう。

 そのとき、背後の陰から小さな気配を感じた。レイジが振り返ると、王宮の従者の一人がひれ伏していた。

「失礼いたします、客人様。王宮に不穏な動きがございます。」

「不穏な動き?」

「反和平派が王宮内に潜伏しているとの情報が……どうかお気をつけください。」

 従者はそれだけ告げて闇に消えた。心臓が跳ねる。決闘会の裏で、和平を揺るがす陰謀が動いている──そう直感した。

 部屋に戻ると、リリアが机に地図を広げて待っていた。

「やっぱりね。私も聞いたわ。反和平派が王宮内部に根を張ってるって。レイジ、次の任務は“内部調査”よ。」

「休ませてくれよ……!」

 抗議も虚しく、任務は決まった。翌日、レイジは双姫の“特別講義”という名の訓練に参加しつつ、裏で王宮内の反逆者を探るという二重任務を負うことになった。

 翌朝、訓練場に集められたのは双姫と親衛隊。全員が軽装の訓練服を纏い、ただの鍛錬場とは思えない妖艶な空気を漂わせていた。リュミエルが前に立ち、宣言する。

「今日の課題は“信頼と支配の均衡”。お互いを完全に理解しなければ、この王宮は守れない。」

 カリーネが笑顔で続ける。

「つまり……今日はもっと深く、触れ合うってこと♡」

 その内容は、精神干渉を強めながら相手の魔力と意識を読み取り合うという実戦形式の訓練だった。親衛隊が輪を作り、レイジをその中心に立たせる。双姫が左右から魔力を流し込み、彼の精神を試す。視覚、聴覚、嗅覚すら侵食する濃厚な魔力に、レイジは吐き気すら覚えながら耐え続けた。

(……くそ、これで調査なんかできるか……!)

 だが、リリアが外で連絡を取っているはずだ。今は耐えるしかない。双姫の干渉を耐え抜き、親衛隊の術を受け流す。体は火照り、意識が揺れる。それでも、レイジは理性をつなぎとめた。

「やるじゃない、教官。」

 リュミエルが小さく笑う。カリーネは彼の耳元に囁いた。

「次は、もっと深いところまで行くから覚悟してね?」

 講義の合間、リリアが小声で報告してきた。「反和平派の拠点がわかったわ。地下の旧劇場よ。」

 その夜、レイジとリリアは王宮地下の劇場へ忍び込んだ。埃まみれの客席の奥で、反和平派の集会が開かれていた。中心に立つのは、サキュバス領でも名の知れた過激派指導者──ルクレシア。王宮襲撃の計画を口にするその声を、レイジは震える拳で握りしめながら聞いていた。

(……これが正体か。絶対に見過ごせねぇ。)

 彼らの存在を記録し、命からがら部屋を後にしたレイジは誓う。次こそ、直接対決だ──と。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...